メニュー

WAISとは?検査内容や費用から結果の生かし方まで解説

[2025.12.26]

 

 

仕事でミスが続いたり、対人関係で悩んだりして、「自分には何か特性があるのではないか」と感じたことはありませんか?
自身の認知機能の偏りを客観的に把握することは、生きづらさを解消する第一歩になります。

本記事では、世界的に広く利用されている成人知能検査であるWAISについて、その仕組みや分かることを解説します。
検査を受けるメリットや費用、結果を実生活に生かすための手がかりもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

WAISとは世界的に信頼性の高い成人知能検査

WAIS(ウェイス)は、ウェクスラー式成人知能検査の略称であり、世界中の医療現場や教育機関でもっとも広く使用されている心理検査の1つです。
個人の全体的な知能指数だけでなく、認知機能のバランスを詳細に測定することで、その人の得意な処理方法や苦手な課題を明らかにします。

ここでは、以下の2つを解説します。

  • 16歳から90歳11ヶ月までを対象とした知能検査
  • 児童用検査であるWISCとの対象年齢の違い

特徴を知ることで、自身や家族が検査を受けるべきかの判断材料になります。

16歳から90歳11ヶ月までを対象とした知能検査

WAISの最新版であるWAIS-IVは、16歳0ヶ月から90歳11ヶ月までの幅広い年齢層を対象としています。
この検査は、単にIQという数値を算出するだけではありません。
青年期から老年期に至るまで、それぞれのライフステージにおける認知能力の変化や特徴を捉えることが可能です。

たとえば、就職活動や職場での適応に悩む若年層にとっては、自身の適職を探るための手がかりとなります。
高齢者の場合は、加齢による認知機能の低下や認知症の兆候を早期に発見するためのアセスメントツールとしても活用されています。

児童用検査であるWISCとの対象年齢の違い

ウェクスラー式知能検査には、対象年齢に応じていくつかの種類が存在し、WAISはその中の成人用検査に位置づけられています。
5歳0ヶ月から16歳11ヶ月までの子どもを対象とする場合は、WISC(ウィスク)と呼ばれる児童用検査が適用されます。

なお、赤羽すずらんメンタルクリニックでは小学1年生から検査が可能です。

(お子さまの状況により、実施可否は個別にご案内します)

16歳という年齢は両方の検査の対象に含まれますが、一般的には高校生以上であればWAISを選択することが多いでしょう。
ただし、本人の発達状況や検査を受ける目的によっては、専門家の判断でWISCが選ばれるケースもあります。
適切な支援につなげるためには、事前に医療機関へ相談することをおすすめします。

WAIS-IVの検査内容と測定する4つの指標

WAIS-IVでは、全検査IQ(FSIQ)という全体的な知能水準を示す数値に加えて、以下4つの異なる領域の能力を示す指標を算出します。

  • 言葉の理解力や知識を測る言語理解
  • 視覚的な情報を処理する知覚推理
  • 聴覚的な情報を一時的に記憶するワーキングメモリー
  • 作業の正確さとスピードを見る処理速度

これらの指標を分析することで、情報の入力から処理、出力に至るまでの認知プロセスの特徴を細かく理解できます。

言葉の理解力や知識を測る言語理解

言語理解指標(VCI)は、言葉の意味を理解し、適切に表現する能力や、これまでに学習して得た知識の量を測定する指標です。
この検査では、単語の意味を説明したり、2つの言葉の共通点を答えたりする課題に取り組みます。
VCIの得点が高い人は、語彙が豊富で、口頭での指示や説明を正確に理解するのが得意な傾向にあります。
一方で、この指標が低い場合は、会話の意図を汲み取るのに時間がかかったり、自分の考えを言葉にするのが苦手だったりすることがあるでしょう。
コミュニケーションにおけるスムーズさを左右する、重要な要素といえます。

視覚的な情報を処理する知覚推理

知覚推理指標(PRI)は、視覚的な情報をもとにして状況を把握し、論理的に推論する能力を測定する指標です。
積み木を使って見本と同じ模様を作ったり、並んでいる図形の法則性を導き出したりする課題が含まれます。

この能力が高いと、地図を読むことや図解されたマニュアルを理解することが、スムーズに行えるでしょう。
新しい状況に直面した際に、視覚的な手がかりから解決策を見つけ出す力にも関係しています。
反対にPRIが低い場合は、空間認知が苦手で道に迷いやすかったり、非言語的な空気を読むのが難しかったりするかもしれません。

聴覚的な情報を一時的に記憶するワーキングメモリー

ワーキングメモリー指標(WMI)は、聴覚的な情報を一時的に記憶し、頭の中で操作する能力を測定します。
検査では、読み上げられた数字をそのまま復唱したり、逆順で答えたりする課題が出されます。
この能力は、いわば「脳のメモ帳」のような役割を果たすものです。
会話の内容を覚えながら次の返事を考えたり、複数の指示を同時に処理したりする場面で使われます。

WMIが高い人は、マルチタスクや暗算が得意な傾向があります。
低い場合は、長い話を聞いていると途中で内容を忘れてしまったり、注意が散漫になりやすかったりすることがあるでしょう。

作業の正確さとスピードを見る処理速度

処理速度指標(PSI)は、単純な視覚情報をどれだけ速く、正確に処理できるかを測定する指標です。
特定の記号を素早く見つけ出したり、対応する記号を書き写したりする課題を行い、制限時間内での処理量を評価します。

PSIが高い人は、事務作業をテキパキとこなしたり、黒板の文字を素早くノートに書き写したりすることが得意です。
判断のスピードが速いため、日常の動作も機敏に見えることが多いでしょう。
この指標が低いと、作業に時間がかかって疲れやすくなったり、マイペースな印象を持たれたりすることがあります。

大人になってからWAIS検査を受ける3つのメリット

大人になってから自分の知能検査を受けることには、単にIQを知る以上の大きな意味があります。
長年抱えてきた「生きづらさ」の正体が明らかになることで、これからの人生をよりよくするための対策が立てやすくなるからです。

おもなメリットは、以下の3つです。

  • 自身の得意なことと苦手なことの可視化
  • 生活や仕事での困り事の原因特定
  • 医師の診断補助や公的支援の申請資料としての活用

それぞれ見ていきましょう。

自身の得意なことと苦手なことの可視化

WAIS検査を受ける最大のメリットは、自分の中に眠っている能力の凸凹(ディスクレパンシー)を数値として客観的に把握できることです。

全体的なIQが平均的であっても、4つの指標の間に大きな差がある場合、それが生活のしづらさにつながっている可能性があります。
たとえば、言葉での理解は高いのに、視覚的な処理が極端に苦手な場合などです。

自分の得意な領域を明確に知ることで、それを生かせる仕事を選んだり、苦手な部分を補う方法を考えたりする戦略が立てられます。
自己肯定感を回復するきっかけにもなるでしょう。

生活や仕事での困り事の原因特定

仕事で何度も同じミスをしてしまったり、約束の時間を守れなかったりする背景には、本人の努力不足ではなく、認知特性が影響している場合があります。
検査結果を分析することで、これまで「なぜできないのか」と自分を責めていた悩みに対して、納得のいく理由が見つかるかもしれません。

たとえば「処理速度がゆっくりなために、急かされるとパニックになる」といった原因が特定できれば、精神的な負担は軽くなります。
原因が分かれば、メモを取る、時間を多めに見積もるといった具体的な対策も講じやすくなるはずです。

医師の診断補助や公的支援の申請資料としての活用

WAISの検査結果は、医師が発達障害(神経発達症)などの診断を行う際の重要な補助資料として使われます。
医療機関で適切な診断を受けることで、自分の状態に合った薬物療法やカウンセリングなどの治療方針が決まります。

精神障害者保健福祉手帳の取得や障害年金の申請、就労移行支援事業所の利用など、公的な福祉サービスを受ける際に検査結果が必要になることも。
職場に対して合理的な配慮を求める際にも、客観的なデータに基づいた説明ができるため、周囲の理解を得やすくなるでしょう。

WAIS検査を受けたい人が知っておくべき場所と費用

WAIS検査を受けたいと考えた場合、どこに行けば受けられるのか、費用はどのくらいかかるのかは気になるところです。
実施機関や目的によって条件が異なるため、以下の情報を集めておく必要があります。

  • 医療機関や大学の心理相談室での受検
  • 保険適用と自費診療による費用の違い
  • 予約から検査実施結果説明までの流れ

スムーズに検査を受けるために、基本的な仕組みを理解しておきましょう。

医療機関や大学の心理相談室での受検

WAIS検査を実施しているおもな場所は、精神科や心療内科などの医療機関です。
主治医が診療のために必要だと判断した場合に、院内の公認心理師などが検査を行います。
また、大学附属の心理相談室や、民間のカウンセリングルームでも検査を受け付けている場合があります。

ただし、すべての精神科で実施しているわけではありません。
検査を行っていないクリニックもあるため、受診する前にホームページや電話で確認することが必須です。
発達障害者支援センターなどで、検査可能な医療機関を紹介してもらうのも1つの方法です。

WAIS検査にかかる費用について

WAIS検査にかかる費用は、検査を受ける目的や実施する医療機関によって異なります。
医師が診断や治療の参考として必要と判断した場合には、健康保険が適用されるケースもありますが、実施条件や算定内容は医療機関ごとに異なります。

一方で、自己理解や仕事・生活上の困りごとを整理する目的で検査を希望する場合は、自費(自由診療)での実施となることが一般的です。
自費検査の費用は実施機関によって幅があり、検査内容や結果説明の有無によっても異なります。

そのため、WAIS検査を検討する際は、「保険適用の可否」「検査費用」「検査時間」「結果説明の方法」などについて、事前に医療機関へ問い合わせて確認することをおすすめします。
あらかじめ詳細を把握しておくことで、安心して検査を受けることができるでしょう。

予約から検査実施結果説明までの流れ

検査を受けるまで一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 予約:希望日時を予約し、現在の困りごとを簡単に整理しておきます。

  2. 検査当日:臨床心理士及び、公認心理師と一対一で実施します。所要時間は約2時間です。

  3. 結果説明(フィードバック):検査結果はその場で確定するものではなく、集計・分析を行ったうえで後日、結果のフィードバック(説明)を行います。

フィードバックの際には、数値の結果だけでなく、所見をまとめたレポートを受け取り、今後の生活へのアドバイスをもらいます

WAIS検査を受ける際の注意点

WAISは精度の高い検査ですが、正しい結果を得るためには、受検者側が守るべきいくつかのルールがあります。
知らずに行動してしまうと、正確な能力が測定できず、せっかくの検査が無駄になってしまうかもしれません。

WAIS検査を受ける際の注意点として、以下3つがあげられます。

  • 事前練習の禁止
  • 再検査に必要な間隔
  • 当日の体調管理

正確なデータを得て自己理解に役立てるために、これらの注意点を必ず守ってください。

事前練習の禁止

検査を受ける前に、インターネットなどで過去問を探したり、類似の問題を解いたりする「事前学習」は行ってはいけません。
事前に問題を知ってしまうと、本来の実力以上の点数が出てしまい、正確なIQや認知特性が測定できなくなるからです。

自分の能力をよく見せたいという気持ちは自然なものですが、検査の目的は高得点を取ることではなく、ありのままの自分を知ることです。
誤った高い数値が出てしまうと、適切な支援や配慮を受けられず、結果として自分自身が苦しむことになります。
予備知識なしで当日に臨むのが正しい受け方です。

再検査に必要な間隔

一度WAISを受けたあとに、再度同じ検査を受ける場合は、十分な期間を空ける必要があります。
一般的には、前回の検査から少なくとも1年、できれば2年以上の間隔を空けることが推奨されています。

これは「学習効果(プラクティスエフェクト)」と呼ばれる現象を防ぐためです。
期間が短いと、以前に受けた問題の内容や解き方を覚えていて、実際よりも高い結果が出てしまう可能性があります。
もし短期間での再評価が必要な場合は、専門家と相談のうえで、別の種類の知能検査を用いるなどの検討が必要です。

当日の体調管理

WAIS検査は長時間の集中力を要するタスクの連続です。
所要時間は個人差がありますが、2時間近くかかることも珍しくありません。
そのため、検査当日のコンディションが結果に大きく影響します。

前日は十分な睡眠を取り、疲労が溜まっていない状態で臨むようにしましょう。
体調が悪かったり極度の寝不足だったりすると、本来のパフォーマンスが発揮できず、結果が実態よりも低く出てしまうおそれがあります。
もし当日に体調が優れない場合は、無理をせずにキャンセルの連絡を入れ、日程を変更してもらうことをおすすめします。

検査結果を実生活や仕事の改善につなげる活用法

検査を受けて結果を知ることはゴールではなく、あくまでスタートです。
得られたデータをどのように日常生活や仕事の工夫に落とし込むかが、生きやすさを手に入れるために大切です。
以下を参考に、自分の特性に合った対処法を見つけましょう。

  • 職場でのミスや対人トラブルを減らす工夫
  • 苦手な作業をカバーする外部ツールの導入
  • 自身の特性に合わせた環境調整の依頼

具体的な行動を起こすことで、環境は少しずつ変えていけます。

職場でのミスや対人トラブルを減らす工夫

自分の認知特性に合わせた仕事の進め方を取り入れることで、ミスを未然に防げます。
たとえば、ワーキングメモリーが低く、口頭での指示を忘れやすいタイプであれば、必ずメモを取る習慣をつけるか、ボイスレコーダーの使用許可をもらうのが有効です。

言語理解が得意であれば、マニュアルを作成して業務フローを視覚化するなど、強みを生かした貢献もできます。
対人面で空気を読むのが苦手なことが分かっていれば、結論から話してもらうなど、コミュニケーションのルールを周囲と共有するのもよい方法です。

苦手な作業をカバーする外部ツールの導入

自分の苦手な能力を無理に伸ばそうとするよりも、文明の利器を使ってカバーするほうが効率的です。
処理速度が遅く、時間の管理が苦手な場合は、スマホのアラームやタイマー機能を活用して、作業の区切りを意識づける方法があります。

漢字を書くのが苦手な書字障害の傾向があるなら、パソコンやタブレットの音声入力機能を使うのも一手です。
最近では、タスク管理アプリやスケジュール共有ツールなど、ビジネスで役立つ便利なアプリが数多くあります。
自分の脳の特性を補ってくれる「外部脳」として、積極的にツールを取り入れましょう。

自身の特性に合わせた環境調整の依頼

自分1人の工夫では限界がある場合、職場や学校に対して環境調整(合理的配慮)を相談することも検討してください。
聴覚過敏があり、周囲の雑音で集中力が削がれてしまうなら、耳栓やノイズキャンセリングイヤホンの使用を許可してもらうなどの対策が考えられます。

マルチタスクが苦手なら、一度に1つの業務に集中できるような配分をお願いするのも良案です。
WAISの結果をもとに「どのような環境なら成果を出せるか」を伝えることで、双方にとってメリットのある働き方が実現できる可能性があります。

まとめ:WAISとは自己理解を深めて生きやすくなるためのツール

WAIS検査を受けることで、自分自身の得意不得意を客観的に把握し、仕事や生活における困り事の原因を探れます。
ご自身の特性を知ることは、より生きやすい環境を整えるための大きな一歩となるでしょう。

赤羽すずらんメンタルクリニックでも、WAIS検査を実施しています。
「自分の特性を知りたい」「検査を受けたほうがよいのか迷っている」といった段階の方でも、まずはご相談いただけます。

検査内容や費用、実施の流れなどについても、事前に丁寧にご案内しておりますので、
WAIS検査に興味のある方や検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

赤羽駅から徒歩1分の通いやすい立地で、土日診療にも対応しています。
心療内科が初めての方も、安心してご相談いただける環境を整えています。

監修者

土屋 恵理子
赤羽すずらんメンタルクリニック 院長

<資格>
精神保健指定医
精神科専門医・指導医
認知症サポート医
日本医師会認定産業医
コンサータ・ビバンセ登録医師

<経歴>
帝京大学医学部付属溝口病院精神科
医療法人社団 ハートフル川崎病院
介護老人保健施設 慈宏の里
東京都や千葉県内のクリニック、東海渡井クリニックにて
精神科訪問診療、光トポグラフィー・TMS治療に従事
赤羽すずらんメンタルクリニック開設

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME