大人のASDの特徴は?ASDが疑われるときの対応も解説
「悪意はないのに相手を怒らせてしまう」「集中すると周りが見えなくなる」といったお悩みを抱えていませんか? こうした悩みは、ASDとよばれる発達障害の特性が原因となっているかもしれません。
「発達障害は子どものうちに診断されるもの」と思われるかもしれませんが、大人になってから発覚するケースも多くあります。
そこで本記事では、大人のASDの特徴や、疑いがある場合の対応方法などを解説します。
「自分の特性を理解し、より過ごしやすい生活につなげたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ASD(自閉スペクトラム症)とは?
ASD(自閉スペクトラム症)は、ものごとの捉え方や行動に特性があり、それにより日常生活や社会生活に困りごとが生じる発達障害の一つです。
原因はまだ完全には解明されていませんが、生まれつき脳の神経伝達や、情報処理の仕組みに特徴があることが関係していると考えられています。
幼少期には周囲のサポートによって特性が表面化しなかったものの、大人になって社会的な関わりが増えることで、初めてASDに気づくケースも少なくありません。
ASDのある大人の特徴
本項では、ASDのある大人の特徴を解説します。
自分自身の行動や感じ方と重なる点があるか、照らし合わせながらご覧ください。
なお、以下でお伝えする特性の現れ方や困りごとの内容は人によって異なるため、ASDだからといって必ずしもすべての方に当てはまるわけではありません。
ASDのある大人の特徴
- 雑談のやりとりに難しさを感じることがある
- 言葉のニュアンスや冗談が理解しにくい
- 表情から感情が伝わりにくい
- こだわりが強い
- マルチタスクが苦手である
- 音や光に過剰に反応する
- 二次障害が生じることがある
雑談のやりとりに難しさを感じることがある
ASDのある方は、目的や結論が明確でない雑談に難しさを感じることがあります。
会話の意図を読み取ることや、相手の気持ちを推測することに負担を感じるため、どのように返答すればよいのかがわからず言葉に詰まってしまうのです。
その結果、自分から積極的に発言するよりも聞き役に回ることが多くなり、周囲に控えめな印象を与えます。
一方で、興味のある話題や得意分野については強い関心を示し、夢中になって話しつづけてしまうこともあります。相手の反応を意識しないまま話が長くなったり、内容が専門的になり過ぎたりして、相手を退屈させてしまう場合もあるでしょう。
言葉のニュアンスや冗談が理解しにくい
ASDのある方は、言葉をそのままの意味で受け取り、比喩表現や冗談、たとえ話などの意図をくみ取ることが難しいという特性を持っています。
こうした特性により、言葉の裏に含まれる感情やニュアンスを理解できず、相手の発言の真意を誤解してしまうことがあります。
また、「場の空気」や「暗黙の了解」といった社会的な文脈を読み取れずに、対人コミュニケーションで行き違いが起こることも少なくありません。
表情から感情が伝わりにくい
ASDのある方は、「表情の変化が少ない」「何を考えているのかわからない」といった印象を持たれることもあります。これは、自分の気持ちを表情で示すことがあまり得意ではないという特性があるためです。
内面では喜びや悲しみなどの感情を抱いていても、それが表情として現れにくいため、周囲の方は「感情が読み取りづらい」と感じてしまいます。
こだわりが強い
特定の物事に対して強い関心やこだわりを持つことも、ASDのある方によくみられる特性の一つです。
たとえば、歴史に関する情報を細部まで記憶したり、好きな作品のセリフや内容を繰り返し楽しんだりするなど、興味のある分野に深く没頭することがあります。
また、生活習慣や日々の行動においても決まった手順を好む傾向があり、いつもと異なる流れになると不安を感じてしまいます。
こうした特性は、周囲からは「集中力が高い」「几帳面」といった長所として捉えられることがあるでしょう。一方で、状況に応じた対応が求められる場面では、予定の変更や予想外の出来事にうまく対応できず、「柔軟性がない」という印象を持たれる場合もあります。
マルチタスクが苦手である
ASDの方の特性としては、複数の作業を同時に進めるマルチタスクに負担を感じやすい点も挙げられます。前述の通り、ASDのある方は急な変化への対応が苦手なため、突発的なタスクが立て続けに発生すると混乱してしまう場合があります。
一方で、物事を順序立てて一つずつ丁寧に進めることは得意とされており、落ち着いた環境下では力を発揮するケースも珍しくありません。
音や光に過剰に反応する
音や光、におい、触感といった刺激に対して敏感に反応する「感覚過敏」も、ASDの方に多くみられる特性です。
たとえば、明るい照明をつらく感じたり、香水や洗剤の香りで気分が悪くなったりすることがあります。一般的には気にならないような刺激でも、本人にとっては大きなストレスとなります。
このような感覚の違いは周囲から理解されにくいため、「気にし過ぎ」「わがまま」と誤解されることも少なくありません。その結果、精神的な負担が大きくなり、生きづらさを感じてしまいます。
二次障害が生じることがある
ASDのある方は、周囲の人々に合わせようと努力を重ねるなかで、日常的に強いストレスや生きづらさを感じることがあります。なかには、その状態が長く続くことで心身の疲労が蓄積し、うつ病や不安障害などを発症する方もいます。
このように、ASDの特性や環境とのミスマッチが原因で心身に不調をきたす「二次障害」が起こると、本人の負担はさらに大きなものとなるでしょう。
ASDのある大人が日常生活でできる工夫
ASDのある大人が日常生活をスムーズに送るためには、自分の特性に合った工夫を取り入れることが重要です。ここでは、日常で無理なく実践できる対処法を解説します。
ASDのある大人が日常生活でできる工夫
- 自分の思考の傾向を理解する
- 無理なく過ごせる対人関係を築く
- 特性に合った働き方を選ぶ
- 家事・育児のやり方を見直す
自分の思考の傾向を理解する
まずは、自分の思考の傾向を理解することが非常に重要です。
これまでの生活を振り返り、「どのような場面で困ったか」「うまくいかなかった原因は何か」といった点を書き出してみましょう。
また、困りごとを整理する際には、得意なことやうまくできていることもあわせて書き出すのがおすすめです。ポジティブな内容を確認することで、自分の強みを把握できるほか、自己肯定感の維持・向上にもつながります。
無理なく過ごせる対人関係を築く
ASDの方にとって、人との関わりは大きなエネルギーを必要とし、状況によっては日常生活の負担となります。そのため安定した日常生活を送るには、無理のない距離感で付き合える対人関係を築くことが重要です。
気を使い過ぎずにいられる少人数のつながりを大切にしたり、価値観の近い人と交流したりすれば、安心して過ごせる時間が増えていくでしょう。無理に交友関係を広げるのではなく、自分が心地よいと感じられる対人関係を優先していくことで、日常が過ごしやすくなります。
特性に合った働き方を選ぶ
自分の特性に合った働き方を選ぶことも、日々の生活を安定させるうえで欠かせないポイントです。
ASDの方は、人とのやりとりが比較的少ない職種や、一人で集中して取り組める作業環境で力を発揮できる場合があります。ほかにも、得意分野を活かせる専門職で、自分の能力を伸ばしながら働くスタイルが適している方もいらっしゃるでしょう。
自分の得意なこと・苦手なことを整理し、無理なく続けられる働き方を選べば、日々のストレスを抑えられます。
家事・育児のやり方を見直す
家事・育児には、想定外の出来事が発生しやすく、計画通りに進めることが難しい側面があります。そのためASDのある方は、自分に合った方法で負担を減らしながら取り組む工夫が必要です。
たとえば、チェックリストを活用して作業内容を可視化したり、1日の流れを可能な限りルーティン化したりすれば、見通しを持ちながら家事・育児に取り組めるようになります。
また、苦手な作業については家族と役割を分担しながら、必要に応じて周囲の協力を得ることも有効です。
こうした工夫を組み合わせて、家事・育児に伴う負担を軽減しましょう。
大人のASDが疑われるときの対応
「ASDかもしれない……」と思ったときは、不安を一人で抱え込まないことが何より大切です。ここでは、大人のASDが疑われるときの対応方法を解説します。
大人のASDが疑われるときの対応
- 精神科や心療内科を受診する
- 発達障害者支援センターに相談する
- 周囲の人からサポートを受ける
精神科や心療内科を受診する
ASDの疑いがある場合は、まず精神科や心療内科を受診することをおすすめします。
精神科や心療内科では、主に問診やカウンセリング、各種心理検査などが行われます。
これらを通じて自分の特性を多角的に整理することで、これまで曖昧だった生きづらさの要因が客観的に把握できるようになるでしょう。
また、受診の結果ASDと診断された場合は、福祉サービスや職場・学校での合理的配慮など、必要に応じた支援を受けられる可能性があります。くわえて、医療機関にかかることでうつ病や不安障害などの二次障害が発覚し、適切な治療を受けられる可能性もあるため、結果として日常生活の負担軽減につながります。
発達障害者支援センターに相談する
ASDに関する悩みを抱えている場合は、発達障害者支援センターを活用するのも一つの方法です。
同センターでは、発達特性に起因する困りごとや不安について、専門知識を持つスタッフに相談することができます。全国各地に設置されており、原則無料で利用できるため、気軽に相談しやすい支援機関の一つです。
また、診断がまだ確定していない段階でも利用できるので、「まずは状況を整理したい」「どこに相談すればよいのかわからない」といった場合の最初の相談先として適しています。
周囲の人からサポートを受ける
ASDの傾向があると気づいた場合は、信頼できる家族や友人、職場の上司などに状況を共有し、支えを得ることも大切です。
自分の特性を周囲に理解してもらうことで、すれ違いや誤解が起こりにくくなり、日常生活や対人関係におけるストレスの軽減につながります。
また、必要に応じて医療機関や相談機関へ同行してもらえば、より安心して自分の状況と向き合えるようになります。
ASDの大人には「雑談が苦手」「こだわりが強い」といった特徴がある
ASDのある大人には、「雑談が苦手」「こだわりが強い」「感覚過敏」など、さまざまな特性がみられます。しかし、特性の現れ方や困りごとの内容は人によって異なり、必ずしもすべての方に当てはまるわけではありません。
大切なのは、自分の特性を正しく理解し、それに合った工夫や環境づくりを行うことです。適切な対処法を取り入れることで、日常生活や対人関係における負担の軽減につながるでしょう。
ASDの特性による生きづらさや、うつ病・不安障害などの二次障害でお悩みの方は、赤羽すずらんメンタルクリニックにご相談ください。患者さま一人ひとりの背景や症状に合わせた、オーダーメイド治療を提供しています。
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