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引きこもりと精神疾患の関係を解説

[2024.08.30]

引きこもりは、個人別にさまざまな原因が潜んでいることから、デリケートな問題として対応が必要です。特に精神疾患や発達障害などを伴う場合は、専門医の治療が必要です。

本記事では、引きこもりの原因や、精神疾患を伴うケースについて解説します。また、最後に引きこもりについて相談できる支援センターの窓口を紹介していますので、ご参考ください。

目次

1.引きこもりとは
2.引きこもりの原因
3.引きこもりと精神疾患の関係
4.引きこもりの症状
5.引きこもりや精神疾患の相談先
6.精神疾患を伴う引きこもりは早めに専門医で治療を始めましょう

引きこもりとは

「引きこもり」とは、社会との接点を持たずに長期的に家にいる状態のことです。仕事や学校などで人と関わることにストレスを感じて外部の環境に適応できないと引きこもりが始まります。
内閣府が実施した2022年度「こども・若者の意識と生活に関する調査」の結果では、引きこもり状態にある人は、15〜39歳で2.05%、40〜64歳で2.02%、全国で約146万人です。
引きこもりになる要因は、生物学的要因、心理的要因、社会的要因など、さまざまなことが混在して現れます。

引きこもりの原因

引きこもりは、数日の引きこもりで回復する場合と、長期化して家に引きこもり続ける場合があり、後者の長期化した場合は、回復するにも時間を要します。ではなぜ引きこもりが長期化してしまうのか原因をいくつか考えていきましょう。

精神疾患がある場合、心の状態が不安定で意欲や集中力が低下し外部への行動力が軽減されます。逆に、引きこもり始めたことで、後から精神疾患を患ってしまうケースもあります。
精神疾患の原因と考えられる脳の神経伝達物の異常分泌によって、正常ではない脳の状態に陥ってしまい、脳機能が働かなくなるため、結果、引きこもりという消極的な行動に繋がります。したがって、精神疾患の場合、心のコントロールが自分でできないため、引きこもりになった場合、長期化するリスクが高くなります。

また、引きこもり始めると、挫折感や倦怠感が湧き上がってくるため、社会復帰したくてもできない状態になります。引きこもりが長引くと、引きこもりの生活パターンに次第に慣れてしまうようになり、パーソナリティ障害のリスクが高くなり、社会復帰が難しくなります。

引きこもりは、社会的な立場について厳しく問われることが多く、引きこもりしていても軋轢を感じながら生活している方も多くいます。
引きこもりをしている本人や家族に対する社会的な視線は、なぜ皆と同じことができないのかという厳しい目で見られることが多く、本人や家族は、悪いことをしているかのような認識になって、さらに困難な状態になって引きこもりが長期化してしまいます。

引きこもりの原因は、さまざまな理由が混在し、一度引きこもってしまうと簡単に抜けられない心の状態と周りからのプレッシャーが付きまといます。
引きこもりは、本人の努力だけでは改善されず、社会参加できるような環境が必要とされています。

厚生労働省による「ひきこもりの実態と社会的背景・要因の理解」の調査では、引きこもりを誘発する孤立になりやすい時期と孤立の課題について、以下の内容が指摘されています。

  • 妊娠期・幼児期:孤立した育児、母親の抑うつ状態の発症、虐待・ネグレクト
  • 児童・青年期:学校でのいじめ、ヤングケアラー、若年無業者
  • 壮年期:失業、老親介護、夫婦関係の破綻
  • 老年期:死別、身体の衰え、家屋の貧困

引きこもりと精神疾患の関係

引きこもりの原因は、さまざまな理由がある中、特に精神疾患を抱えている場合は、一人の力では改善することは難しくなります。引きこもりの問題を考える際に、性格や心の状態だけでなく、医学的な観点からも判断することが必要です。
では、引きこもりと関係性のある精神疾患について確認していきましょう。

精神疾患群

引きこもりに関係する精神疾患は、以下の分類になります。

  • 統合失調症
  • 気分障害
  • 不安障害

統合失調症は、陰性症状で感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如、自閉(引きこもり)、陽性症状で妄想・幻覚・思考障害、そして認知機能障害などが発症します。

気分障害は、過度な気分の落ち込み(うつ病)と高揚する気持ち(躁病)が特徴的な症状です。日常生活に支障が起きるほどの抑うつが長期的に発症します。

不安障害は、パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害などが該当し、過剰な心配や緊張によって精神不安定な状態が続きます。

精神疾患を伴う引きこもりについては、精神科または心療内科での専門治療と、福祉的生活・就労支援などが必要になります。

発達障害群

引きこもりに関係する発達障害は、以下の分類になります。

  • 広汎性発達障害
  • 知的障害
  • 発達障害

広汎性発達障害は、生まれつき脳機能に異常が見られる障害です。自閉性障害、レット症候群、小児期崩壊性障害、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害が該当します。
コミュニケーション力の欠如、日常生活の困難、パターン化した行動への強いこだわりなどが特徴的です。

知的障害は、18歳未満で認知や言語などに関わる知的機能が遅れる障害です。診断基準は、知能指数が70未満で日常生活において介助、または注意や配慮が必要なことです。

発達障害は、先天的に脳機能に障害がある疾患です。「ASD(自閉スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如多動症)」「LD・SLD(限局性学習症)」などが該当します。社会性が欠如し対人関係が困難でコミュニケーション能力が低く、言語発達の遅れや行動と興味の偏りが見られます。

発達障害を伴う引きこもりについては、精神科または心療内科での専門治療と周りのサポートと理解、本人の行動の癖を改善していくことが必要です。

パーソナリティ群

引きこもりの原因には、パーソナリティ障害が関係しているケースもあります。
パーソナリティ障害とは、人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんでいたり、周りが困っている場合に診断される精神疾患です。

不登校をきっかけに引きこもりになる場合、周りと著しく異なる行動や考え方によって感情をコントロールできなくなり、学校や人との距離を取るようになります。
パーソナリティ障害がある場合、自分のパーソナリティ特性によって悪い状況を招いてもその特性を改善しようとすることはないため、周りからは不適合者扱いとなり、本人も困難な状態で引きこもりへと入って行きます。

引きこもりの症状

ここからは、引きこもりに見られる症状について詳しく見ていきましょう。

生活リズムが乱れる

基本、家の中で一日を過ごすため、時間で行動する習慣がなくなります。学校や仕事へ行く時間を気にしなくて良いため、起床時間や就寝時間が不規則になります。外出しないため運動不足になり、食欲もわかなくなるので、過食または拒食になりやすく体力も低下します。
生活のリズムは、自分と家族や社会性の中から築けるものなので、引きこもりによって悪循環が起きて、だんだんカラダと心のリズムも崩れていきます

感情がコントロールできない

生活のすべてが自分一人の時間で回っているため、他人と関わる時間がなくなって気持ちが楽になる一方、時間を持て余して気持ちが落ち込む頻度も増えていきます
一人生活の場合は、気持ちをぶつける相手がいないため、自分だけで堂々巡りの感情をコントロールできなくなって病んできます。家族と一緒に暮らしている場合は、家族へ不満や怒り、悲しみがぶつけられるので、家庭崩壊になるケースが多くなります。

強迫行為が生じる

引きこもりの自分に対して否定的な感情が蓄積すると、強迫行為が始まるケースがあります。強迫行為とは、同じパターンの行動をくり返すことです。例えば、玄関のカギを何度も確認する行為、ガス栓を再確認する行為、手を何度も洗う行為などがあります。引きこもりの状態による不安や恐怖心から繰り返しの行動が現れます

引きこもりや精神疾患の相談先

引きこもりの治療は、本人だけでは改善が難しいため、家族、精神科の専門医、公共機関などが連携してサポートすることが必要です。
ここでは、引きこもりに関する支援機関について紹介します。

ひきこもり地域支援センター

厚生労働省:ひきこもり地域支援センターでは、全国にある支援機関・相談窓口で、ひきこもりに関するさまざまな相談を受け付けています。
社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが中心となって来所、または電話での相談支援を行います。
主な支援機関は、福祉・⾏政関係、NPO法人や民間カウンセラーなどの居場所づくり機関、医療機関、ハローワークなど就労機関、教育機関等です。
詳細はお住まいの自治体のホームページからも確認できます。

精神保健福祉センター

東京都福祉局:精神保健福祉センターでは、都内の3カ所の精神保健福祉センターより、
こころの健康の保持と向上を目的として精神保健福祉相談を行っています。
思春期・青年期相談の窓口では、学校や職場に行けずに引きこもっている人や、学校、職場家族との人間関係がうまくいていない人、拒食や過食の問題がある人など、さまざまな問題について電話と面接で相談ができます。
また、引きこもりの人の交流の場所を設けて居場所づくりの提供なども行っています。

保健所

保健センターや保健所では、精神科や心療内科へ受診相談や、さまざまな心の相談を行うことができます。居住地の保健所のホームページから情報を確認して相談員と直接話して見ると良いでしょう。

精神科・心療内科

引きこもりの原因は、精神疾患を伴っているケースもあります。一人で悩みを抱えずに、精神科や心療内科の診断を受けて、適切な治療を行いましょう。引きこもりで外出が困難な場合は、精神科訪問看護のサービスを活用することもできます。

精神疾患を伴う引きこもりは早めに専門医で治療を始めましょう

引きこもりになるのは、心の問題だけでなく脳機能の障害による場合もあります。身体的な障害の場合は、自分だけでは改善が難しいため、専門医の治療を行うことが必要です。
もし、精神科への来院に消極的な場合は、地域の支援センターから相談をはじめて、適切な治療法を探していきましょう。

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