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精神科の血液検査はなぜ必要?わかることや採血拒否できるかを解説

[2026.02.28]

精神科や心療内科を受診した際、心の悩みで訪れたはずなのに血液検査を勧められて、驚いたことはありませんか?

注射が苦手だからできれば避けたい、あるいは過去の病歴を知られたくないと不安に思う方も少なくないでしょう。

本記事では、精神科で血液検査が行われる3つの理由や、検査によってわかる具体的な項目を解説します。
検査の必要性を正しく理解し、安心して治療を受けるための参考にしてください。

なぜ精神科で血液検査を行うのか?

心の不調は、実は体の病気や薬の影響から生じている場合が少なくありません。
そのため、問診だけでは見抜けない身体的な要因を客観的な数値で確認する必要があります。

精神科で血液検査が行われるおもな理由は、以下の3つです。

  • 身体の病気が精神症状を引き起こしていないか確認するため
  • 薬を安全に使用するための情報を把握するため
  • 副作用を早期に発見して予防するため

それぞれ見ていきましょう。

身体の病気が精神症状を引き起こしていないか確認するため

心の病気だと思っていた症状が、実は身体疾患によって引き起こされているケースがあります。

たとえば、甲状腺機能の異常や貧血、糖尿病などは、うつ病によく似た倦怠感や気分の落ち込みを引き起こす代表的な病気の1つです。
これらの身体疾患が見逃されたまま精神科の治療を受けても、根本的な原因が解決されないため症状は改善しません。

血液検査を行うことで、こうした身体的な要因を確実に除外し、本当に心の病気であるかどうかを慎重に見極められます。

薬を安全に使用するための情報を把握するため

精神科で処方される薬の多くは、肝臓で分解され、腎臓を通じて体外へ排出されます。
そのため、治療を始める前に肝臓や腎臓の機能が正常に働いているかを確認しなければなりません。

もしこれらの臓器に機能低下が見られる場合、通常量の薬でも体内に成分が蓄積しやすくなり、思わぬ副作用が出るリスクが高まります。
血液検査によって事前に臓器の状態を把握できていれば、医師は患者さまの体質に合せて薬の種類や量を調整できます。

副作用を早期に発見して予防するため

精神科の薬を服用し始めると、稀に副作用として血液の状態や内臓機能に変化が現れることがあります。

たとえば、血糖値やコレステロール値の上昇、白血球の減少などがあげられますが、これらは自覚症状がほとんどありません。
定期的に血液検査を行うことで、こうした体内の微細な変化をいち早く発見し、重篤な状態になる前に対処できます。

数値に異常が見られた場合は、薬の量を減らしたり別の薬に変更したりといった、柔軟な対応が可能です。

精神科の血液検査でわかること

精神科の血液検査では、一般的な健康診断と同じような項目に加えて、精神症状と関連の深い特定の数値を調べることがあります。

確認できるおもな内容として、以下の4つを解説します。

  • 甲状腺機能の異常
  • 貧血や栄養状態
  • 肝臓や腎臓の機能
  • 服用している薬の血中濃度

詳しく見ていきましょう。

甲状腺機能の異常

甲状腺ホルモンは、脳や体の活性化に深く関わっている重要なホルモンです。
このホルモンの分泌量が過剰になると動悸やイライラなどの躁状態に近い症状が現れ、反対に不足すると無気力や抑うつといったうつ病に似た症状が出ます。

血液検査でFT3やFT4、TSHといった数値を測定すれば、甲状腺機能亢進症や橋本病などの病気が隠れていないかを確認できます。
もし甲状腺の病気が原因であれば、精神科の薬ではなく甲状腺の治療を優先しなければなりません。

貧血や栄養状態

脳内の神経伝達物質を作るためには、鉄分やビタミンB群、タンパク質などの栄養素が必要です。
とくに鉄欠乏性貧血は、立ちくらみだけでなく、集中力の低下や強い疲労感、イライラなどを引き起こし、メンタルの不調と混同されやすい傾向にあります。
血液検査でヘモグロビンやフェリチンの値を調べれば、体内の鉄分が十分に足りているかがわかります。
栄養不足が原因の不調であれば、食事療法やサプリメントの活用で症状が改善することも珍しくありません。

参考資料:西東京市「貧血」

肝臓や腎臓の機能

肝臓と腎臓は、薬の代謝と排泄を担う重要な臓器です。
AST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPなどの数値からは肝機能の状態が、クレアチニンやeGFRなどの数値からは腎機能の状態がわかります。

アルコールを常用している方は肝機能が低下している可能性があり、その状態で薬を服用すると肝臓にさらなる負担をかけるおそれがあります。
高齢の方は腎機能が弱まっていることが多いため、慎重な投与設計が必要です。

服用している薬の血中濃度

精神科の薬の中には、効果を発揮するための有効域と、中毒症状が出る危険域が接近しているものがあります。
代表的なものとして、炭酸リチウム(リーマス)やバルプロ酸ナトリウムなどの気分安定薬があげられます。

これらの薬を使用する際は、血中濃度が適切な範囲に保たれているかを定期的に測定しなければなりません。
濃度が低すぎれば効果が得られず、高すぎれば中毒を起こす危険性があるからです。
同じ量の薬を飲んでいても、分解や排泄の能力には個人差があるため、その人の体質に合っているかを確認するためにも利用されます。

血液検査だけではうつ病は診断できない

血液検査は身体的な異常を見つけるためには有効ですが、それだけでうつ病などの精神疾患を確定診断できません。

精神科の診断において血液検査がどのような位置づけにあるのか、以下2つを解説します。

  • 精神疾患の診断は問診が基本となる
  • 血液検査はあくまで補助的な役割を担う

それぞれ見ていきましょう。

精神疾患の診断は問診が基本となる

うつ病や適応障害などの診断においてもっとも重視されるのは、医師による丁寧な問診です。
どのような症状がいつから続いているのか、生活環境やストレスの要因、睡眠や食欲の変化などを詳細に聞き取ることで、総合的に判断します。

患者さまの表情や話し方、思考の過程なども診断のための貴重な情報源です。
心の動きや苦しみの背景にある物語は数値化できないため、対話を通じて理解を深めていくことが診断の中核となります。

血液検査はあくまで補助的な役割を担う

血液検査のおもな目的は、精神症状を引き起こす可能性のある身体疾患を除外することにあります。
つまり、「検査で異常が見つからないこと」を確認してはじめて、純粋な精神疾患である可能性が高まるという論法です。
これを除外診断と呼び、誤診を防ぐための手順とされています。

客観的なデータがあることで、患者さま自身も「体の病気ではない」と納得して精神科の治療に向き合える効果もあります。
血液検査は診断の決め手にはなりませんが、診断の精度を高め、治療の土台を固めるための強力なサポーターといえるでしょう。

精神科の血液検査を受けたくない場合の選択肢

注射への恐怖心や費用の問題などから、どうしても血液検査を受けたくない事情がある方もいるでしょう。
基本的に検査は強制されるものではありませんが、治療の選択肢が制限される可能性があります。

検査を希望しない場合に考えられる選択肢や対応について、以下3つを紹介します。

  • 睡眠薬のみの処方なら検査なしで可能なことがある
  • 最近の健康診断結果で代用できる場合もある
  • リチウムなど特定の薬では検査が必須となる

ご自身の希望と安全性のバランスを考えながら、医師と相談して決めることが大切です。

睡眠薬のみの処方なら検査なしで可能なことがある

軽度の不眠症状で、一時的に少量の睡眠導入剤を使用したいという場合であれば、血液検査なしで処方されることもあります。
副作用のリスクが比較的低く、短期間の使用にとどまるケースが多いためです。

ただし、これは医師が「検査なしでも安全に投与できる」と判断した場合に限られます。
初診時には検査が不要でも、服薬期間が長くなったり、薬の種類が増えたりした場合には、改めて検査を提案されることがあるでしょう。
完全に検査を回避できるわけではないため、症状の変化に応じて柔軟に対応する姿勢を持っておくことが望ましいです。

最近の健康診断結果で代用できる場合もある

職場の定期健康診断や人間ドックなどで直近に血液検査を受けている場合は、その結果を持参することで採血を省略できる可能性があります。
検査項目が精神科で必要な内容を網羅していれば、改めて痛い思いをする必要はありません。

有効とされる期間は「直近のもの」「3ヶ月以内」など、医療機関によって基準が異なります。
受診する前に電話で確認するか、初診時に検査結果の控えを受付や医師に提示して相談してみるとよいでしょう。

リチウムなど特定の薬では検査が必須となる

一部の薬については、安全管理の観点から血液検査が必須条件となるため、拒否できません。
炭酸リチウムなどの気分安定薬は、治療域と中毒域が近いうえ、薬の代謝スピードには個人差があるため、同じ量を飲んでいても血中濃度が人によって異なるからです。

これらの薬は双極性障害などで高い効果を発揮しますが、検査を拒否すると処方自体が受けられなくなります。
どうしても採血が難しい場合は、別の種類の薬で治療できないか医師に相談する必要がありますが、治療効果が劣る可能性もあることを理解しておく必要があります。

まとめ:精神科の血液検査は適切な診断と治療のために必要

精神科での血液検査は、身体的な病気の除外や薬の副作用防止など、安全で確実な治療を進めるうえで欠かせないものです。
検査への不安や疑問がある場合は、医師と相談しながら納得できる方法を探していきましょう。

赤羽すずらんメンタルクリニックでは、患者さま一人ひとりの状況に合わせたオーダーメイド治療を提供しています。
赤羽駅から徒歩1分と通いやすく、土日も診療を行っているため、平日お忙しい方でも安心して受診いただけます。
薬が苦手な方にはTMS治療という選択肢もご用意していますので、心の不調でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

>>お問い合わせはこちら

監修者

土屋 恵理子
赤羽すずらんメンタルクリニック 院長

<資格>
精神保健指定医
精神科専門医・指導医
認知症サポート医
日本医師会認定産業医
コンサータ・ビバンセ登録医師

<経歴>
帝京大学医学部付属溝口病院精神科
医療法人社団 ハートフル川崎病院
介護老人保健施設 慈宏の里
東京都や千葉県内のクリニック、東海渡井クリニックにて
精神科訪問診療、光トポグラフィー・TMS治療に従事
赤羽すずらんメンタルクリニック開設

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