心理検査の種類とメリットや受けられる場所・費用について解説
自身の性格や発達特性についてさらに深く知りたい、あるいは家族のことで悩んでいるという方は多いでしょう。
自分では気づきにくい特性を客観的な数値やデータで理解することは、今後の生活をよりよくするための大きな一歩となるものです。
本記事では、心理検査の種類やそれぞれの特徴、受けられる場所や費用を解説します。
自己理解を深めるための参考にしてください。
目次
心理検査を受ける目的と分かること
心理検査を通じて自分を深く理解することは、今後の人生における適切な選択や環境調整に役立ちます。
ここでは、心理検査を受けることで具体的に何が分かるのか、どのようなメリットがあるのかを解説します。
- 自分の得意なことや苦手なことを知る
- 診断や治療方針を決めるための情報を得る
- 生活や仕事での困り事への対策を立てる
自分を知ることは、よりよい未来への第一歩となります。
自分の得意なことや苦手なことを知る
誰にでも得意なことと苦手なことはありますが、その差が極端に大きいと、日常生活や社会生活で思わぬ苦労をすることがあります。
知能検査などでは、言語理解や記憶力、処理速度など、さまざまな能力を数値化して評価します。
自分の得意な領域を知れば、それを生かせる仕事や役割を見つけやすくなるでしょう。
苦手な領域を事前に理解しておくことで、無理のない範囲で対策を講じたり、周囲にサポートを求めたりすることが可能になります。
診断や治療方針を決めるための情報を得る
医療機関で心理検査を行う場合、その結果は医師が診断を下すための判断材料の1つとして活用されます。
問診だけでは見えにくい認知機能の偏りや性格傾向を詳細なデータとして提示することで、より正確な診断につながります。
たとえば、発達障害の傾向があるのか、環境的な要因によるストレス反応なのかを見極める際にも、心理検査の結果は大きな手助けとなるでしょう。
正確な診断がつけば、薬物療法が必要なのか、あるいは心理療法や環境調整が適しているのかなど、自分に合った治療方針をスムーズに決定できます。
生活や仕事での困り事への対策を立てる
検査結果から得られる情報は、具体的な生活改善の計画を作るために役立ちます。
「仕事で同じミスを繰り返してしまう」「会話の意図を汲み取るのが苦手」といった困り事に対して、背景にある特性に基づいた対策を立てられるからです。
たとえば、聴覚的な情報の処理が苦手だと分かれば、口頭での指示だけでなくメモを取る、マニュアルを視覚化するといった工夫が考えられます。
自分の特性に合った対処法を知ることで、無駄な努力や自己嫌悪を減らし、日々のストレスを大きく軽減できるでしょう。
知能検査と発達検査のおもな種類
知能検査や発達検査は、認知機能のバランスや発達の水準を測るために用いられます。
自分や家族に合った検査を選ぶためには、どのような検査が存在し、それぞれ何が分かるのかを知っておくことが大切です。
医療機関や教育機関で広く実施されている代表的な検査は、以下の4つです。
- WAIS-IV(成人向け知能検査)
- WISC-V(子ども向け知能検査)
- 田中ビネー知能検査V
- 新版K式発達検査
検査の特徴を理解しましょう。
WAIS-IV(成人向け知能検査)
WAIS-IV(ウェイス・フォー)は、16歳から90歳11ヶ月までの成人を対象とした、世界中でさらにも広く使われている知能検査です。
この検査では、全検査IQという全体的な知的能力だけでなく、4つの指標得点を算出します。
具体的には、以下の4つです。
- 言葉の理解や知識を測る「言語理解」
- 視覚的な情報を処理する「知覚推理」
- 一時的に情報を記憶して操作する「ワーキングメモリー」
- 単純作業の速さや正確さを測る「処理速度」
これらの能力のバランスを見ることで、個人の得意不得意のパターンを詳細に分析でき、発達障害の診断補助や就労支援の現場で活用されています。
>>関連記事「WAISとは?検査内容や費用から結果の生かし方まで解説」はこちら
WISC-V(子ども向け知能検査)
WISC-V(ウィスク・ファイブ)は、5歳0ヶ月から16歳11ヶ月までの子どもを対象とした知能検査です。
WAISと同様にウェクスラー式知能検査の1つで、子どもの認知能力を多角的に測定します。
全体的なIQに加えて、言語理解や視空間、流動性推理・ワーキングメモリー、処理速度という5つの主要指標を評価します。
学校生活での学習のつまずきや、コミュニケーションの難しさの背景にある認知特性を明らかにするために利用されることが多いです。
>>関連記事「WISC(ウィスク)検査とは?結果の見方やデメリットについて解説」はこちら
田中ビネー知能検査V
2歳から成人まで幅広い年齢層に適用できる、日本独自の検査です。
特徴は、精神年齢(MA)と生活年齢(CA)の比率から、知能指数(IQ)を算出する点にあります(14歳以上の場合は偏差知能指数DIQを使用)。
問題は年齢ごとに階段状に構成されており、被検者がどの発達段階にあるのかをきめ細かく捉えられます。
とくに、全体的な知的発達の遅れがないかを確認する場合や、特別支援教育の判断材料として用いられることが多い検査です。
新版K式発達検査
新版K式発達検査は、0歳から成人までを対象としていますが、とくに乳幼児期の発達評価によく用いられます。
「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3つの領域から発達の状態を評価し、発達指数(DQ)と発達年齢(DA)を算出します。
この検査は、積み木や折り紙などの用具を使って遊ぶような感覚で実施できるため、言葉でのやり取りが難しい小さな子どもでも負担が少ないのが特徴です。
全体的な発達のバランスを見るだけでなく、各領域の発達の進み具合や遅れを把握し、早期の療育や発達支援につなげるために活用されます。
参考資料:京都国際福祉センター「新版K式発達検査2020」
参考資料:医療機関の発達外来における新版 K 式発達検査 の利用を中心に
人格検査と性格検査のおもな種類
人格検査や性格検査は、個人の性格傾向、対人関係の特徴、心理的な安定度などを理解するために行われます。
これらの検査には大きく分けて以下の2つがあり、それぞれ異なるアプローチで心の内面に迫ります。
- 投影法の代表的な検査
- 質問紙法の代表的な検査
検査手法の違いを見ていきましょう。
投影法の代表的な検査
投影法は、あいまいで多義的な刺激(図形や絵など)を提示し、それに対する反応から無意識の心理状態や性格特性を推測する方法です。
無意識の不安や葛藤、対人関係のパターンなどが明らかになるため、カウンセリングや心理療法の方針を立てる際に役立ちます。
ただし、解釈には検査者の熟練した技術と経験が必要であり、検査や分析に時間がかかる傾向があります。
- バウムテスト
- ロールシャッハテスト
代表的な投影法の検査について説明します。
バウムテスト
「実のなる木を1本描いてください」という教示に従って、A4の画用紙に木を描いてもらう検査です。
描かれた木は、描画者の自己像や無意識の感情を象徴していると考えられています。
木の大きさや幹の太さ、枝の伸び方・根の有無、筆圧や用紙に対する位置など、さまざまな要素を分析します。
言語表現が苦手な子どもから高齢者まで幅広く実施でき、実施も比較的短時間で済むため、医療や教育の現場で広く普及しているものです。
ロールシャッハテスト
左右対称のインクのしみが、何に見えるかを答えてもらう検査です。
10枚の図版を順に見せながら、「何に見えますか?」「どこがそう見えましたか?」と問いかけます。
回答の内容だけでなく、反応するまでの時間や図版のどの部分に注目したか、色や形をどう捉えたかなどを総合的に分析するのが特徴です。
これにより、感情のコントロール力や思考の特徴、対人関係の構え、ストレスへの対処能力など、パーソナリティの深い部分を詳細に把握できます。
質問紙法の代表的な検査
「はい・いいえ」や「当てはまる・当てはまらない」などの選択肢で構成された質問項目に回答してもらい、その結果を集計して性格を測定する方法です。
集団で一斉に実施できるため、学校や企業での適性検査などでも広く利用されています。
ただし、回答者が自分をよく見せようとして意図的に回答を操作する可能性がある点には注意が必要です。
- YG性格検査
- TEG(東大式エゴグラム)
代表的な質問紙法の検査について説明します。
YG性格検査
YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)は、120問の質問に答えることで、性格を構成する12の特性を測定する検査です。
抑うつ性や気分の変化、劣等感・神経質などの情緒的な側面や活動性、協調性・思考的内向などの行動的な側面を評価します。
結果はプロフィール表としてグラフ化され、A型からE型までの5つの性格類型に分類されるのが特徴です。
自分の性格の全体像を視覚的に把握しやすく、情緒の安定性や社会適応性を判断するのに役立ちます。
TEG(東大式エゴグラム)
交流分析という心理学の理論に基づいて開発された性格検査です。
人間の自我状態を以下の5つに分類し、それぞれのエネルギーのバランスから性格や対人関係のパターンを分析します。
- 批判的な親(CP)
- 養育的な親(NP)
- 大人の自分(A)
- 自由な子ども(FC)
- 順応した子ども(AC)
53問の質問に回答することで、自分のコミュニケーションの癖や行動特徴が分かります。
自分自身の変えたい部分や伸ばしたい部分に気づきやすく、自己成長や人間関係の改善に向けた具体的な目標を立てやすいのが特徴です。
【悩み別】知りたいことから選ぶ心理検査の例
心理検査には多くの種類があるため、「自分はいったいどの検査を受ければよいのか分からない」と迷ってしまう方もいるでしょう。
具体的な悩みのケースをあげながら、それぞれの状況に適していると考えられる検査の例を紹介します。
- 仕事のミスや効率の悪さが気になる場合
- 人間関係の悩みや自分の性格を知りたい場合
- 子どもの言葉の遅れや集団行動が心配な場合
状況に合わせた検査選びの参考にしてください。
仕事のミスや効率の悪さが気になる場合
「仕事でケアレスミスが多い」「マルチタスクが苦手」といった悩みを抱えている場合、知能検査のWAIS-IVが役立つ可能性があります。
WAIS-IVを受けることで、ワーキングメモリー(短期記憶)や処理速度などの能力を、客観的に把握できるからです。
たとえば、聴覚的な短期記憶が弱いことが分かれば、メモを取る習慣を徹底するなどの対策が見えてきます。
注意欠如・多動症(ADHD)の傾向を確認するために、CAARSやASRSなどの検査を併用することもあります。
人間関係の悩みや自分の性格を知りたい場合
「人付き合いが極端に苦手」「相手の気持ちを推測するのが難しい」「自分の性格が好きになれない」といった悩みがある場合は、人格検査が適しています。
TEG(東大式エゴグラム)やYG性格検査を受けることで、自分のコミュニケーションの癖や性格の傾向が客観的に分かるからです。
自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があるかどうかを知りたい場合は、AQ(自閉症スペクトラム指数)などのスクリーニング検査を行うこともあります。
さらに、無意識の葛藤や不安を探るために、バウムテストなどの投影法を実施することもあります。
子どもの言葉の遅れや集団行動が心配な場合
子どもの発達に関する心配事がある場合は、WISC-Vや田中ビネー知能検査V、新版K式発達検査などが検討されます。
子どもの年齢や様子に合わせて、言葉の理解力や手先の器用さ、社会性などを総合的に評価できる検査を選びます。
家庭や学校での様子を把握するために、保護者や教師が記入する質問紙(ADHD-RSやPARS-TRなど)を併用することも。
早期に子どもの特性を理解することは、適切な療育や教育環境を整えるために重要です。
自分でできる簡易チェックと注意点
最近では、インターネット上で簡単にできる心理テストやセルフチェックツールが増えています。
これらは手軽に自分の傾向が分かる便利なツールですが、あくまで簡易的なものであることを理解しておく必要があります。
専門的な検査とは異なり、精度や信頼性には限界があるからです。
セルフチェックツールの活用方法と、利用する際に注意すべきリスクを解説します。
- ネット上のセルフチェックツールの活用
- 自己判断だけで完結させてしまうリスク
詳しく見ていきましょう。
ネット上のセルフチェックツールの活用
Webサイトやアプリで提供されているセルフチェックツールは、自分の状態を大まかに把握するための「きっかけ」として活用するのがおすすめです。
たとえば、「自分はADHDかもしれない」と不安に思っている場合、チェックリストを試すことで、どのような症状が当てはまるのかを整理できます。
その結果を印刷したりメモしたりして医療機関に持参すれば、医師に自分の困り事を伝える際の補助資料として役立ちます。
日々の気分の変化やストレスレベルを記録するアプリなどは、自分のコンディションを客観視し、セルフケアのタイミングを知るのに有用です。
自己判断だけで完結させてしまうリスク
セルフチェックの結果だけで「自分は発達障害だ」や「うつ病に違いない」と自己診断を下してしまうのは危険です。
ネット上のツールは簡易的なスクリーニングを目的としたものが多く、医学的な診断を行うものではありません。
同じような症状でも、別の疾患や一時的なストレス反応である可能性も十分に考えられます。
自己判断で思い込みを強めてしまうと、適切な治療の機会を逃したり、不要な不安を抱え込んだりすることになりかねません。
心理検査を受けられる場所と費用の目安
心理検査を受けられる場所はおもに、以下の3つがあり、それぞれ目的や費用体系が異なります。
- 精神科や心療内科などの医療機関
- 民間のカウンセリングルーム
- 自治体の相談窓口や教育センター
ニーズや状況に合わせて、最適な場所を選ぶことが大切です。
精神科や心療内科などの医療機関
医療機関で心理検査を受ける最大のメリットは、健康保険が適用される場合があることです。
医師が診療のために必要と判断した場合、知能検査や人格検査などは保険診療(3割負担)となります。
検査の種類にもよりますが、数千円程度(1,000円〜5,000円前後)で受けられることが多いです(初診料・再診料は別途)。
ただし、診断や治療を目的としない場合や、医師が必要性を認めない場合は自費診療となることもあります。
予約が混み合っていて検査までに数ヶ月待つケースもあるため、事前に電話やWebサイトで確認しましょう。
民間のカウンセリングルーム
民間のカウンセリングルームや心理相談室でも、公認心理師や臨床心理士による心理検査を実施しているところがあります。
こちらは医療機関ではないため、健康保険は適用されず、全額自費(数万円程度)となるのが一般的です。
費用は高くなりますが、医療機関に比べて予約が取りやすく、検査結果のフィードバックやカウンセリングに時間をかけてもらえるメリットがあります。
診断を目的とせず、「自己理解を深めたい」「仕事の適性を知りたい」といったニーズに柔軟に対応してくれる施設も多いです。
自治体の相談窓口や教育センター
18歳未満の発達や教育に関する相談であれば、自治体が運営する児童相談所や教育センター、発達支援センターなどで無料で検査を受けられる場合があります。
公的な機関であるため、費用の負担がないのが大きなメリットです。
しかし、利用できるのはその地域に住んでいる人に限られます。
相談が混み合っていることが多く、予約から実施までに時間がかかる場合があります。
大人の場合は、発達障害者支援センターなどで相談を受け付けていますが、検査自体は提携する医療機関を紹介されるケースが一般的です。
まとめ:心理検査の種類を正しく理解して客観的な自己分析につなげよう
生きづらさや不調の原因が分からず、1人で悩み続けてしまうこともあるでしょう。
自身の特性を理解し、適切な対策を見つけるためには、まずは専門医に相談して解決の糸口を探ることが大切です。
赤羽すずらんメンタルクリニックは、赤羽駅から徒歩1分と通いやすく、土日も診療を行っています。
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監修者
