TMS治療の適正回数は?頻度や持続期間と合わせて解説
TMS治療は、うつ病や睡眠障害に効果があるとされている治療法です。
薬物療法に変わる新たな手段として、日本でも普及しつつあります。
しかし、日本で認可されたのは2019年とまだまだ歴史が浅く、知らない方も多い治療法です。
そのため、概要や適切な治療回数が分からず、診療を迷っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、TMS治療の適正回数や効果を感じるタイミングなどを解説しています。
TMS治療に興味を持っている方は、ぜひ参考にしてください。
TMS治療とは?
TMS治療(Transcranial Magnetic Stimulation)は、頭部に磁場を照射して脳の特定の部分を刺激し、脳の機能を改善する治療法です。
アメリカでは2008年から臨床に取り入れられ、日本でも2019年に認可が下りる(※1)など、徐々に広がりを見せています。
手術や薬の服用が必要なく、治療期間も比較的短いことから、薬物療法が適さない方への選択肢として注目されている治療法です。
おもにうつ病や不安障害の治療に使用され、脳内の神経伝達物質のバランスを調整することで症状の改善を促します。
※1 参考:令和2年3月5日保医発0305第1号「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」
TMS治療で効果が期待できる人
TMS治療を受けると、下記のような効果が期待できます。
- イライラしづらくなる
- ソワソワしなくなる
- 判断力が回復する
- 集中力が上がる
- 気分の落ち込みが回復する
- 寝つきがよくなる
- 疲労感の軽減
そのため、うつ病や不安障害、不眠症、パニック障害などの治療に用いられています。
とくにうつ病の治療に用いられることが多く、薬物療法が効かなかった、薬で副作用が出た方などに、有効な選択肢となっています。
TMS治療を受けられない人
下記のような方は、TMS治療を受けられない場合があります。
- 頭に近い部分に金属が入っている
- てんかん歴がある
- けいれんリスクがある
- 妊娠している
TMS治療では、磁気による刺激を脳に与えます。
体内に金属が入っている場合、悪影響を与えるおそれがあるため、治療ができない可能性があります。
また、脳の疾患を持っている、てんかん・熱けいれんの経験がある方も同様です。
妊娠中の場合も、けいれんリスクを考慮して治療を断られることが多いです。
ただし、TMS治療を受けられるかどうかは、個人の状況や金属の種類などによって異なります。
専門の医師に相談し、自身が治療できるか確認してみましょう。
TMS治療の回数と頻度
TMS治療の回数は、患者の症状や治療計画、病院の方針などによって異なります。
下記の項目ごとに、TMS治療の適正回数や通院の頻度を解説します。
- TMS治療を1日あたりに受けられる回数
- TMS治療の施術時間
- TMS治療の効果が感じられるタイミング
- TMS治療を終了するタイミング
- TMS治療の効果が持続する期間
TMS治療を1日あたりに受けられる回数
TMS治療を受けられる1日あたりの回数は、病院の方針や使用する機器によって異なりますが、1回〜3回程度が一般的です。
適正回数は患者の状態や治療計画によって変わり、多く受ければよいわけでもありません。
医師の指示に従い、もっとも効果が望めるペースで受けることが大切です。
1回のTMS治療にかかる時間
TMS治療にかかる時間は、通常1回につき16〜40分程度です。
病院ごとに取り扱っているTMS機器が違うため、事前に確認しましょう。
また治療の目的や症状により、刺激の強度や時間を調整することもあります。
たとえば、当院では下記2つのプランを用意しているため、患者様に合わせて柔軟な対応が可能です。
ショート | 8分 |
レギュラー | 16分40秒 |
治療前に心理検査や問診を行い、適切な治療時間を擦り合わせます。
いずれも短時間であるため、仕事や日常生活への影響も少なく、通院を続けやすい治療法です。
TMS治療の効果が感じられるタイミング
TMS治療の効果を実感するタイミングには、個人差があります。
初回〜3回程度で効果を感じる方もいれば、10回以上受けて症状の改善が見られる方もいます。
そのため、早期に効果を感じられなくとも、焦る必要はありません。
担当の医師と相談しながら、焦らずに治療を続けることが大切です。
TMS治療を終了するタイミング
症状の重さや、目指す改善度合いは患者によって異なります。
そのためTMS治療の終了タイミングは、経過を見ながら医師と相談して決定しますが、合計で20〜40回程度になることが多いです。
一般的には、ある程度症状が改善したタイミングで1度治療を終了しますが、その後の経過観察が重要です。
治療後の症状の安定度合いを確認しながら、追加治療の必要性を判断します。
長期的に症状が安定したと感じられたら、治療終了となります。
TMS治療の効果が持続する期間
TMS治療の効果の持続期間は、1回の施術で10〜14日程度といわれています。
その後回数を重ねるごとに持続期間は伸び、30回ほど治療を受けたあとは、数ヶ月から半年にわたって効果の持続が期待できます。
しかし、治療が終了した後も経過観察を徹底し、状況に応じて追加治療を行うことが大切です。
持続期間には個人差があり、症状によっても変動するため、医師と相談しながら柔軟に治療しましょう。
TMS治療中におすすめの生活習慣
うつ病などで気分が落ち込んでいる場合、生活習慣を整えようとする意識がストレスになることがあります。
そのため、TMS治療の初期は十分な休息を取ることが大切です。
しかし、根本的な原因を見直さなければ、症状が再発するリスクが高まります。
ある程度TMS治療を受けて症状が安定してきたら、日常生活への復帰を見据えて、下記の生活習慣を見直しましょう。
- バランスの取れた食事をとる
- 規則正しい食事を心がける
- 睡眠の質を上げる
- 適度な運動をする
それぞれ詳しく解説します。
バランスの取れた食事をとる
栄養バランスの取れた食事を心がければ、効率的にエネルギーを補給できます。
とくに朝食は大切で、できる限り食べることが推奨されます。
食欲が湧かない場合は、ヨーグルトやスープなど軽いものでも問題ありません。
少量でも食事をとり、エネルギーを補給することが大切です。
規則正しい食事を心がける
規則正しく食事をとると、体内のリズムが整います。
少量でもよいので3食食べることを心がけ、夜遅くの食事は控えるようにしましょう。
睡眠のリズムの安定や、消化器官への負担を和らげる効果が期待できます。
睡眠の質を上げる
不眠は多くの精神疾患に共通する症状です。
そのため不眠が改善できていないと、TMS治療を受けても、症状が再発するリスクが高まるといわれています。
寝室に雑音が入らないようにする、早起きしてすぐに朝日を浴びるなどの工夫をしましょう。
適度な運動をする
適度な運動で軽く疲労すれば、睡眠によい影響を与えるといわれています。
軽いウォーキングやストレッチなどを日常的に取り入れることで、体調を整え、精神的な健康をサポートできます。
ただし、気分がすぐれない日に無理をする必要はありません。
調子がよい日に軽く近所を散歩するなど、無理のない範囲で試してみましょう。
まとめ:TMS治療の回数は医師と相談しながら症状に合わせて決める
TMS治療の適正回数は、患者ごとに異なります。
医師の指導のもと、症状や改善度合いに応じて調整を繰り返しながら進めることが大切です。
治療終了後は経過観察を行い、治療終了のタイミングや追加治療の必要性などを判断します。
担当の医師に相談しながら、無理のないペースでTMS治療を進めてください。
当院のTMS治療の流れ
当院では下記の流れで、TMS治療を行っております。
- 心理検査や問診
- 刺激部位、刺激強度の設定
- 施術開始
- 週1回程度の診察
通いやすい、話しやすいをモットーに、親身なカウンセリングとオーダーメイド治療を提供しています。
事前にTMS治療についても丁寧にご説明しますので、リラックスした状態で治療可能です。
TMS治療を行えば、うつ病や不安障害などの症状改善が期待できます。
精神の不調にお悩みの方は、一度治療を検討してみましょう。
赤羽で心療内科をお探しの方は赤羽すずらんクリニックをご覧ください。