代表的な知能検査の種類を年代別に4つ紹介!発達検査との違いも
生きづらさや学習面での困り事を感じており、その原因を客観的に知りたいと考えている方もいるでしょう。
自身の特性を深く理解することは、適切な対処法を見つけるための第一歩になります。
検査にはさまざまな種類があり、年齢や目的に応じて適切なものを選ぶことが必要です。
本記事では、代表的な知能検査の特徴や対象年齢を解説し、発達検査との違いについても触れていきます。
ぜひ自己理解を深めるきっかけにしてください。
目次
年齢別に見る代表的な知能検査の種類
自分や家族に適した検査を選ぶためには、それぞれの検査が持つ特徴や対象年齢を正しく理解しておくことが欠かせません。
世界的に普及しているものから日本独自の検査まで、主要なものは大きく分けて4つあります。
- 5歳から16歳が対象のWISC
- 16歳以上の成人向け検査WAIS
- 幼児から大人まで対応の田中ビネー
- 学習支援に特化したK-ABC
これらの検査は、測定できる能力や活用される場面がそれぞれ異なります。
5歳から16歳が対象のWISC
WISC(ウィスク)は、世界で広く利用されているウェクスラー式知能検査の児童版であり、教育現場や医療機関で頻繁に実施されています。
全体的な知能指数だけでなく、言語理解やワーキングメモリといった複数の指標を個別に算出し、能力のバランスを見られる点が大きな特徴です。
子どもの得意な処理方法や苦手な課題が明確になるため、学校生活での具体的な支援計画を作成する際に役立ちます。
定期的に改訂が行われており、最新の研究に基づいた認知能力の測定が可能です。
>>関連記事「WISC(ウィスク)検査とは?結果の見方やデメリットについて解説」はこちら
16歳以上の成人向け検査WAIS
WAIS(ウェイス)は、16歳から90歳代までを対象とした成人向けのウェクスラー式知能検査で、大人の発達診断において中心的な役割を果たします。
仕事でのミスや対人関係の悩みなど、社会生活で感じる困り事の背景にある認知特性を分析するために用いられるものです。
全体的なIQに加えて、処理速度やワーキングメモリなどの指標ごとのバランスを把握できます。
自分の能力の凸凹を客観的に把握することで、職場での環境調整や適職探しに生かせます。
>>関連記事「WAISとは?検査内容や費用から結果の生かし方まで解説」はこちら
幼児から大人まで対応の田中ビネー
田中ビネー知能検査は、日本で長い歴史を持つ検査法であり、2歳から成人まで幅広い年齢層に対応しているのが特徴です。
問題は年齢ごとの階層構造になっており、子どもは精神年齢と生活年齢の比率から知能指数(IQ)を算出します。
一方で、14歳以上の成人に対しては、同年齢集団内での位置を示す偏差知能指数(DIQ)が算出される仕組みになっています。
とくに知的障害の判定や療育手帳の申請において、行政機関や福祉の現場で広く採用されている検査です。
子どもが興味を持ちやすい検査用具が使われているため、検査に対する心理的な負担が比較的少ないというメリットもあります。
学習支援に特化したK-ABC
K-ABCⅡは、子どもの認知処理能力と学習による知識の習得度の両方を測定できる、教育支援に特化した検査です。
単に知能を測るだけでなく、その子がどのように情報を処理し、学習しているかというプロセスを重視して分析を行うものです。
日本語の読み書きが苦手な子どもや、文化的な背景が異なる子どもに対しても、公平に能力を評価できるような工夫がされています。
検査結果からは、その子に合った学習指導の方法や教材選びのヒントが得られます。
知能検査で分かることと実施する目的
検査を受けることで得られる情報は、単なる数値だけではなく、生活の質を改善するための具体的なヒントを含んでいます。
自分の内面を客観的なデータとして可視化することは、これからの対策を考えるうえで有意義です。
知能検査で分かることと実施する目的である、以下3つを解説します。
- 認知機能の特性と発達の凸凹
- 知能指数IQと各指標の意味
- 自身の得意分野と苦手分野
それぞれ見ていきましょう。
認知機能の特性と発達の凸凹
知能検査を実施する最大の目的は、情報の受け取り方や処理の仕方といった認知機能の特性を明らかにすることです。
人にはそれぞれ、耳で聞いた情報を処理するのが得意なタイプや、目で見た情報を整理するのが得意なタイプなどが存在します。
検査を通じて、記憶力や推論力といった各能力のバランスやばらつき、いわゆる発達の凸凹を確認できます。
この凸凹が極端に大きい場合、日常生活での生きづらさにつながっている可能性があるからです。
知能指数IQと各指標の意味
検査結果として示されるIQは、同年齢の平均的な水準と比べて、自分の知能がどの程度かを示す数値です。
しかし、全体的なIQの数値そのものよりも、それを構成する下位検査の指標ごとの得点差に注目することが重要です。
たとえば、言葉の意味を理解する力は高い一方で、単純作業を素早くこなす速度が遅いといった特徴が見えてくることも。
指標間の差が大きい状態をディスクレパンシーと呼び、これが生活上の困難さの原因を示唆することがあります。
自身の得意分野と苦手分野
検査結果を詳細に分析することで、自分が無意識のうちに得意としていることや、反対に苦労しやすい場面が具体的に見えてきます。
得意な分野を生かせる仕事や学習方法を選ぶことで、自信を持って活動できるようになり、パフォーマンスの向上につながります。
一方で、苦手な分野については、ツールを使って補ったり周囲にサポートを求めたりするなどの具体的な対策を立てることが可能です。
自分の強みと弱みを客観的に把握することは、無理のない生活設計を行うための判断材料になります。
知能検査と発達検査の明確な違い
「知能検査」と「発達検査」は混同されがちですが、それぞれ測定する領域や目的には明確な違いがあります。
以下を理解し、自分が知りたい情報や解決したい悩みに合わせて、どちらの検査を受けるべきかを正しく判断する必要があります。
- 認知能力の測定に特化した知能検査
- 生活全般の発達を見る発達検査
- 受検目的に合わせた検査の使い分け
違いを理解することで、より適切な検査を選択できます。
認知能力の測定に特化した知能検査
知能検査は、おもに思考力や記憶力、処理速度といった頭脳的な認知能力を測定することに特化しています。
問題解決能力や論理的な思考プロセスを評価し、知的な機能の側面からその人の特性を分析するものです。
とくに、学習障害や知的障害の有無を確認する場合や、発達障害における認知の偏りを調べる際によく用いられます。
学校での学習支援や、職場での業務遂行における適性を判断するための資料として有効です。
知的な側面の強みや弱みを詳しく知りたい場合には、知能検査が適しているといえます。
生活全般の発達を見る発達検査
発達検査は認知面だけでなく、運動能力や対人社会性、言語能力など、生活に関わる発達全体を総合的に評価するものです。
代表的な「新版K式発達検査」では、積み木や日常的な動作などを通じて、「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」といった3つの領域から発達の度合いを確認します。
知能指数(IQ)ではなく、年齢相応の発達ができているかを示す発達指数(DQ)を算出するのが特徴です。
とくに乳幼児期から児童期にかけての発達の遅れや、偏りを早期に発見するために広く活用されています。
日常生活動作や社会適応能力も含めた、全体像を把握したい場合に適しています。
参考資料:京都国際福祉センター「新版K式発達検査2020」
参考資料:医療機関の発達外来における新版 K 式発達検査 の利用を中心に
受検目的に合わせた検査の使い分け
どちらの検査を受けるべきかは、検査を受ける目的や困り事の内容によって異なります。
たとえば、学習の遅れや仕事上のミスが気になる場合は、認知特性を詳細に測る知能検査であるWISCやWAISが推奨されます。
一方で、言葉の遅れや身辺自立、対人関係の発達全体に不安がある場合は、発達検査が選ばれることが多い傾向です。
療育手帳の取得や福祉サービスの利用申請など、提出先によって求められる検査が指定されている場合もあります。
専門家と相談しながら、目的にもっとも合致した検査を選ぶことが大切です。
まとめ:知能検査の種類を知り自己理解を深める
ご自身やご家族の認知機能や特性を客観的に把握し、適切な支援につなげるために、知能検査は有効な手段です。
検査を受けることで、得意なことや苦手なことを整理でき、今後の生活に役立つヒントが得られるでしょう。
赤羽すずらんメンタルクリニックでは、WAIS・WISC検査を実施しております。
「検査を受けたほうがよいのか迷っている」「まずは話だけ聞いてみたい」という方も、どうぞお気軽にお問い合わせください。
また、当院は赤羽駅から徒歩1分の通いやすい立地で、土日診療も行っており、気軽に立ち寄れる環境を整えています。
「心療内科は初めて」という方も、ぜひ一度当院にご相談ください。
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