更年期にうつ病の症状がみられることがあるのはなぜ?原因と対処方法
40代後半から50代にかけて訪れる更年期は心身のバランスが崩れやすく、さまざまな不調が現れる時期です。
その中でも、気分が落ち込む、やる気が出ないといった抑うつの症状に悩む方は少なくありません。
この記事では「これはうつ病なのか」「単なる更年期の影響なのか」といった悩みを抱えている方のため、更年期に見られるうつ状態の原因や特徴、適切な対応方法について解説します。
更年期の不調に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.更年期には抑うつ症状がみられることがある2.更年期に抑うつが起こる原因
3.更年期にみられるほかの症状
4.更年期の抑うつ症状がみられた際の対処方法
5.迷わず専門医に相談を
更年期には抑うつ症状がみられることがある
更年期には、抑うつ症状がみられることがあります。
「抑うつ」とは、体や精神面で現れる変化がうつ病と比較して軽度であり、症状の持続時間も短期なのが特徴です。
更年期になるとホルモンバランスの変化によって抑うつ症状が起こることがありますが、症状は一時的であり長く続きません。
このため、更年期に見られる抑うつ状態は、うつ病とは区別して捉える必要があります。
不調の原因がうつ病かどうか確認する方法
症状によっては、ホルモンバランスの変化によって現れる抑うつ状態なのか、うつ病の症状なのか判断が難しいケースがあります。
抑うつは気分の落ち込みを表す症状名のことであるのに対し、うつ病は病名です。
うつ病は自己判断できるものではなく、診断には一定の基準があります。
以下で該当するものが多い場合はうつ病の可能性があるため、注意が必要です。
【うつ病でよくみられる症状】
- 何に対してもやる気が起こらず、ぼーっとして過ごしてしまう
- 食欲がない日や不眠が続く
- 集中力の低下
- 生きる気力がわかない
ただし実際にうつ病かどうかを判断するためには、医師による診断が求められます。
こちらのチェック項目はあくまで参考程度にして、気になることや不安なことがある場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。
更年期に抑うつが起こる原因
更年期に抑うつが起こる主な原因は、ホルモンバランスの変化によるものです。
更年期とは閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた約10年間のことであり、閉経によってホルモンバランスに大きな変化が生じます。
卵巣の機能が低下して女性ホルモンが急激に減少し、その結果減少していくのが、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンです。
これらは精神安定や幸福感と関係している物質であることから、不足することで抑うつ状態を引き起こします。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれており、心の健康状態を維持するのに重要な役割を持つものです。
セロトニンが不足することで、気分の落ち込みや不安感を引き起こす要因となります。
ライフステージの変化や加齢による体調変化も、更年期の抑うつに影響を及ぼします。
参考:抑うつ気分・意欲の低下|更年期障害【日本女性医学学会(旧:日本更年期医学会)】
更年期にみられるほかの症状
更年期には、抑うつ以外にも発汗、不眠、めまい、イライラ感・不安、疲労感といった症状が現れることがあります。
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
軽度な症状は見逃されがちであるため、日常的に自身の体調を観察し、早期に気づいて対処することが大切です。
発汗
突然の大量の汗や、顔や上半身だけがほてる「ホットフラッシュ」は、更年期の代表的な症状として、よく知られています。
大きな原因は自律神経の調整がうまくいかなくなったために血管の収縮と拡張が正しく行われなくなってしまうためです。
周囲の温度とは関係なく何の前触れもなく大量の汗をかいてしまうため、外出したり人前に出たりするのが不安になることもあるでしょう。
「汗をかくのが恥ずかしい」と感じてしまうと、人と会うこと自体が億劫になることもあります。汗をかくのは体が頑張って調整している状態なので、気にしすぎないようにしましょう。
不眠
寝付きが悪い、一度寝付けても目覚めてしまう、予定していた時間よりも早く目が覚めるといった睡眠障害も、更年期に多くみられる症状の一つです。
眠れないこと自体がストレスとなり、翌日の倦怠感や集中力の低下、抑うつ感を引き起こす悪循環に陥ってしまうこともあります。
不眠の症状が出ている場合は「なにがなんでも眠らなければ」といった気持ちが強くなりますが、それが精神的な不安を引き起こし、ますます眠れなくなることも珍しくありません。
不眠が長引く場合は気分の落ち込み、疲労感などその他の不調にもつながりやすいので、医師に相談して適切なサポートを受けましょう。
場合によっては一時的に睡眠薬を使用して対応することもあります。
めまい
ふらつきや立ちくらみ、ぐるぐると回るようなめまいが起こることもあります。
主な原因はホルモンバランスの変化によって自律神経のバランスが乱れてしまうことや、卵胞ホルモンの減少によるものです。
「更年期だから仕方がない」と考えてしまうこともありますが、頻繁にめまいが起こる場合は他の疾患が隠れている可能性もあるため、医師の診察を受けましょう。
めまいが強くなると体を思うように動かせなくなり、それが不安につながってしまうこともあるはずです。
めまいの原因がわからないとさらに強いストレスを感じてしまうため、医療機関を受診し、原因を突き止めたうえで適切な対処をすることが求められます。
イライラ感・不安
些細なことでイライラしたり不安感に襲われたりすることが増えるのも、更年期によくみられる症状です。
情緒が不安定になりやすく人間関係や仕事にも悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
自律神経の乱れや脳内ホルモンが不安定になることが主な原因です。
感情の波が大きくなるため自分自身で「また怒ってしまった」「こんなことで落ち込むなんて情けない」といった自己否定につながってしまうこともあります。
自己嫌悪に陥る前に、自身の状態を客観的に把握し、場合によっては周囲に説明をして理解を求めましょう。
医療機関などで相談することも大切です。
疲労感
しっかり寝ているのに疲れが取れない、常にだるいといった慢性的な疲労感も多く報告されています。
ホルモンバランスの変化や睡眠の質が低下することに加えて、精神的なストレスが影響しているケースも珍しくありません。
加齢に伴い若い頃よりも疲れやすくなってきますが「年齢のせい」と諦めず、日々の疲れを放置しないように注意しましょう。
食事でしっかり栄養を摂ることや無理をせずに休むこと、適度な運動習慣を身につけることなどが効果的です。
疲労感が強くなると以前は当たり前にできていたことができなくなり、自己評価が低下してしまうケースもあります。
できなくなったことに目を向けるのではなく、今の自分に適した方法を見つけていくことが重要です。
更年期の抑うつ症状がみられた際の対処方法
更年期に抑うつ症状が現れた場合は、ホルモン補充療法(HRT)や向精神薬のほか、カウンセリングを含む精神療法による対処が考えられます。
ホルモン補充療法は、更年期の主な原因であるエストロゲンという女性ホルモンの減少を補うための治療方法です。
エストロゲンが少なくなってしまうためにさまざまな症状が現れるので、ホルモン補充療法は抑うつ症状や不眠、発汗など、幅広い症状の緩和に役立ちます。
ただ、ホルモン補充療法は自己判断で始められるものではないため、専門医の診察を受けたうえで導入を検討しましょう。
抑うつ症状が強く、日常生活に支障が出ている場合には、向精神薬による治療が検討されます。
なお、薬を飲んでから症状の緩和がみられるまでに数週間かかると考えておきましょう。
更年期には心理的なサポートも効果的です。
心療内科や精神科でカウンセリングを受け、ネガティブな思考パターンを見直し、前向きな考え方を促す認知行動療法に取り組むのも有効です。
カウンセリングにより、悩みを言語化し気持ちを整理することで、ストレスの軽減や精神的な安定が期待できます。
迷わず専門医に相談を
いかがだったでしょうか。
更年期に起こりやすいうつ病に似た抑うつ症状と、その原因・対処法について解説しました。
現れやすい症状や具体的な対処法についての理解が深まったのではないでしょうか。
更年期に現れる体の変化は人によって違い、中には日常生活を送るのが困難になるほどの症状が出る方も少なくありません。
抑うつ症状が強く、日常生活に支障を感じる場合には、早めに専門医へ相談することをおすすめします。
赤羽すずらんメンタルクリニックでは、それぞれの症状に合わせて適切な治療をご提案しています。
薬物療法に抵抗がある方には、代替的な治療法をご提案することも可能です。お気軽にご相談ください。
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