失感情症(アレキシサイミア)の症状の特徴・原因・対処法
失感情症は感情が欠落している・感情がわからない病気などとどのような症状なのか正しく理解している人は多くいません。 今回は、正しく理解するために概要や症状・特徴だけでなく、対処法まで詳しく解説します。
目次
1.失感情症(アレキシサイミア)とは2.失感情症(アレキシサイミア)の症状や特徴
3.失感情症(アレキシサイミア)になる原因
4.失感情症(アレキシサイミア)の対処法
5.失感情症など精神の内容で迷ったら赤羽すずらんメンタルクリニックへ
失感情症(アレキシサイミア)とは
1972年にハーバード大学マサチューセッツ総合病院にて、心身症の治療に功績のあるシフネオス医師によって提唱されました。 感情の欠落ではなく、感情があるのにわからないという症状で、一般人の10.1〜16.3%にみられることから、特別な症状でないことが分かります。 出来事そのものに囚われているため、自分自身の体験について内省したり感情を感じたり、新しく意味づけすることが困難なため、感情を上手く表現できません。
しかし、感情は持っているため心の内でストレスやマイナスの感情がたまってしまい、うつ病・心身症などを招いたり、ためこんだ感情が一気に爆発する場合があります。
失感情症になりやすい人は、遺伝的要因では自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群などの発達障害のある方に多い傾向です。
考えられる理由としては、言語発達の遅れによるコミュニケーション障害で、自分の感情を上手く伝えられないことが考えられます。
その他にも緊張しやすい・ストレスを感じやすい感覚過敏、身体の不調を自覚できない感覚鈍麻、感情を客観的に考えられない想像力障害、強迫性障害などの方に多い傾向です。
さらに、環境要因の場合もあります。子供時代に両親から虐待・育児放棄など親に否定され続けることによる心理的虐待を受け、自分の感情を大切に扱ってもらえなかった場合です。 その他にも、几帳面で完璧症の人・争いごとが嫌いな人・責任感が強くまじめな人・神経質でストレス解消が上手くできない人なども失感情症になりやすい傾向があります。
失感情症(アレキシサイミア)の症状や特徴
失感情症は全身の倦怠感や胃もたれなどのはっきりとした身体症状をはじめ、摂食障害や食物依存症のように人によっては自覚までに時間のかかる症状をきたします。精神面にも影響を与えやすく、うつ病や統合失調症にかかるケースもみられます。
つらい状況になったとしても感情を表に出さないため、周りの人からは、我慢強い人・喜怒哀楽を出さない人と見られる傾向があるのです。
また、感情を認知できないため、感情と行動がずれてしまい、相手に悪いイメージを与える場合もあります。 例えば、何か悲しい出来事が生じたときでも、悲しい感情・取るべき行動がわかりません。その場にいる全員が悲しい気持ちになっているにもかかわらず、自分だけでいつもと変わらないため空気が読めないと言われる場合があります。
それに加え、自分の気持ちがわからないため、他人の気持ちも考えられず、対人関係を築くことが困難です。その結果、コミュニケーションが下手・人の気持ちを考えられないなどと思われてしまいます。
主な症状は下記のようになります。
【症状1】食物依存症
漠然と嫌な気持ちになったときでも、その気持ちを表現できず、代替物で本能的に気分を解消しようとします。
そのため、コントロールできずに一気にたくさん食べてしまう過食行動を繰り返す摂食障害になりやすい傾向があります。 過食を伴う摂食障害は、過食性障害と神経性過食症にわかれます。過食性障害とは食べる行動をコントロールできず、悪い影響を与えるため、やめたいと思っていても、食べることがやめられません。
神経性過食症とは過食があって、コントロールできない感覚になる点は過食性障害と似ていますが、体重増加を防ぐための代償行為があるのが特徴的です。失感情症の方の摂食障害は神経性過食症に生じる場合が多くあります。
【症状2】摂食障害
摂食障害は「異食症」「反芻症」「回避・制限性食物摂取症」「神経性やせ症(拒食症)」「過食性障害」「神経性過食症」の6タイプに分けられます。
失感情症では内省や困難への対処がしづらくなることに加えて、食事に興味がなくなる、無意識のうちに拒食と過食に偏るなどの摂食障害がみられる場合があります。
【症状3】うつ病や統合失調症
うつ病・統合失調症はどちらも精神疾患として知られており、失感情症では気分の落ち込みからうつ病を発症したり、知らないうちにうつ病をそのまま放置したりといったケースがみられます。
考えや感情が次第にまとまらなくなると、統合失調症へと症状が進行している場合もあります。失感情症は喜怒哀楽が乏しくなり感情表現がスムーズに行えないトラブルですが、大きなストレスがかかり続けることで統合失調症を発症するリスクが高まるため、早期に医療機関や専門機関を受診することが大切です。
こちらの記事では、うつ病の初期症状について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
うつ病にはどんな初期症状があらわれる?心身のサインをチェック
失感情症(アレキシサイミア)になる原因
失感情症になる原因は日常生活でのストレス、または生得的な要因が考えられます。
【原因1】ストレス
失感情症は、緊張しやすい人や不安を感じやすい人にみられやすく、ストレスがかかり続けた場合に発症する可能性が指摘されています。
私たちは日常生活のあらゆるところでストレスを感じており、知らないうちにストレスレベルが高まってしまうことがあります。ストレスの程度に応じた対処を行わなければ、ストレスを感じたまま感情を抑えこみ、その結果失感情症へとつながっていくおそれもあります。
【原因2】生得的要因
生得的要因とは、遺伝的に生まれ持った要因のことです。感情の処理や発露がうまくいかないという点で生得的要因が考えられていますが、失感情症の原因はまだはっきりと解明されてはいません。
しかし、生得的要因を持っていたからといってまったく感情が表せないわけではなく、もともと遺伝的な要素がある人がさらにストレスを抱え込んでしまい、失感情症を引き起こしている複合的なケースもみられます。
失感情症(アレキシサイミア)の対処法
感情は複雑なため、言葉で表すことは困難ですが大まかに伝えられ、人の気持ちも何となく理解できることで生活が豊かになると言われています。自分や他人の気持ちに興味を持つことが重要です。 そのためには、下記の対処法が有効です。
【対処法1】リハビリ
下記の手順でリハビリを行うと効果的です。
・自分から逃げずに観察する
日常生活を過ごすにあたって何かしらの刺激があると、感じなくても心の奥底には必ず感情が発生します。 その際に、何かしらのストレスを感じる・違和感があるなどの場合は受け流さずに少しずつでも受け入れます。
・日常で感情を見つける
現在の状況が自分にとって良い感情・悪い感情のどちらかを感じる努力をします。感情の変化を感じるといっても、はっきりと言語化することは難しいため、毎日の淡い感情・小さな感情のサインに気付くことが重要です。
・感情を表現する
何かしらの感情に気付くようになったら、言葉として表現する・涙を流すなど表現してみます。蓄積した感情は何度も表現しようとすれば少しずつではありますが、表現できるようになるため、我慢せずに出し切るようにします。
【対処法2】カウンセリング
リハビリとともにおすすめの対処法はカウンセリングです。カウンセリングを実施することで、現時点での傾向・症状の重さなどをカウンセラーと一緒に把握できます。 カウンセリングの結果、ゆっくり時間をかけて改善していくのか、あるいはどのように進めていくのが良いかなどを相談しながら自分に合った理想の形を見つけられます。
そして、そのために必要なこと・何をすべきなのかなどを考えられるようになります。 専門家に相談することで、自分だけでは認識できない感情も気付くことができるだけではありません。精神的な不調を誘発しそうな場合には、ストレスの軽減・解消方法についても助言を聞けるなど多くのメリットがあります。
失感情症など精神の内容で迷ったら赤羽すずらんメンタルクリニックへ
いかがだったでしょうか。
失感情症は決して特別ではなく、一般人の10.1〜16.3%にはみられます。
しかし、自分が失感情症なのか理解していない方、職場でのストレスなのか頭・腹部・肩・手足などの痛みや胸腹部のもたれ、吐き気、全身倦怠感などが気になるもののどこに相談したらいいのかわからない方も多いはずです。
赤羽周辺に職場がある、埼玉などから都内に移動する方でお悩みの方は、赤羽すずらんメンタルクリニックに一度ご相談ください。
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