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引きこもりとうつ病の関係は?解決方法を紹介

[2024.10.30]

引きこもりは、長期化するとうつ病のリスクが高まります。一日中家の中にいるだけでは、気分が落ち込みやすくなり、精神不安定な状態が続くようになります。

うつ病の症状は、過剰なストレスや喪失感、環境の変化、人間関係のトラブルなどから発症するケースが多く、引きこもりになる原因や引きこもっている状態と深く関わる問題です。

本記事では、引きこもりとうつ病の関係について、そしてその解決方法などを解説します。

目次

1.日本における引きこもりの現状
2.引きこもりとうつ病の関係
3.引きこもりに見られる症状
4.引きこもりの解決方法
5.精神科・心療内科で相談すべきケース
6.TMS治療とは
7.引きこもりは誰かに頼って治していきましょう

日本における引きこもりの現状

内閣府が実施した2022年度の「こども・若者の意識と生活に関する調査」の結果によると、引きこもり状態にある人は、15〜39歳で2.05%、40〜64歳で2.02%、全国で約146万人です。

子どもが不登校で引きこもりになるケース以外に、中高年の引きこもりが増えている傾向です。

参照:こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度) - 内閣府

 

中高年の場合、退職して家にいることが多くなると社会との接点が急激に減ってしまうため、外出する機会がなくなって引きこもりになるケースが増えています。
内閣府の調査では、40代以上のひきこもりのうち、正社員経験のある割合は73.9%、全体の約3割が退職をきっかけにひきこもりになっています。

中高年の引きこもりが、若者世代の引きこもりと大きく異なる点は、引きこもりの改善策や支援の方法です。

若者世代の引きこもりに対しては、社会復帰や就労・就学支援などが克服方法のメインとなりますが、一方、中高年の場合は、今まで就労経験があって職場で何らかのトラブルや悩みを抱えて退職したケースが多いため、就労支援のほかに、老後の目的や介護支援など、年代に適した精神的サポートが重要になります。

 

また、80代の親が50代の子どもの生活を支えるという「8050問題」が引きこもりも含めて現代の社会問題となっています。50代で引きこもりが長期化して高齢の親子が社会的に孤立した場合に、さまざまな問題が起こることが懸念されています。

引きこもりの原因については、個別にさまざまな理由があげられますが、精神疾患や発達障害による場合は医学的なケアが大切です。心の病は、本人だけでは改善することが難しくなるため、周りのサポートを含め、精神科または心療内科での治療が必要です。

 

引きこもりとうつ病の関係

引きこもりは、うつ病と関係しているケースがあります。引きこもり状態で気分が落ち込んでやる気が出ず不安定な場合は、うつ病の可能性があります。

うつ病とは、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減少して精神不安定な状態になる病気です。不安や意欲の低下など心理的症状と身体的な疾患が併発するケースもあります。
一般的に、気持ちが落ち込んでも、大半は自然治癒力で時間が経てば克服することができますが、うつ病で日常生活に支障が起きたり、引きこもりになっている場合は、医療機関や支援機関のサポートが必要になります。

うつ病の主な症状は以下の通りです。以下のうち5つ以上が2週間続いた場合は、専門医の診断を受けるようにしましょう。

※うつ病の症状チェックリスト

  • 悲しくて憂鬱な状態が一日中続く
  • 興味がなくなり何をやっても楽しくない
  • 拒食・過食の傾向がある
  • 不眠・過眠の傾向がある
  • イライラして怒りっぽくなる
  • 疲労感が溜まっている
  • 自分に自信がなく価値が無いと思う
  • 集中力・決断力が欠如している
  • 死にたくなる

引きこもりに見られる症状

では、引きこもりになった場合、どのような症状が現れるのでしょうか。順番に解説します。

昼夜逆転の生活を送る

基本、家の中で一日を過ごすため、時間で行動する習慣がなくなります。学校や仕事へ行く時間を気にしなくて良いため、起床時間や就寝時間が不規則になります。

健康的な睡眠リズムは、朝同じ時間に起きて夜同じ時間に眠ることで維持できます。ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)が約90分周期で一晩に4〜5回程度繰り返されると、一日の疲れを取り除いてぐっすりと眠ることができます。

 

一方、引きこもり生活になると、時間に縛られない反面、持て余した時間をコントロールできなくなり、睡眠時間がどんどん乱れていきます。

また、世間体を気にして昼間の時間帯に家にいる罪悪感から、昼間に寝て、夜に起きるようになるといった昼夜逆転の生活が始まることも多いようです。
さらに、昼夜逆転の生活では、運動することも無くなるので体力が低下し、食欲も減退します。すると、過食または拒食など、食生活も乱れてきます。

生活のリズムは、自分と家族や社会性の中から築いていくものです。引きこもりによって悪循環が起きて、だんだんカラダと心のリズムも崩れていきます

暴力をふるう

睡眠、食事、運動など生活習慣が乱れると、自律神経の働きが悪くなり、イライラすることが多くなります。自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの神経がバランス良く機能していれば正常な状態を保つことができますが、交感神経が働きすぎてしまうと、過度な緊張でイライラするようになります。

イライラ状態が続くと、家庭内暴力や自傷行為、ご近所迷惑など、周りを巻き込んだ事件になって悪循環が始まります。
特に男性の引きこもりの場合、気分の落ち込みよりも不機嫌になって暴力的になる傾向があり、世の中や会社への不満が家族に及ぶことがあります。

さらに、飲酒量が増えるとアルコール依存症にも陥りやすく、興奮して怒りやすい状態になります。

 

また、思春期の引きこもりの場合は、家庭内暴力の他に、リストカットなど自傷行為に走る若者もいます。
自傷行為やアルコール依存症は、一時、気分の落ち込みや不安から解放されますが、またもとに戻れば同じ精神不安定な状態になって、さらにカラダの傷や内臓疲労が蓄積していきます。

同じことを繰り返す

引きこもりでうつ病になると、症状として同じ動作を繰り返す強迫行為の症状が現れます。
うつ病の症状には、強迫行為と強迫観念の2つの症状があり、本人の意思ではなく、しないと気が済まないということが頭から離れられなくなります。

 

例えば、ガス栓の開閉を何度も確認することや、玄関の鍵を繰り返し確認すること、汚れていないのに何回も手を洗うことなど、不安を解消するために勝手に同じ動作を繰り返します。

 

また、数字への異常なこだわりや、物の配置に対する過剰なこだわり等も強迫行為として現れます。

外出時に鍵をかけ直したかどうかが気になる、という程度であれば一般的にもよくあることです。しかし、度を超えた強迫行為が見られる場合や家族への影響がある場合は、専門医に相談しましょう。

引きこもりの解決方法

引きこもりの解決方法は、他人に相談する、頼ることが大切です。自分一人ではさらに引きこもる方向へ進んでしまうため、家族や周りのサポート、医療機関や支援機関と連携して解決することが必要です。

社会的な支援を利用する

引きこもりで悩んでいる人や家族の方は、公共の支援機関を活用しましょう。

厚生労働省:ひきこもり地域支援センターでは、全国にある支援機関・相談窓口で、ひきこもりに関するさまざまな相談を受け付けています。
社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を持つ支援コーディネーターが中心となって来所、または電話での相談支援を行います。
主な支援機関は、福祉・⾏政関係、NPO法人や民間カウンセラーなどの居場所づくり機関、医療機関、ハローワークなど就労機関、教育機関等です。
詳細はお住まいの自治体のホームページからも確認できます。

東京都福祉局:精神保健福祉センターでは、都内の3カ所の精神保健福祉センターより、
こころの健康の保持と向上を目的として精神保健福祉相談を行っています。
思春期・青年期相談の窓口では、学校や職場に行けずに引きこもっている人や、学校、職場家族との人間関係がうまくいていない人、拒食や過食の問題がある人など、さまざまな問題について電話と面接で相談ができます。
また、引きこもりの人の交流の場所を設けて居場所づくりの提供なども行っています。

精神科・診療科に相談する

長期的に引きこもりが続いている場合は、二次障害で精神疾患になるケースがあります。
また、もともと精神疾患や発達障害があって引きこもりになる場合もあります。
一人で悩みを抱えずに、精神科や心療内科の診断を受けて、適切な治療を行いましょう。
引きこもりで外出が困難な場合は、精神科訪問看護のサービスを活用することもできます。

精神科・心療内科で相談すべきケース

精神科や心療内科の診断が必要となるケースは、引きこもりが長期化している場合や原因が精神疾患ではないか疑われる場合です。精神疾患を伴う引きこもりの場合は、放置しておくと他の精神疾患や身体疾患と併発するリスクが高くなりますので、早めの治療を行いましょう。
ただし、精神科や心療内科に診断してもらうには、消極的になってしまう方もいらっしゃるでしょう。精神疾患を患っているということは、世間的にあまり良いイメージではないため、通院するのに躊躇してしまう場合もあるでしょう。
そういうときは、まずは、保健所の相談窓口を利用して、自分の状況を第3者に話すことから始めることもできます。
保健センターや保健所では、精神科や心療内科へ受診相談や、さまざまな心の相談を行うことができます。居住地の保健所のホームページから情報を確認して相談員と直接話して見ると良いでしょう。

引きこもり生活が長期にわたる場合

厚生労働省の「引きこもりの評価・支援に関するガイドライン」では、引きこもりに以下の定義を示しています。
「様々な要因により、就学・就労・交遊などの社会的活動に参加せず、原則的に6ヵ月以上にわたり概ね家庭にとどまっている状態」。
したがって、目安として6か月以上引きこもりを続けている場合は、専門医の診断を受けることが必要です。

引きこもりの原因が精神疾患にある場合

引きこもりになる前に、何らかの精神疾患、発達障害であった場合は、まずは専門医の治療を優先することが必要です。
精神疾患や発達障害は、それぞれ症状によって治療法が異なりますので、適切な治療計画で引きこもりを改善していきましょう。

※精神疾患群

  • 統合失調症:感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如、自閉(引きこもり)、妄想・幻覚・思考障害、認知機能障害など
  • 気分障害:過度な気分の落ち込み(うつ病)と高揚する気持ち(躁病)など
  • 不安障害:パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害など

※発達障害群

  • 広汎性発達障害:自閉性障害、レット症候群、小児期崩壊性障害、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害など
  • 発達障害:ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症)など

TMS治療とは

精神疾患や発達障害の治療には、薬物療法や行動を改善する治療、TMS治療などがあります。TMS治療とは、磁気で脳を刺激してシナプスの働きを活性化する治療法です。
反復経頭蓋磁気刺激法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)の略で、アメリカ発の治療方法です。

日本国内では重度のうつ病のみが保険適用ですが、発達障害とその他の精神疾患については、保健適用外となっています。また、治療と効果についての報告は、一部の難治性うつ病に対してのみであるため、まだ研究レベルの段階だという状況です。
発達障害で行われている薬物療法と比較すると、薬による副作用がなく身体的負担が少ないので、継続的に治療を行うことができます。

引きこもりは誰かに頼って治していきましょう

引きこもりでうつ病など精神疾患を伴う場合は、早めの治療が必要です。引きこもりが長期化すると、身体機能の低下やさまざまな精神疾患のリスクが高くなります。また、周りで支えてくれる家族への負担も多くなってしまいます。
引きこもりは、カラダと心のバランスが崩れてしまって、どうにもならない状態になっていることです。一人で抱えて家の中に閉じこもっていては改善しません。
家族や、相談できる人に頼って適切な医療機関で治療を始めましょう。

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