【チェックリスト付】パニック障害の症状|禁忌や対処法も紹介
「パニック障害の症状・症候とは?」
「パニックになった際の対処法や治療法を知りたい」
「パニック障害を悪化させかねないものとは?」
名称のわかりやすさにより知名度は高いものの、正しい理解度はまだまだであるパニック障害。
本記事では、パニック障害に関する冒頭の疑問について、詳しく解説していきます。
パニック障害に悩む方やクリニックの受診を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.パニック障害とは2.パニック障害の3つの症候
3.パニック障害になりやすい人の特徴
4.パニック障害の症状
5.パニックになった際の対処法
6.パニック障害を悪化させかねないもの
7.パニック障害の治療法
8.パニック障害に関する注意点
9.パニック障害の症状は多岐にわたる
パニック障害とは
パニック障害とは、不安症に分類される精神疾患の一種です。
突然生じる急激な動悸・発汗・息苦しさ・震えなどのパニック発作が主症状です。
また、いつ発作が起こるかわからないため、発作の再発を恐れることも症状として挙げられます。
このため、発作が起こっていなくとも、雑踏を恐れ外出が困難になるケースが多く見られます。
パニック発作に対しては薬物療法が主な援助方法です。
ただし、いつ発作が起こるかわからない不安症状や、雑踏を恐れ外出が困難になってしまう症状に対しては、行動療法や認知行動療法が行われます。
複合的な援助が必要といえるでしょう。
パニック障害の3つの症候
パニック障害は、さまざまな形で身体に生じるパニック発作を主症状とする疾患です(詳細は後述します)。
しかし、その症候は以下の3つに大別され、それぞれ治療法も異なります。
症候名 |
概要 | 主な治療法 |
パニック発作 | 突然生じる急激な動悸・発汗・息苦しさ・震えなど | 薬物治療 |
予期不安 | いつ発作が起こるかわからないため、発作の再発を恐れる | 行動療法(認知行動療法など) |
広場恐怖 | 予期不安により、雑踏や外出を恐れる | 行動療法(認知行動療法など) |
パニック障害になりやすい人の特徴
ここからは、パニック障害になりやすい人の特徴を見ていきましょう。
4つに分けて解説していきますが、これらはあくまで「なりやすい」という傾向です。
以上の特徴を持っているから精神的に未熟ということは決してありません。それらを踏まえたうえでご覧ください。
繊細・感受性が豊か
繊細・感受性が豊かな人は、パニック障害になりやすい傾向があります。
彼らは日常のストレスや外部の刺激に敏感であり、感情を強く受け止める傾向があります。
その結果、小さな出来事でも過剰に不安や恐怖を感じ、パニック症状が引き起こされることがあるのです。
また、過去のトラウマや心理的な負担も感受性に関連しており、これらがパニック障害の発症につながることもあります。
繊細な人々は自己批判的であり、完璧主義やコントロールへの願望が強いため、不安が増幅されパニック症状が起こりやすくなるため、治療では感情の調整やストレス管理法が重要なアプローチとなります。
完璧主義
完璧主義は、パニック障害になりやすい人の特徴のひとつです。
完璧主義の人は、常に自分自身に高い基準を課し、失敗や不完全さを許容できません。
このような思考パターンは過度なストレスを引き起こし、パニック症状が発生しやすくなります。
そこには、常に不安や心配が存在しており、失敗への恐れやコントロールの欲求が強く、緊張感が漂います。
さらに、完璧主義者は自己評価が厳しく、自身の目標に対して過度のプレッシャーをかける傾向も。
パニック障害の治療では、完璧主義を緩和し、自己受容や柔軟性を促すアプローチも重要です。
ストレスにさらされている
ストレスにさらされている人も、仕事や学校、人間関係などの日常のストレス要因によって、過剰な不安や恐怖を感じ、パニック症状の発生を引き起こす可能性があります。
また、長期間続く過度のストレスは身体的・心理的なバランスを乱しかねません。
ストレス管理やリラックス法の実践など、ストレスを軽減する方法を取り入れることが重要です。
こちらの記事ではストレスが限界にきているときのサインやストレスが原因の病について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
ストレスが限界に達しているときのサインとは?見逃さず早めに受診を
遺伝
パニック障害の発症には遺伝要因が関与しているという学説もあります。
遺伝的な要素は、個人がパニック障害を発症する確率を高めたり、症状の重症度を増大させる可能性があるとされています。
パニック障害が脳の疾患である以上、遺伝が関係していることはそこまで不思議ではないでしょう。
ただ、家族にパニック障害を持つ人がいる場合、たしかに自分自身も発症しやすくなる可能性があるわけですが、遺伝的な要素だけではなく、環境要因もパニック障害の発症に影響を与えることも覚えておく必要があります。
パニック障害の症状
次に、パニック障害の具体的な症状を紹介します。
実際に臨床の場で用いられる診断マニュアル「DSM-5(米精神医学会)」によると、以下13の症状のうち4つ以上の症状が現れることを、診断基準としています。
- 動悸・心拍数の増加
- 発汗
- 身震い・体の震え
- 息切れ・息苦しさ
- 窒息感
- 胸痛・胸の不快感
- 吐き気・腹部の不快感
- めまい・ふらつき・気が遠くなる感覚
- 寒気・火照り
- 異常感覚(しびれ・うずきなど)
- 非現実感・離人感・解離感
- 自我のコントロールを失う恐怖・狂う恐怖
- 死への恐怖
パニックになった際の対処法
ここからは、パニックになった際の対処法を解説していきます。
主な方法は以下の4つです。
- 軍隊式の呼吸法を実践する
- 副交感神経を優位にするツボを押す
- 常備している市販の漢方・ドリンクを飲む
- CBDを吸引する
それぞれ見ていきましょう。
軍隊式の呼吸法を実践する
「軍隊式の呼吸法」は、パニック発作時に効果的な対処法です。
この方法では、吸う時間よりも長くかけてゆっくりと息を吐く腹式呼吸を行います。
吸っている間は、腹部を膨らませてゆっくりと息を吸い込みましょう。
そして吐く際には吸った時間の2倍の長さかけて、ゆっくりと息を吐き出します。
この方法によって、副交感神経が活性化され、ストレスと緊張が劇的に軽減されることが実証されています。
これにより、パニック症状を和らげることができ、冷静さを取り戻しやすくなるでしょう。
副交感神経を優位にするツボを押す
パニック時の対処法のひとつは「副交感神経を優位にするツボを押す」ことです。
具体的には、労宮(ろうきゅう)と神門(しんもん)という2つのツボが挙げられます。
これらのツボを押すことで、副交感神経の活性化を促し、リラックス状態を促す効果があるのです。
労宮は手のひらのくぼみ、中指と薬指から続く骨の間にあり、神門は手の付け根のくぼみ、小指側にあります。
指圧やマッサージなどでこれらのツボを刺激することで、深い呼吸や心拍数の調節、緊張の緩和が期待できるでしょう。
ただし、自己判断でツボを押す前に適切な方法や場所を確認し、安全に行うことが大切です。
常備している市販の漢方・ドリンクを飲む
パニック時の対処法のひとつは「常備している市販の漢方・ドリンクを飲む」ことです。
具体的な例としては、緊張をやわらげる効果がある半夏厚朴湯や、テアニンの豊富な緑茶、そして養命酒が挙げられます。
半夏厚朴湯は、中医学でストレスや緊張を軽減する作用があり、漢方薬局やドラッグストアで購入できます。
緑茶に含まれるテアニンは、リラックス効果や集中力の向上を促すとされ、精神的な安定感をもたらすことで知られています。
また、養命酒はリラックス効果や体力回復効果がある伝統的な漢方のブレンドです。
これらの漢方やドリンクは、体調や個人の状況によって効果に差がありますが、安心感やリラックス効果を感じる人も多くいます。
ただし、飲む際は使用方法や服用量を守り、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
CBDを吸引する
パニック発作時の対処法のひとつには、CBD(カンナビジオール)の摂取が挙げられます。
CBDは植物の麻に含まれる植物性成分であり、抗不安・リラックス作用があります。
WHO(世界保健機関)もその効果を推奨していることから、その有用性は信頼できるでしょう。
CBDの摂取は吸引や経口摂取など複数の方法があります。
吸引すると効果がすぐに現れ、不安症状の緩和に役立つでしょう。
CBD製品はオンラインのショッピングサイトで手軽に手に入れることができますが、CBDの効果や使用方法は個人差があるため、専門家と相談したうえでの購入・使用をおすすめします。
パニック障害を悪化させかねないもの
カフェインは神経興奮作用があり、パニック障害の症状を悪化させる可能性があります。
アルコール摂取も神経を興奮させる作用があるほか、中枢神経抑制作用もあり、不安や恐怖感を増大させる可能性があるでしょう。
また、炭酸(二酸化炭素)も、パニック発作を誘発する可能性があることから好ましくありません。
パニック障害の治療法
パニック障害の治療法としては、すべからくクリニックでの治療を徹底すべきです。
基本的には「薬物治療」と「行動療法(認知行動療法)」が行われます。
薬物治療では、抗不安薬や抗うつ薬が一般的に使用されます。
これらの薬は症状の軽減や予防に効果があり、わかりやすくいえば「治す」というよりも「治しやすくする」「症状を抑える」という側面が強い方法です。
行動療法では、パニック発作が起きるトリガーや思考パターンを特定し、それに対する行動や思考を変えることを目指します。
なかでも認知行動療法では、思考を整えるトレーニングを行い、不安を減少させる技術を身につけます。
ストレスに対する耐性を高めるためのトレーニングが行われることも多く、これら治療法を、パニック発作の状況や深度にあわせて複合的に採用するのです。
パニック障害に関する注意点
パニック障害の治療においては、焦らずにじっくり向き合うことが重要です。
専門家の指導を受け、段階的な治療を進めましょう。
また、周りの人による共感や励ましは有益な場合もありますが、安直な共感や励ましは本人の気持ちを軽視することにもつながるため避けるべきです。
パニック障害は個人によって異なる症状を引き起こすため、専門家のアドバイスに従うことが肝要です。
パニック障害の症状は多岐にわたる
今回は、パニック障害の症状について解説してきました。
主な症状は3つですが、パニック発作の種類は多岐にわたります。
心拍数の増加や息切れ、胸の圧迫感、めまい、手のふるえなどの身体症状が現れる場合も少なくありません。
さらに、不安感、恐怖感、現実感の喪失、死への恐怖などの心理症状も見られるケースがあります。
パニック障害の症状は個人によって異なるため、専門家の診断と適切な治療を受けることが大切です。