認知症の初期症状と早期発見のポイント
「軽度認知障害(MCI)の初期症状や前兆は?」
「認知症の主な原因とは?」
「認知症の進行のしかたを知りたい」
日本では、高齢化とともに認知症の患者数も増加の傾向にあります。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」をもとに推計されたデータによると、将来的に65歳以上の5.4人に1人が認知症になるといわれています。
本記事では、認知症の初期症状と進行について、チェックポイント付きで解説していきます。
身近に高齢者の方がいる方や、認知症について知っておきたいという方は、ぜひご参考ください。
目次
1.認知症の主な原因2.軽度認知障害(MCI)の初期症状や前兆
2-1.MCIは気づきにくい
2-2.日常のなかで見られるMCIのサイン
2-3.会話で見られるサイン
2-4.炊事で見られるサイン
2-5.仕事で見られるサイン
3.認知症の初期症状
3-1.もの忘れ
3-2.気分の落ち込み・混乱
3-3.集中力の低下
3-4.時間や場所がわからなくなる
4.認知症の進行のしかた
4-1.中核症状
4-2.行動・心理症状
5.早期発見することの大切さ
6.初期症状のチェックポイント
6-1.ポイント①もの忘れがひどい
6-2.ポイント②判断力が低下する
6-3.ポイント③時間や場所がわからなくなる
6-4.ポイント④人柄が変わる
6-5.ポイント⑤不安感が強い
6-6.ポイント⑥意欲がなくなる
7.認知症の初期症状は主に4つ
認知症の主な原因
認知症は、さまざまな原因によって記憶や思考などの認知機能が低下して、日常生活や社会生活に支障をきたすことをいいます。
認知症は、脳がダメージを受けた場所によってさまざまな種類があります。主にアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症の3つに大きく分けられており、この3つで全認知症の約8割が該当していますが、詳しい原因自体は解明されていません。
こちらの記事では、認知症の原因とものわすれとの違いについてくわしく解説しています。あわせてぜひご覧ください。
認知症になる主な原因にはどんなものがあるの?
軽度認知障害(MCI)の初期症状や前兆
軽度認知障害(MCI)という言葉を知っているでしょうか。
これは、認知症になる一歩手前の状態のことで、いわば「健常者と認知症の境界」にあたります。
この段階では、まだ「認知症ではない」といえます。
ここでは、軽度認知障害(MCI)の初期症状や前兆について、以下の5つの観点から解説していきます。
- MCIは気づきにくい
- 日常のなかで見られるMCIのサイン
- 会話で見られるサイン
- 炊事で見られるサイン
- 仕事で見られるサイン
それぞれ順に確認してください。
MCIは気づきにくい
軽度認知障害(MCI)は軽い記憶障害があるものの、日常生活には大きな支障がない状態です。
進行度合いでいえば「初期の認知症」よりも手前のため、気づきにくいという特徴があります。
本人や周囲も老化だと見過ごしやすく、診断が遅れがちです。
早期発見が重要なため、少しの記憶の問題も注意深く観察することが大切です。
日常のなかで見られるMCIのサイン
軽度認知障害(MCI)の日常的なサインには、普段の会話での忘れ物が多くなる、同じ質問を繰り返す、物事を計画または組織することに困難を感じるなどがあります。
これらは老化の一環として見過ごされがちですが、気づいたら医療の専門家に相談をおすすめします。
会話で見られるサイン
軽度認知障害(MCI)では、話の流れを追いきれなかったり、物の名前を思い出せなかったりすることがあります。
また、話題を反復してしまったり、ごく簡単な決断にも時間がかかるようになります。
これらは日常会話中に見落としがちですが、認識して適切なサポートを検討することが重要です。
炊事で見られるサイン
軽度認知障害(MCI)の方は炊事中にレシピの手順を忘れたり、いつも使う調味料の名前を思い出せなかったりすることがあります。
また、使った食器を片付けるのを忘れることが多くなったり、火の元の管理が不十分になることもあるので注意が必要です。
キッチンでの小さな変化に気づくことで、早期の対応が可能になります。
仕事で見られるサイン
仕事での軽度認知障害(MCI)の兆候には、以前は容易にこなしていたタスクを完了するのに通常よりも長くかかる場合や、しばしば重要な締め切りを忘れたり、会議の日程やアポイントメントを取り違えたりすることが含まれます。
頻繁に書類や物を置き忘れたり、日常の業務手順を覚えておくのに苦労することもサインのひとつです。
認知症の初期症状
ここからは、MCIよりも一段階認知症へと進み「認知症の初期」といわれる段階の症状について解説していきます。
主な症状としては、以下の4つが挙げられます。
- もの忘れ
- 気分の落ち込み・混乱
- 集中力の低下
- 時間や場所がわからなくなる
それぞれ見ていきましょう。
もの忘れ
認知症の初期段階での「もの忘れ」は、日々の忘れ物がただのうっかりとは異なります。
重要な約束や親しい人の名前を忘れることがあり、新しい情報の記憶が困難になることが特徴です。
これらのもの忘れは、日常生活に支障をきたすこともあります。
常にはっきりとしたパターンがあるわけではないので、気になる変化が見られた場合は専門家の診断を受けることをおすすめします。
気分の落ち込み・混乱
認知症の初期症状のなかで、気分の落ち込みや混乱はよく見られます。
患者は普段と異なり落胆しやすくなったり、状況に適切に反応できなくなることがあります。
士気が低下し、以前楽しんでいた活動に興味を失うことも。
また、簡単な決定を下すことが難しくなり、日々のルーチンが混乱することがあります。
これらは認知症を示唆する兆候の可能性があるため、注意が必要です。
集中力の低下
認知症の初期症状では、集中力の低下がしばしば見られます。
この症状では、以前はスムーズにできた複数のことを同時に行うのが難しくなり、注意を維持することが困難になります。
短期間で注意が散漫になり、タスクに没頭することができなくなることがあるでしょう。
日常生活に支障をきたす可能性があるので、早めに医師に相談することをおすすめします。
時間や場所がわからなくなる
認知症の初期には、時と場所の感覚が乱れることがあります。
日付や曜日を見失うなど、なじみの深い場所でも自分がどこにいるのかわからなくなることが起こりがちです。
これは単に道に迷うというレベルを超え、家や職場のようななじみの環境でさえも、置かれている場所や時間が認識できないことを意味しています。
もしこれらの症状が見られたら、専門家の意見を求めることが大切です。
認知症の進行のしかた
認知症の進行のしかたは、基本的には以下の通りです。
- 健常
- 軽度認知障害(MCI)
- 認知症(初期)
- 認知症(中期)
- 認知症(後期)
しかし、人や環境によっては、これらの一部段階を飛ばしている(あるいは気づかずにいる)という方も存在します。
ここからは、以下の2点に焦点を当てて見ていきましょう。
- 中核症状
- 行動・心理症状
それぞれ、確認してください。
中核症状
認知症の中核症状は、記憶障害、判断力の低下、抽象思考の困難、言語機能の障害です。
これらには、日常生活の自立性が損なわれ、知的能力の衰えが含まれます。
当事者は日々の出来事を覚えるのが難しくなり、日常の判断がしにくく、複雑な概念を理解することに苦労し、言葉を見つけるのが難しくなります。
行動・心理症状
認知症の行動・心理症状には、うつ症状、不安、幻覚や妄想、攻撃性、徘徊といったさまざまな症状が含まれます。
これらは認知障害と同様に、当事者の生活の質に大きく影響し、家族や介護者の生活にも影響を与えることがあります。
適切なアセスメントと個別化されたケアプランにより、これらの行動や心理症状を管理することが大切です。
早期発見することの大切さ
早期発見が認知症治療の鍵です。
初期段階で対処することで、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持しやすくなります。
また、本人と家族が将来のケア計画を立てるための重要な時間も確保できます。
早期介入は、症状の管理を改善し、本人と家族の精神的な負担を軽減します。
初期症状のチェックポイント
最後に、初期症状の6つのチェックポイントを紹介して終わります。
- もの忘れがひどい
- 判断力が低下する
- 時間や場所がわからなくなる
- 人柄が変わる
- 不安感が強い
- 意欲がなくなる
それぞれ順に確認してください。
ポイント①もの忘れがひどい
認知症の初期症状である「もの忘れがひどい」は、日常の細かい出来事や、覚えたばかりの情報をすぐに忘れるという状況を指します。
平凡な忘れ物と異なり、この忘れ方は日々の機能に支障をきたし始めるレベルのものです。
早めに気づき対応することが大切です。
ポイント②判断力が低下する
認知症の初期における「判断力の低下」は、日常の決定を下す能力が衰えることを指します。
たとえば、金銭管理に問題が出たり、家事の判断ミスが増えたりします。
こうした変化は、以前の人の判断能力と比較し、顕著な差として現れることが多いです。
早期の気づきが対応策を講じるためには重要です。
ポイント③時間や場所がわからなくなる
認知症の初期段階で現れる「時間や場所がわからなくなる」症状は、自分がどの時間帯にいるのか、あるいはどこにいるのかが混乱することです。
慣れ親しんだ場所や日常のスケジュールについても混乱し、これまで自然とできていた時間感覚の見失いを感じることがあります。
ポイント④人柄が変わる
認知症初期における「人柄が変わる」とは、普段の性格が異なる行動や反応を示すようになることです。
たとえば、穏やかだった人がすぐにいら立ったり、社交的だった人が引きこもりがちになったりなど、その変化は家族や友人にとっても明らかなものとなることがあります。
こうした性格の変化に気づくことが、早期の対応につながります。
ポイント⑤不安感が強い
認知症の初期症状で見られる「不安感が強い」状態は、何かにつけて心配したり、普段よりも不安に感じやすくなったりすることを指します。
些細なことで怖がったり、不安定な気持ちが強まったりして、日常的な安心感を失いがちになります。
これらの感情の変化に気付くことは、対処法を見つける第一歩です。
ポイント⑥意欲がなくなる
認知症初期の「意欲がなくなる」という症状は、以前楽しんで取り組んでいた活動や趣味への関心が薄れ、何をするにもやる気が起きなくなる状態を指します。
日々の生活における情熱や動機づけが失われがちで、元気がなく無関心に見えることがあります。
認知症の初期症状は主に4つ
認知症初期では、物忘れが目立ち始め、日常のちょっとしたことを忘れることが多くなります。
気分が落ち込んだり、普段とは違う混乱を感じたりすることもあります。
集中力が持続せず、仕事や趣味に没頭できなくなるかもしれません。
また、日付の感覚が狂ったり、馴染みの場所でも戸惑うことが出てきます。
これらのサインに早めに気づくことが大切です。
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