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TMS治療は怪しい?治療を受ける際のポイントも解説

[2024.03.30]

TMS治療は、薬を使わずに、短期間でうつを治療する新たな治療方法です。2019年、日本ではうつ病に対するTMS治療が保険診療化になりました。

しかし保険診療化されたばかりの治療であり、TMS治療の経験がある日本の医療者はまだあまり多くないため、TMS治療はまだこれからの進化が期待されている治療方法といえるでしょう。

本記事では、TMS治療について気になっている方や、治療を検討している方に向けて、詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

目次

1.TMS治療とは?
2.TMS治療に期待できる効果
3.TMS治療は怪しい?
4.TMS治療が怪しいと言われる原因
5.TMS治療を受ける際のポイント
6.TMS治療をご検討されている方へ

TMS治療とは?

TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)治療とは、うつ病やてんかんなどの神経疾患の治療法のひとつで、別名「経頭蓋磁気刺激療法」ともいわれています

非侵襲的治療(手術を必要としない治療)であり、薬物治療に比べても副作用が少ないため、安全性の面でも優れています。

従来の治療法に反応しない患者に対しても有効な選択肢とされており、まだまだ研究段階にありながらも、その効果はすでに臨床的な認知が広がっています。

TMS治療は通常、週に5回ほど行われ、各セッションは約20〜30分程度です。治療期間・回数はプロトコール(治療に関する規定・手順・計画)によって異なりますが、通常は30回程度です。

TMS治療のメカニズム

TMS治療は、脳に磁気刺激を送ることで神経回路を直接刺激し、その活性化を促す治療法です。具体的には、頭皮に装着されたコイルから強力な磁場を発生させ、脳の特定の領域に向けてパルス状の磁気刺激を送ります。

この磁気刺激が脳の表面を通過すると、神経細胞の興奮性や活動性が変化し、神経回路の機能が調整されます。特定の脳領域に刺激を与えることで、神経回路のバランスを調整し、異常な活動を正常化する効果が期待できます。

うつ病は特定の脳領域で活動が低下していることが知られており、TMS治療はこの活動が低下した領域を刺激することで、神経回路の活性化を促し、うつ症状の緩和や改善を図ります。

TMS治療は薬物療法とは異なり、脳に対して直接刺激が与えられることから、副作用の報告が少なく、治療効果の発現も早いと言われています。

また、手術や麻酔が不要のため、身体的負担も最小限に抑えられます。

これらのことから、薬物治療に抵抗感のある方や、副作用を避けたい方にとっては、有望な治療法と言えるでしょう。

TMS治療に期待できる効果

TMS治療のメカニズムがわかったところで、ここからはTMS治療によって期待できる効果を見ていきましょう。
現状、以下の3つが報告されています。

  • うつ症状の軽減と再発防止
  • 強迫症状の緩和
  • 認知機能の維持

それぞれ解説していきます。

効果①うつ症状の軽減と再発防止

うつ症状の軽減と再発防止は、TMS治療における期待される効果のひとつです。

研究によると、うつ症状に苦しむ患者はTMS治療によって3〜4割程度の改善・軽減効果を実感し、再発の頻度も低下すると報告されています。

先述の通り、TMS治療は非侵襲的な神経刺激法であり、脳の特定領域に磁気刺激を与えることで神経回路の活動を変えます。

この方法によって脳の活性化が促進され、うつ症状の改善や再発の予防が可能とされているのです。

こちらの記事では、TMS治療がうつ病治療に効果的な理由について解説していきます。あわせてぜひご覧ください。
TMS治療はうつ病治療の救世主って本当?薬に頼らないとっておきの方法

効果②強迫症状の緩和

強迫症状の緩和も、TMS治療における期待される効果のひとつです。

強迫症は不合理な恐怖や強迫的な思考や行動が特徴であり、日常生活に支障をきたすことがありますが、TMSはこれらの症状の緩和に効果を持ちます。

研究によると、TMS治療を受けた患者の多くが強迫症状の軽減を経験し、生活の質の向上が見られると報告されています。

また、TMS治療は従来の治療法と比べて副作用が少ないことからも、強迫症状の緩和に有望な選択肢と言えるでしょう。

効果③認知機能の維持

認知機能の維持も、TMS治療における期待される効果のひとつです。

認知機能は、記憶、集中力、情報処理などの脳の働きを指し、慢性的なストレスや加齢によって低下することがありますが、脳の特定領域に磁気刺激を与えることで神経回路の活動を調整するTMS治療は、このような認知機能の維持にも役立ちます。

具体的には、TMS治療を受けた患者の一部は認知機能の改善を経験し、注意力や思考能力の向上が報告されています。

TMS治療は怪しい?

「電気刺激」と聞くと、あまり聞きなれないため、安全性や効果について疑問が生じるかもしれません。

TMS治療が怪しいと囁かれる理由のひとつには、そうしたイメージもあるでしょう。

しかし、TMS治療は多くの臨床経験を通じてその効果が立証されています。

とくに、強迫症状の緩和や認知機能の維持においてその効果が報告されています。日本精神神経学会もTMS治療の安全性を認めており、正式な治療法として位置づけられていると言って良いでしょう。

また、臨床試験や研究においてもTMS治療の安全性が確認されており、副作用のリスクは比較的低いとされています。ただし、当然個々の症例によって効果は異なる場合があります。

また、プロトコールや使用機器によっても効果は異なる場合があるでしょう。

いずれにせよ、治療の効果などについては、医師との十分な相談が必要です。

TMS治療が怪しいと言われる原因

ここからは、TMS治療が「怪しい」と言われる原因を解説していきます。
考えられるのは、以下の5つです。

  • 過剰な治療効果のアピールをしている
  • 適応疾患の根拠がない
  • 精神科医の診断がない
  • 高額な治療費が請求される可能性がある
  • 認知度が低く症例が少ない

それぞれ見ていきましょう。

原因①過剰な治療効果のアピールをしている

まずは、過剰な治療効果のアピールが、医療行為としての信頼性を揺るがす原因のひとつとされます。

たしかに革新的な治療方法ですが、こうした治療効果の誇張は、患者に対して虚偽の期待を与える可能性があります。

医療専門家は、真実に基づいた情報提供を行い、患者の適切な選択を支援する責任があります。

健全な医療行為は、治療効果を過度にアピールすることなく、透明性と正確性を重視することが必要です。

原因②適応疾患の根拠がない

一部語られている適応疾患の根拠がないという理由によって、TMS治療が怪しいとされることもあります。

ここで言う「適応疾患」とは、TMS治療が効果的とされる疾患のことです。

しかし、十分な科学的根拠や信頼性のある研究結果がない場合、治療効果や安全性が疑われることになります。

具体的には、発達障害や慢性疲労症候群、コロナワクチン後遺症などは、適応疾患と一部で語られながらも確証にたる十分な臨床研究はいまだありません。

とはいえ、今後の研究によっては、TMS治療の信頼性と効果の評価が向上し、患者への適切な治療が提供されることとなるでしょう。

原因③精神科医の診断がない

TMS治療が怪しいとされる原因のひとつには、精神科医の診断がないということもあります。

TMS治療は、主にうつ病や統合失調症などの精神疾患の治療に使用されますが、当然正確な診断は精神科医の専門知識に基づいて行われるべきです。

精神科医の診断は、患者の症状や病歴を詳細に把握し、適切な治療法を選択するために重要です。

しかし、一部の施設では、実は精神科医以外によってTMS治療が行われている場合もあります。

TMS治療は高い安全性を誇りますが、もちろん副作用やリスクが0とは言えず、まだまだ発展途上の治療方法であるため、専門医の監督のもとで行われるべきです。

原因④高額な治療費が請求される可能性がある

TMS治療が怪しいと言われる原因のひとつには、高額な治療費が請求される可能性があるという点も挙げられます。TMS治療は専門的な医療技術を必要とすることから、治療の費用が高額になる傾向があります。

しかし、一部の施設や業者では、高額な治療費を請求する場合があるため、治療の信頼性や公正性が疑われるのです。

2019年、日本でもうつ病の治療法としてTMS治療が保険適用になりました。

しかし、日本国内ではTMS治療専門の医師がまだ少なく、症例も少ないことから、保険適用でうつ病のTMS治療を受けられる病院はごく一部に限られています。

また、医療施設や治療対象者の認定基準や治療計画が厳しく定められており、患者本人が保険適用を希望しても、なかなか保険適用で治療が受けられない現状です。

そのため、TMS治療を希望する場合、ほとんどの方は自由診療で治療を受けることとなります。

原因⑤認知度が低く症例が少ない

日本国内での認知度の低さと症例の少なさも、TMS治療が怪しいと言われる原因のひとつです。TMS治療は比較的新しい治療法であり、一般の人々や医療従事者にとってはまだあまり知られていません。

また、TMS治療の症例数も限られており、十分な科学的なエビデンスが蓄積されていないため、治療の効果や安全性に関して疑念が生じることがあります。

しかし、研究や臨床試験が進んでおり、将来的にはより多くの情報が得られることが期待されています。

TMS治療を受ける際のポイント

最後に、TMS治療を受ける際のポイントも見ていきましょう。
主なポイントは以下の2つです。

  • ビジネス意識のある医療機関を選ばない
  • 自由診療の医療機関はよく確認する

それぞれ確認してください。

ポイント①ビジネス意識のある医療機関を選ばない

ビジネス意識の強い医療機関は、利益追求や商業的な動機によって治療の実施や回数を増やす傾向があります。TMS治療は、適切なタイミングや適切な頻度で行わなければいけません。

しかし、ビジネス意識が強い医療機関では、患者の状態に関係なくTMS治療を頻繁に行ってしまう場合があります。これにより、本来の治療目的や個別の患者の状態に合わない治療が行われるおそれがあります。

そのため、患者が安心してTMS治療を受けるためには、医療機関を選ぶ際にビジネス意識の強いとされる医療機関を避けることが重要です。

代わりに、倫理的な医療提供を心がけ、患者の状態に適切な治療プランを提案する医療機関を選ぶようにしましょう。

TMS治療の保険診療が適用できる医療機関がおすすめです。

ポイント②自由診療の医療機関はよく確認する

自由診療は公的医療保険の対象外の治療であり、費用が高額になる可能性があるだけでなく、倫理的な問題を抱えているリスクがあったり、独自のプロトコールを使用していたりします。

そのプロトコールが高い効果を発揮することもありますが、自由診療の医療機関を選ぶ際は、まずは信頼できる医師や専門家が在籍しているかどうか入念に確認した方が良いでしょう。

自由診療を提供する医療機関は多くありますが、たしかな実績や評判のある施設を選ぶことが重要です。

TMS治療をご検討されている方へ

TMS治療は、日本国内ではまだ認知度が低く、専門医が少ない治療法です。

十分な情報が少ないことから、治療の効果や安全性に対する疑念へつながり、「TMS治療は怪しいのではないか」と不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、実際には副作用がほとんどない・治療効果の発現が早い・身体的負担が少ないなどのメリットが多く挙げられています。

また、多くの先進国で選択されていることから、これからの発展が期待できる治療法といえるでしょう。

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