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TMS治療はうつ病治療の救世主って本当?薬に頼らないとっておきの方法

[2023.10.23]


現代社会において、うつ病は多くの人々が抱える重大な健康問題であり、解決するための新たな方法が求められています。

そこで注目されているのが、脳深部磁気刺激療法(TMS)という治療法です。

TMS治療は、脳の特定の領域、特にうつ病と関連が深い前頭葉とその周辺の神経回路に直接作用し、その活動性を高めることで、うつ病の症状を軽減します。

これまでの薬物療法が全身に作用して副作用が伴うことがある一方で、TMS治療は非侵襲的で、特定の領域だけに対する影響を持つというメリットがあります。

では、具体的にTMS治療がうつ病治療に効果的な理由とは何でしょうか。

目次

1.うつ病とは
2.TMS治療とは
3.TMS治療のメリット
4.TMS治療がうつ治療に効果的な理由
5.TMS治療の適正
6.TMSの治療効果
7.TMS治療の頻度と期間
8.TMS治療の副作用
9.TMS治療の今後
10.TMS治療の未来への期待

うつ病とは

うつ病は、私たちが日々生活している中で抱える心の問題のひとつであり、精神的に追い込まれたときに発症することがあります。

うつ病の主な症状としては、長期にわたる一貫した気分の低下、何週間も元気がない状態が続いて何事にも興味や楽しみを感じられない、食欲がない、眠れない、集中力がなくなるなどがあげられます。

更に、意欲の低下、自己評価の低下などもしばしば伴います。

また、身体的な症状としては、体重変化、体調不良、頭痛や胃痛なども報告されています。

うつ病は誰でもなる可能性があり、年齢、性別、職業などを問わずに発症します。重度のうつ病は日常生活に大きな支障をきたし、対人関係や職場でのパフォーマンス、学校での成績に影響を与えます。

参照: e-ヘルスネット(厚生労働省)|体の不調はうつ病でも現れます

TMS治療とは

TMS治療は、「反復性経頭蓋磁気刺激療法」の略称で、うつ病の治療法のひとつです。

非侵襲性で薬物を使わないこの治療法は、磁気刺激を利用して脳の特定の部分を刺激します。

具体的には、うつ病の症状を引き起こす可能性がある脳の部分、特に前頭葉を刺激します。この部位は私たちの気分や感情を制御する役割を果たしています。

TMS治療は、患者さんが座った状態で行われ、頭部に特殊なコイルをあてます。

このコイルから発生する磁気刺激が脳に送られ、活動を調節します。治療は無痛で、全身麻酔や入院が必要ないという特徴があります。治療は通常、1日に1回、1週間に5日(週5回)、約4〜6週間続けられます。

こちらの記事では、具体的にTMS治療がうつ病治療に効果的な理由をくわしく解説しています。あわせてぜひご覧ください。
TMS治療とは?効果や安全性について解説

 

TMS治療のメリット

脳波のパターンを調整し、うつ病の根源に対処することができるTMS治療は、他の治療法とは一線を画す有望なアプローチです。 その特性から多くのメリットがあり、うつ病を煩う人にとって希望の光となっています。

副作用の少なさ

TMS治療のひとつの大きな特徴は、副作用の少なさです。

薬物療法とは対照的に、TMSは特定の脳の領域、特に前頭葉や帯状回といったうつ病の発症に関与する地域に直接作用します。これが、TMS治療が副作用を最小限に抑える一因となります。

薬物療法による治療では、全身に作用するため体調不良、消化器症状、睡眠障害などの一般的な副作用がしばしば伴います。

これらの副作用は、患者さんの生活の質を著しく低下させ、治療継続のモチベーションを損なう可能性がありますが、TMS治療ではそのような全身的な副作用を大幅に軽減できます。

ただし、患者さんの中にはTMS治療直後に、頭痛や頭部への軽度の不快感を訴える人も一部いるようですが、これらの副作用は一般的には軽度で、治療を続けることで時間とともに減少します。

また、治療中に生じる不快感に対しては、治療のタイミングや磁気刺激の強さを調整することで対応可能です。

治療期間の短さ

また、TMS治療は比較的短期間で効果を示すことが確認されています。

薬物療法では数週間から数ヶ月、時には数年という長い期間を要することが一般的ですが、TMS治療では通常、治療は数週間にわたって行われ、一回の治療時間はおおよそ30分から60分程度です。

この短い治療期間は患者さんの日常生活への影響を最小限に抑え、治療の受け入れやすさを高めるという大きなメリットとなります。

TMS治療は、日常生活を送りながら治療を受けられるため、仕事や学業、家族や友人との関係など生活の各面に大きな支障をきたさないのが特徴です。

これにより、治療を続けるモチベーションを保つのに役立ちます。

再発率の低さ

さらに、TMS治療のもうひとつの大きなメリットはうつ病の再発率が低いことです。

TMS治療は脳の活動パターンを直接調節し、うつ病の根本的な問題、すなわち異常な脳の活動パターンに対処するため、一度治療を受けた後に症状が再発する可能性を大幅に減少させることが可能となります。

ただし、再発率を下げるためには治療後も適切なケアを続けることも重要です。定期的なメンタルヘルスチェックやストレスマネジメント、健康的なライフスタイルを保つことが求められます。

これらの生活習慣の改善を通じて、TMS治療の効果を持続させ、より良い治療結果を実現することが期待できます。

以上のように、TMS治療は副作用の少なさ、治療期間の短さ、再発率の低さという3つの大きなメリットを持つことから、うつ病治療の有力な選択肢として位置づけられています。

その独自のアプローチとこれらのメリットが、未来のうつ病治療の新たな可能性を提示しています。

TMS治療がうつ治療に効果的な理由

うつ病は、その本質が脳の特定の部分、特に前頭葉とその周辺の神経回路の異常な機能によるものであると考えられています。

これらの領域の活動性が低下すると、我々は憂鬱な気分、無気力、集中力の欠如などのうつ病の典型的な症状を発症します。

ここでTMS治療が効果を発揮します。TMS治療は、磁気刺激によって前頭葉とその周辺の神経回路を直接活性化させます。結果として、これらの領域の活動が正常化され、うつ病の症状が軽減されるのです。

これは、薬物治療が一般的に全身に作用するのとは対照的であり、TMSは特定の領域に対してのみ効果を発揮します。

脳の構造

TMS治療がうつ病に効果的な理由のひとつに、脳の構造が関係しています。

脳は、多数の神経細胞(ニューロン)から構成され、これらは複雑なネットワークを形成しており、情報を伝達し、さまざまな脳機能を制御します。

うつ病では、前述の通り、特に前頭葉とその周辺の神経回路の機能が低下している状態です。しかし、TMS治療により、この領域のニューロンに直接磁気刺激を与えることが可能となり、この刺激によってニューロンの活動が活性化され、神経回路の機能が改善します。

具体的には、TMS治療により、脳の「興奮」状態と「抑制」状態のバランスを修正し、神経伝達物質の放出を増加させることが可能となります。

これらの変化は、神経回路の活動を正常化し、うつ病の症状を軽減し、さらに継続的なTMS治療により効果は長期的に持続することが示されています。

このように、脳の構造とその働きからも、TMS治療がうつ病がなぜうつ病に効果的であるかが分かりました。脳の特定領域に直接作用することで、TMS治療は症状の改善を実現し、うつ病に悩む人の生活の質を向上させることができるのです。

TMS治療の適正

TMS治療の適用範囲は広大で、その安全性と効果が認められています。その中でも特に注目すべきは適切な適用条件です。

まず、うつ病の治療において、TMSは主に抗うつ薬や心理療法に対して効果が見られなかった患者さんに適用されます。

薬物療法で効果が見られなかった患者さんたちも、TMS治療を受けることで劇的な改善を果たすことが多く、それはこの治療法の有効性を強く裏付けています。

さらに、薬物療法による副作用が強く出る方や、薬物療法に対して適応できない方にとってもTMSは非常に有益な選択肢となります。

例えば、妊娠中や授乳中の女性、高齢者、肝臓や腎臓の機能障害を持つ人々は、抗うつ薬の副作用や代謝への影響を避けるためにTMS治療を選択しましょう。

このようにTMS治療は、多様な状況に対応可能な、柔軟性のある治療法と言えます。

参考: e-ヘルスネット(厚生労働省)|妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療

TMSの治療効果

TMS治療が提供する効果は、それを受けた患者さんの人生を一新する可能性があります。

TMS治療後に、うつ病の症状が軽減されることで、多くの患者さんが日常生活の質が大幅に向上したと報告しており、これはTMS治療がもたらす具体的な成果のひとつといえるでしょう。

それに加えて、社会生活においても、大きな貢献を果たしています。

例えば、職場や学校への復帰、人間関係の改善、自尊心の回復など、多くの患者さんが社会生活を再開する力を得ており、社会全体で見れば、非常に大きなことと言えます。

さらに、TMS治療はうつ病の慢性化を防ぐ効果もあります。 長期にわたるうつ病は、脳の構造や機能に影響を及ぼし、治療が困難になることがありますが、TMS治療は早期の段階で症状を軽減し、長期的な影響を防ぐことに役立ちます。

TMS治療の頻度と期間

TMS治療の一般的な治療プロトコルでは、1日に1回、週5日(平日)の頻度で治療を行います。

治療の1回あたりの時間は大体30分程度となるため、患者さんの生活スケジュールに大きな影響を及ぼすこともありません。その点も患者さんにとって大きなメリットです。

全体としての治療期間は、個々の患者さんの症状の程度や治療への反応によりますが、通常は4〜6週間を見込むことが多いとされています。

ただし、期待した効果が得られない場合や副作用が強い場合は、治療計画の見直しが必要となることもあります。

TMS治療の副作用

TMS治療は非侵襲的で安全性が高いと広く認識されています。しかし、副作用が全くないというわけではありません。

治療中や治療直後に頭痛や軽度の不快感を感じる方がいますが、これは磁気刺激が脳の神経細胞に一時的な影響を及ぼすためです。

また、治療中に稀にけいれんが発生することもあります。ただし、けいれんは非常に稀で、通常は初めて治療を受ける際にのみ発生します。

これらの副作用はあくまで一時的なもので、通常は自然に消えていきます。また、治療する際は副作用を最小限に抑えるための対策を講じているため、ほぼ安心と言っていいのではないでしょうか。

TMS治療の今後

TMS治療は、現在もさらなる研究と開発が進められており、その可能性は広がりを見せています。

例えば、現状では持続効果が高いということから「rTMS」が主流とされています。しかし、使用される刺激電流の種類を変えることで、より強力な効果を持つQPSというものが考案され、研究が進められています。

TMS治療自体がまだ新しい治療法であることから、臨床研究がどんどん進行していくことで、患者さんにとってより良い治療法が、より安価で受けられる未来がやってくることもそう遠くはないでしょう。

また、TMS治療の効率化や、進化した治療法の開発、さらに個々の患者さんに最適化した治療が確立されていけば、患者さん一人ひとりに最も適した治療を提供することが可能となり、より一層の効果の向上が期待されます。

このように進歩を遂げるTMS治療は、うつ病治療において、ますます効果的な選択肢となっていくのではないでしょうか。

参照:公益社団法人 日本精神神経学会|反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)適正使用指針(改訂版)

TMS治療の未来への期待

TMS治療がうつ病治療に効果的な理由は、脳の特定の領域に対して直接作用し、神経活動のバランスを修正することで、うつ病の症状を改善する能力にあります。

また、その特定の領域とは、うつ病の発症と密接な関連があると考えられている前頭葉とその周辺の神経回路です。

この治療法は効果的なうつ病の治療手段であり、その副作用の少なさから、医療分野での注目を集めています。

これらの知見は、うつ病の理解と治療のための新たな道を開く可能性を秘めています。今後もTMS治療に対するさらなる研究と技術の進歩により、より多くのうつ病患者がこの治療法の恩恵を受けられることが期待されています。

薬を用いない治療法を探しているなら、赤羽すずらんメンタルクリニックにお任せください。当クリニックでは、薬を使用しないTMS治療を導入しており、また一般的な薬物療法にも対応しています。

薬物治療における効果が限定的だった、副作用に苦しんでいる、薬の量を減らしたい、仕事を続けながら治療を受けたいという希望をお持ちなら、当クリニックが解決します。

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