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認知症の種類とは?4大認知症の特徴を解説

[2024.04.10]

日本では社会の高齢化とともに、認知症の患者数も増加の傾向にあります。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」をもとに推計されたデータによると、将来的に65歳以上高齢者のうち、5.4人に1人が認知症になるといわれています。

本記事では、4大認知症の特徴と、発生の割合などについて詳しく解説していきます。
高齢者が身近にいる方や、認知症について知っておきたいという方は、ぜひご参考ください。

そもそも認知症とは?

認知症は、さまざまな原因によって記憶や思考などの認知機能が低下して、日常生活や社会生活に支障をきたすことをいいます。
認知症のメカニズムは、原因となる病気によって異なります。また、認知症の症状の現れ方も種類によってさまざまです。
一般的に、認知症の進行は記憶や見当識(日時や場所など自分の置かれている状況を正しく認識する能力)に代表される認知機能の低下に始まり、行動・心理症状(BPSD)や日常生活動作(ADL)の低下を随伴します。

こちらの記事では、認知症の原因とものわすれとの違いについてくわしく解説しています。あわせてぜひご覧ください。
認知症になる主な原因にはどんなものがあるの?

認知症の4つの種類

先述した通り、認知症の種類は、原因となる病気によって多岐にわたります。
まずは、主要な以下の4種類から見ていきましょう。

  • アルツハイマー型認知症
  • 血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症

ここからは、それぞれの「症状」「原因」「対応」について解説していきます。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、もっとも報告例の多い変性性認知症です。
老人斑(加齢に伴って脳に発現する蛋白質の沈着)と神経原線維変化(脳の神経細胞における病理所見の一種)が特徴です。
神経原線維変化と神経細胞脱落は側頭葉内側部から、老人斑は海馬領域には少なく側頭葉下面から起こります。
また、すべての異常所見が、疾患の進行に伴って脳の広い範囲へと広がっていくのも特徴です。
初発症状は記憶障害で、その後、視空間認知障害、言語障害、遂行機能障害など、多彩な症状を呈するようになります。

原因 症状 特徴

加齢による脳の神経細胞の変性脱落。
詳細は不明。

  • 記憶障害(初期症状)
  • 視空間認知障害
  • 言語障害
  • 遂行機能障害
  • 老人斑(加齢に伴って脳に発現する蛋白質の沈着)
  • 神経原線維変化(脳の神経細胞における病理所見の一種)
  • 治療薬:コリンエステラーゼ阻害薬

血管性認知症

血管性認知症は、脳血管障害による認知症です。
主に脳梗塞由来のものと脳出血由来のものに大別されます。
脳組織は本来、脳血流によって酸素やグルコースを供給して活動しています。
しかし、脳梗塞は、脳血管の狭窄や閉塞あるいは血圧低下などにより代謝需要を満たすだけの血液を脳組織に供給できなくなるために、組織が不可逆的に障害されている状態です。
脳血管の狭窄、閉塞の原因としては、血栓と塞栓があります。
血栓性梗塞は、加齢性の変化である動脈のアテローム硬化により起こります。
塞栓性梗塞の主たる原因は、心房細動、弁膜症などのために血栓が心臓内にでき、それが剥離して脳血管を閉塞することです。
一方、脳出血は高血圧症等のために血管が破れて、必要な血液を組織に送れなくなったり、出血により局所に貯留した血液によって脳組織が圧迫されたりして組織が障害される状態です。
また、脳の神経細胞が変性脱落していくと変性性認知症が発現します。
代表的な疾患としては、先述のアルツハイマー型認知症や、後述のレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症が挙げられます。
これらの疾患で、神経細胞死がどのようにして起こるのかは、いまだ明らかになっていません。

原因 症状 特徴
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害。
  • パーキンソニズム
  • 歩行障害
  • 嚥下障害
  • 排尿障害
  • 抑うつ
  • 感情失禁(突然笑う、突然泣くなど)
急性発症かつ非進行性。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、アルツハイマー病に次いで多い変性性認知症です。
繰り返し出現する幻視、認知機能の変動、パーキンソニズムの3徴が特徴的な症状で、これらが認知症に先行することもあります。
くわえて、視覚認知障害、視空間認知障害を認め、これが幻視出現の一因とも。
また、原因の詳細は不明ですが、大脳皮質という脳部位の神経細胞内に、レビー小体という封入体がびまん性に出現することによって引き起こされると考えられています。

原因 症状 特徴
詳細は不明。
大脳皮質の神経細胞内に、レビー小体なる封入体がびまん性に出現することか。

主症状は以下の3つ。

  • 繰り返し出現する幻視
  • 認知機能の変動
  • パーキンソニズム

くわえて、幻視出現の一因と考えられる以下の2つも見られる。

  • 視覚認知障害
  • 視空間認知障害

診断には、以下2つが役立つ。

  • 脳血流SPECT検査(後頭葉の血流低下)
  • MIBG心筋シンチグラフィ(取り込み低下)

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは、前頭葉と側頭葉に萎縮中心を有する変性疾患の総称です。
病理学的には均一の疾患ではなく多様な疾患とされています。
前頭側頭型認知症は、主に「bvFTD」と「PTD」に2分されます。
詳細は次の通りです。

  • behavioural-variant FTD(bvFTD):脱抑制行動、アパシー、共感の欠如などの社会機能低下や人格変化が目立つ。
  • PTD:言語機能障害が目立つ。さらに意味認知症(SD)と非流暢性進行性失語症(PNFA)に2分される。

詳細は不明ですが、前頭葉と側頭葉の萎縮によって引き起こされると考えられています。

原因 症状 特徴
詳細は不明。
前頭葉と側頭葉の萎縮か。

bvFTDの症状は以下の通り。

  • 社会機能低下・人格変化
  • 脱抑制行動
  • アパシー
  • 共感の欠如

PTDの症状は以下の通り。

  • 言語機能障害

病理学的には均一の疾患ではなく、多様な疾患とされる。

認知症の種類ごとの発生割合

次に、認知症の発生割合について、順に見ていきましょう。

  • アルツハイマー型認知症:67.6%
  • 血管性認知症:19.5%
  • レビー小体型認知症:4.3%
  • 前頭側頭型認知症:1.0%
  • その他:7.6%

なお、以上の統計は、令和元年6月に厚生労働省が発表したデータに基づいています。

認知症ともの忘れの違い

認知症ともの忘れの違いについては、しばしば以下のように説明されます。

  加齢による物忘れ 認知症
物忘れの自覚 あり なし
物忘れの範囲 体験の一部 体験自体
思い出す可能性 人による指摘で思い出せる 人による指摘で思い出せない
困り感* なし あり
判断力の低下 なし あり

*臨床心理学において「日常生活における過度な困難さ」を示す専門用語です。

そのほかの認知症の特徴

最後に、ほかの認知症についても見ていきましょう。
ここでは、以下の9つに触れていきます。

  • 若年性認知症
  • アルコール性依存症
  • 神経原線維変化型老年期認知症
  • 嗜銀顆粒性認知症
  • 正常圧水頭症
  • 進行性核上性麻痺
  • 大脳皮質基底核変性症
  • 炎症
  • 脳腫瘍

それぞれ「症状」「原因」「対応」を詳しく見ていきましょう。

若年性認知症

若年性認知症は40歳から64歳に発症した初老期認知症にくわえ、18歳から39歳までに発症した若年期認知症をくわえた認知症の総称です。
特定の病気ではなく年齢による分類のため、原因疾患は多岐にわたり、それぞれ異なる病理を持ちます。

アルコール性依存症

アルコール依存症者や頻繁に多量飲酒をする人では、脳の縮小が一般よりも多く見られます。
これについての疫学的研究は、過度なアルコール摂取が認知症発症のリスクを高める可能性を指摘しています。
そのため、健康な脳を維持するためには、アルコールの摂取量を適切にコントロールすることが重要です。

神経原線維変化型老年期認知症

神経原線維変化型老年期認知症は、アルツハイマー型認知症と同様、異常なタウ蛋白で構成される神経原線維変化(脳の神経細胞における病理所見の一種)が海馬を中心に大量に蓄積する病態です。
また、大脳新皮質における神経原線維変化も、アルツハイマー型認知症と比較すると少ないという特徴があります。
初発症状、中心となる症状は記憶障害で、他の認知機能は比較的保たれます。
このように、アルツハイマー型認知症と症候学的には類似していますが、病理学的には異なっている認知症。
近年明らかになった比較的新しい病でもあります。
アルツハイマー型認知症と鑑別するためには、アミロイドPET検査が有用です。

嗜銀顆粒性認知症

嗜銀粒病とも呼ばれる認知症で、アルツハイマー型認知症と同様、側頭葉内側部から病変が始まり、異常なタウ蛋白で構成される略銀性顆粒が蓄積します。
しかし、アルツハイマー型認知症で認められるアミロイドβという成分の蓄積はありません。
症候学的には、記憶障害を主徴として他の認知機能が比較的保たれているという特徴があります。
こちらも近年明らかになった認知症で、アルツハイマー型認知症と症候学的には類似していながら病理学的には異なっています。
アルツハイマー型認知症と鑑別するためには、こちらもアミロイドPET検査が有用です。

正常圧水頭症

正常圧水頭症とは、脳室内の過剰な脳脊髄液貯留が特徴の病です。
正常圧水頭症には、特筆すべき以下2つの事項があります。

  • ガニ股やすり足などの特徴がある
  • 早期の受診が大切

それぞれ詳しく解説します。

ガニ股やすり足などの特徴がある

正常圧水頭症における歩行障害は、小刻みで足を引きずるような歩き方、転倒への傾向が高まることが特徴です。
足が重い、階段が使いにくくなる、ガニ股やすり足など、歩行パターンに異変を感じるようになります。
これは脳内の液体の圧力変化が原因と考えられています。

早期の受診が大切

正常圧水頭症は、脳の中にある脳脊髄液の循環または吸収に問題が発生し、脳室内の圧力が異常な状態になる病気です。
早期発見と治療が大切で、適切に医療機関を受診することで症状の改善が期待できます。
早ければ早いほど、治療の効果も高くなることが多いから、もし気になる症状があれば、すぐに専門の医師の診断を受けることをおすすめします。

進行性核上性麻痺

進行性核上性麻痺(PSP)は、大脳基底核や脳幹、小脳を構成する神経細胞が徐々に失われることで特徴付けられる神経変性疾患です。
これらの部位は、身体の動きを調整する重要な役割を持っています。
PSPではとくに歩行時のバランスを保つことが難しくなりやすく、また眼球運動の障害により視線を動かすことが困難になる可能性があります。
さらに、嚥下障害も出現することがあり、飲み込むことが難しくなることも特徴です。

大脳皮質基底核変性症

大脳皮質基底核変性症は、パーキンソン症状(筋肉の硬直、動作の緩慢さ、歩行困難)と大脳皮質の障害(手の不器用さや動作のぎこちなさ)が同時に現れる疾患です。
とくに、身体の左右いずれか一方に症状が表れやすいですが、代表的なサインが少なく診断が困難な場合も多いとされています。

炎症

ここでの炎症は「脳炎」を指します。
脳炎は、ウイルス、細菌などの病原体感染や自己免疫の問題で脳が炎症を起こす状態です。
初期は発熱や頭痛などインフルエンザ様の症状で現れ、重篤化すると意識障害やけいれん、運動感覚障害を起こす可能性があります。

脳腫瘍

脳腫瘍とは、頭蓋骨内の脳組織の中にできる腫瘍の総称です。
脳内に初発する原発性脳腫瘍と、乳がんや肺がんなど脳以外の部位に発生し脳に転移する転移性脳腫場とに分類されます。
さらに、原発性脳腫瘍はどのような細胞で腫瘍ができているかによって「髄膜腫」「神経膠腫」「下垂体腺腫」「神経鞘腫」などに分類されます。
脳腫瘍の症状は、頭蓋内という閉じられた空間に新たな腫瘍ができることによる、周囲組織への直接的な圧迫、頭蓋内全体の脳圧亢進、圧迫に伴う血管の狭窄や閉塞(腫瘍周辺だけでなく離れた血管でも起こりうる)などによって生じるのが特徴です。
緩やかに増殖する腫瘍の場合、臨床症状が顕在化しにくいことがあるため、定期的な検査をおすすめします。

認知症の種類は主に4つに分類できる

アルツハイマー型認知症はもっとも発症率の高い認知症で、脳の神経細胞の変性脱落が原因と考えられています。
ほかにも、血管性認知症や、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などが挙げられ、4種類の疾患は、認知症の9割と報告されています。

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