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認知症と痴呆症の違いとは?

[2024.02.10]

「認知症と痴呆症の違いが知りたい」
「認知症の主な原因疾患とその症状は?」
「認知症を予防するためにできることは?」
高齢化の進展とともに、患者数も増加している認知症。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」をもとに推計されたデータによると、日本では将来的に、65歳以上の高齢者のうち5.4人に1人が認知症になるといわれています。
本記事では、認知症の概要に加えて、痴呆症についても詳しく解説していきます。
高齢者が身近にいる方や、認知症について知っておきたいという方は、ぜひご参考ください。

認知症と痴呆症の違い

まずは、認知症と痴呆症の違いを解説します。 また、加齢による物忘れとの違いについても詳しく見ていきましょう。

認知症とは

認知症は、さまざまな原因によって記憶や思考などの認知機能が低下して、日常生活や社会生活に支障をきたすことをいいます。
認知症は、脳がダメージを受けた場所によってさまざまな種類があります。主にアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症の3つに大きく分けられており、この3つで全認知症の約8割が該当しています。認知症のメカニズムは、原因となる病気によって異なり、症状の現れ方もさまざまです。
一般的に、認知症の進行は記憶や見当識(日時や場所など自分の置かれている状況を正しく認識する能力)に代表される認知機能の低下に始まり、行動・心理症状(BPSD)や日常生活動作(ADL)の低下を随伴します。
ターミナルの段階(完治・寛解ではなく、症状による苦痛や不快感を緩和し、精神的な平穏を目指す段階)に至っては、摂食・嚥下障害、低栄養、誤嚥性肺炎などへの対応も必要です。

痴呆症とは

一方の痴呆症は、日本における認知症の、2004年までの呼称名です。
つまり、症状などが認知症と異なるというわけではありません。
あえて内容による差異を語るなら、2004年以降に発見・開拓された認知症の治療方法が、痴呆症の治療方法とはいえないということくらいでしょう。

加齢による物忘れとの違いは?

加齢による物忘れとの違いについては、しばしば以下のように説明されます。

  加齢による物忘れ 認知症
物忘れの自覚 あり なし
物忘れの範囲 体験の一部 体験自体
思い出す可能性 人による指摘で思い出せる 人による指摘で思い出せない
困り感* なし あり
判断力の低下 なし あり

*臨床心理学において「日常生活における過度な困難さ」を示す専門用語です。

認知症の主な原因疾患とその症状

次に、認知症の主な原因疾患とその症状を見ていきましょう。 基本的には、以下の4つが原因疾患として挙げられます。

  • アルツハイマー型認知症
  • レビー小体型認知症
  • 血管性認知症
  • 前頭側頭型認知症

それぞれ、症状や特徴をわかりやすく解説していきます。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、もっとも報告例の多い変性性認知症です。
老人斑(加齢に伴って脳に発現する蛋白質の沈着)と神経原線維変化(脳の神経細胞における病理所見の一種)が特徴です。
神経原線維変化と神経細胞脱落は側頭葉内側部から、老人斑は海馬領域には少なく側頭葉下面から起こります。
初発症状は記憶障害で、その後、視空間認知障害、言語障害、遂行機能障害など、多彩な症状を呈するようになります。

原因 症状 特徴
加齢による脳の神経細胞の変性脱落。
詳細は不明。
  • 記憶障害(初期症状)
  • 視空間認知障害
  • 言語障害
  • 遂行機能障害
  • 老人斑(加齢に伴って脳に発現する蛋白質の沈着)
  • 神経原線維変化(脳の神経細胞における病理所見の一種)
  • 治療薬:コリンエステラーゼ阻害薬

血管性認知症

血管性認知症は、脳血管障害による認知症です。
主に脳梗塞由来のものと脳出血由来のものに大別され、それらによって脳の神経細胞が変性脱落していくと変性性認知症が発現します。
代表的な疾患としては、先述のアルツハイマー型認知症や、後述のレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症が挙げられます。
これらの疾患で、神経細胞死がどのようにして起こるのかは、いまだ明らかになっていません。

原因 症状 特徴
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害。
  • パーキンソニズム
  • 歩行障害
  • 嚥下障害
  • 排尿障害
  • 抑うつ
  • 感情失禁(突然笑う、突然泣くなど)
急性発症かつ非進行性。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、アルツハイマー病に次いで多い変性性認知症です。
繰り返し出現する幻視、認知機能の変動、パーキンソニズムの3徴が特徴的な症状で、これらが認知症に先行することもあります。
また、原因の詳細は不明ですが、大脳皮質という脳部位の神経細胞内に、レビー小体という封入体がびまん性に出現することによって引き起こされると考えられています。

原因 症状 特徴

詳細は不明。
大脳皮質の神経細胞内に、レビー小体なる封入体がびまん性に出現することか。

主症状は以下の3つ。

  • 繰り返し出現する幻視
  • 認知機能の変動
  • パーキンソニズム

くわえて、幻視出現の一因と考えられる以下の2つも見られる。

  • 視覚認知障害
  • 視空間認知障害

診断には、以下2つが役立つ。

  • 脳血流SPECT検査(後頭葉の血流低下)
  • MIBG心筋シンチグラフィ(取り込み低下)

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは、前頭葉と側頭葉に萎縮中心を有する変性疾患の総称です。 病理学的には均一の疾患ではなく多様な疾患とされています。 前頭側頭型認知症は、主に「bvFTD」と「PTD」に2分されます。 詳細は次の通りです。

  • behavioural-variant FTD(bvFTD):脱抑制行動、アパシー、共感の欠如などの社会機能低下や人格変化が目立つ。
  • PTD:言語機能障害が目立つ。さらに意味認知症(SD)と非流暢性進行性失語症(PNFA)に2分される。

詳細は不明ですが、前頭葉と側頭葉の萎縮によって引き起こされると考えられています。

原因 症状 特徴
詳細は不明。
前頭葉と側頭葉の萎縮か。

bvFTDの症状は以下の通り。

  • 社会機能低下・人格変化
  • 脱抑制行動
  • アパシー
  • 共感の欠如

PTDの症状は以下の通り。

  • 言語機能障害
病理学的には均一の疾患ではなく、多様な疾患とされる。

認知症の診断

認知症は、神経病理学的検査により確定診断されます。
DSM-5(米国精神医学会が発行している診断マニュアル)による診断基準は、以下の通りです。

  • 1つ以上の認知領域(複雑性注意、遂行機能、学習および記憶、言語、知覚運動、社会的認知)において、以前の行為水準から有意な認知の低下があるという証拠が以下に基づいている
  • 本人、本人をよく知る情報提供者、または臨床家による、有意な認知機能の低下があったという懸念
  • 標準化された神経心理学的検査によって、それがなければ他の定量化された臨床的評価によって記録された、実質的な認知行為の障害
  • 毎日の活動において、認知欠損が自立を阻害する(請求書を支払う、内服薬を管理するなどの、複雑な手段的日常生活動作に援助を必要とする)
  • その認知欠損は、せん妄の状況でのみ起こるものではない
  • その認知欠損は、他の精神疾患(うつ病、統合失調症など)によってうまく説明されない

認知症の治療法

ここからは、認知症の治療法を紹介していきます。 ここでは、以下の2つに分けて見ていきましょう。

  • 薬物療法
  • 非薬物療法

それぞれ確認してください。

薬物療法

認知症の薬物治療では、記憶障害などの進行を防ぐNMDA受容体拮抗薬などが用いられます。
アルツハイマー型認知症では、とくにアセチルコリン作動性神経系の顕著な障害が生じるため、コリンエステラーゼ阻害薬が治療薬として使用されるのが一般的です。
これらの薬は認知症の症状を緩和し、進行を遅らせる効果が期待されています。

非薬物療法

非薬物治療には、認知機能を刺激する認知療法や、日常生活動作を支援する作業療法があります。
また、音楽やアートなどのレクリエーション活動も、生活の質の向上を目指して取り入れられます。

認知症を予防するためにできることは?

最後に、認知症を予防するためにできることについて見ていきましょう。
ここでは、とくに効果が期待できる以下の3つについて解説していきます。

  • 適度に体を動かす
  • バランスの良い食事をとる
  • 余暇活動を楽しむ

それぞれ確認してください。

適度に体を動かす

適度な運動は認知症予防において重要な役割を果たします。
定期的な身体活動は、血流を改善し、心臓機能を強化することで脳への酸素と栄養の供給を促進します。
これにより、脳内の神経細胞が維持され、新しい神経接続の形成が刺激されるため、認知機能の低下を遅らせることができます。
ウォーキングや水泳など、楽しんで続けられる運動を選ぶことが大切です。
週に数回、適度な強度で心拍数を上げることを目指しましょう。

バランスの良い食事をとる

バランスの良い食事は認知症予防に不可欠です。
とくに、果物、野菜、全粒穀物、豆類、魚といった抗酸化物質や栄養素を豊富に含む食品を推奨します。
脳の健康を保ち、認知機能の衰えを予防するのに役立つでしょう。
また、飽和脂肪や砂糖の摂取を減らし、適切な量の健康的な脂肪源(たとえばオリーブオイルやナッツ)を取り入れることも大切です。
定期的に心にも体にも良い食事を摂ることで、脳の健康を長期間保つことができます。

余暇活動を楽しむ

認知症予防のために、趣味や余暇活動を楽しむことは脳を活性化させます。
趣味やクラブ活動、社交活動などを通じて新しいスキルを習得したり、友人との交流を深めたりすることは、精神的な満足感をもたらしストレスを軽減する効果があります。
また、パズルやボードゲーム、楽器演奏、絵画など、知的刺激を提供する活動は、脳の異なる部分を刺激し、認知機能の維持に寄与することが知られています。
定期的に心を豊かにする活動に時間を割くことで、脳の健康を促進し、認知症のリスクを減らせるでしょう。

痴呆症と認知症の違いは呼称されていた時代

痴呆症は、2004年以前の日本において認知症を指す用語でしたが、現在は用いられないのが一般的です。
現代の医学では「認知症」という用語が通っており、記憶や判断力など複数の認知機能に影響を及ぼすさまざまな疾患を総称しています。

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