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認知症の方にやってはいけないこと

[2024.02.28]

「認知症の方にやってはいけないことを網羅的に知りたい」
「認知症患者との接し方を間違えることで生じるリスクとは?」
「認知症の方に認知症と伝えるのはNG?告知のメリット・デメリットは?」
日本では高齢化の進展とともに、認知症の患者数も増加しています。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」をもとに推計されたデータによると、将来的に65歳以上の5.4人に1人が認知症になるといわれています。
本記事では、認知症の方との接し方について詳しく解説していきます。
認知症について知っておきたい方や、メンタルクリニックを探している方は、ぜひご参考ください。

認知症の方と接するときの心得

まずは、認知症の方と接するときの3つの心得から解説していきます。

  • 驚かさない
  • 急かさない
  • 自尊心を傷つけない

どれも基本的なことですが、どれも大切な心得です。
それぞれ順に確認してください。

心得その①驚かさない

認知症の方は思いがけない出来事や突然の変化に対応する能力が低下していることが多いです。
そのため、彼らを驚かせないように静かに近づき、前もって話しかけることで安心感を与えるようにしましょう。
予測可能な環境とルーチンを整えることで、不安を減らし、落ち着いた状態を維持するのに役立ちます。

心得その②急かさない

認知症の方は処理速度が遅れることがあるので、物事を急かさずに時間をかけて対応することが大切です。
質問に答えるために長い時間を必要とすることがあるので、ゆっくりと待つことで安心して行動できる環境を提供しましょう。
急ぐと混乱を招くこともあるので、焦らずに優しくサポートするのが良い心得です。

心得その③自尊心を傷つけない

認知症の方と接する際には、自尊心を尊重し、決して傷つけないよう心がけることが重要です。
そのためには、彼らの意見や感情を大切に扱い、決定に関与させることが必要です。
たとえ認知症の症状により思考や記憶、行動が変わっても、彼らは引き続き経験と自己の感覚をもつ個人です。
彼らの能力を認め、できる限り自立を支援しながら、代わりに物事を決定するのではなく、ともに選択するよう努めましょう。
批判や責任を責めるような言動は避け、代わりにエンパワーメントとポジティブなコミュニケーションを心がけることが、彼らの尊厳を保つうえで不可欠です。

認知症の方にやってはいけない9つのこと

ここからは、認知症の方にやってはいけないことを、網羅的に9つ紹介していきます。

  • 頭ごなしに叱る
  • 大きな声を出す
  • 無理に思い出させようとする
  • 失敗したことを責める
  • 命令する
  • 子ども扱いする
  • 役割を取り上げる
  • 行動を制限する
  • 家に閉じ込める

それぞれ見ていきましょう。

やってはいけないこと①頭ごなしに叱る

認知症の方に向けて頭ごなしに叱る行為は、絶対に避けるべきです。
認知症の進行は、その人の意志とは無関係に記憶や判断力が低下していくため、日常生活での困りごとや誤った行動は避けがたいものです。
叱責は彼らの自尊心を傷つけ、不安やストレスを増大させることにつながりかねません。
また、攻撃的な反応を引き出す原因ともなり得ます。状況の説明や落ち着いて対処する方法を優しく教え、支持する姿勢が重要です。
認知症の方は感情の影響を強く受けるので、常に尊重と理解をもって接することが不可欠といえます。

やってはいけないこと②大きな声を出す

認知症の方への接し方において、混乱や恐れを引き起こす可能性があるため、大きな声を出すことは避けた方が良いでしょう。
認知症の方は感情のコントロールが難しくなっているため、予期しない大声によって過度にストレスを感じることもあります。
落ち着いて、かつゆっくりとした声のトーンで話すことが、安心感を提供し、相互理解を深める助けになります。
常に平穏な環境を維持することで、彼らの不安を軽減し、より良いコミュニケーションを促進できるでしょう。

やってはいけないこと③無理に思い出させようとする

認知症の方に対して無理に思い出させようとするのは、控えるべき行為とされています。
記憶障害は認知症の主な症状のひとつで、過去の出来事や情報を思い出すことが難しくなっています。
無理に記憶を引き出そうとすると、彼らをフラストレーションや恥ずかしさでいっぱいにさせ、自信を失わせてしまうことがあります。
むしろ、彼らの現在の感情や意見に焦点を当て、その人が快適に感じるやり方でコミュニケーションを取ることが大切です。
安心感を提供し、尊厳を保つためにも、思い出せないことに対する理解と優しさを示しましょう。

やってはいけないこと④失敗したことを責める

認知症の方が失敗した際に責めることはご法度です。
認知機能の低下により彼らは十分に自分の行動をコントロールできないこともあります。
責め立てることは彼らの自信を奪い、感情的な撹乱や自尊心の低下を招きかねません。
代わりに、寛容で支援的な態度を持って接し、失敗をサポートの機会と捉えることが大事です。
安心感と尊重を与えることで、ポジティブな環境を作り出し、認知症の方の日常生活の質を高めるお手伝いをしましょう。

やってはいけないこと⑤命令する

認知症の方に命令形式で物を言うのは避けましょう。
命令はしばしば圧力を与え、彼らを防御的にさせることがあります。
認知症には自立を促す温かい支援が必要です。
命令ではなく、選択肢を提供し、決定に参加できるよう支えることで、彼らの自尊心や自律性を尊重しましょう。
穏やかな口調と肯定的な言葉選びで、安心できるサポートを提供することが鍵です。

やってはいけないこと⑥子ども扱いする

認知症の方を子ども扱いすることは、彼らの尊厳を損ない、自尊心を傷つける行為です。
大人としての経験や自己のアイデンティティを持つ彼らに対し、話し方や対応が幼稚化してしまうと、それは人格を否定することにもつながりかねません。
また、依存を増やす原因にもなり、彼らが持っているできるだけの能力を発揮する機会を奪ってしまいます。
だからこそ、常に認知症の方を大人として尊重し、対等なコミュニケーションを心掛けましょう。

やってはいけないこと⑦役割を取り上げる

認知症の方の役割を取り上げることは、彼らの自尊心とアイデンティティを損なう行為です。
たとえば、日常生活のタスクを自発的に行えなくなった場合でも、能力に応じた小さな任務を彼らに委ねることが重要です。
これにより、彼らは有意義で必要とされているという感覚を保ち、自信と自己効力感を維持できます。
そのため、できる限りの自立を促し、支援が必要な時には優しく助けを提供しましょう。
常に彼らの尊厳を守り、人間としての価値を認める態度が大切です。

やってはいけないこと⑧行動を制限する

認知症の方の自由を不当に制限することは、彼らの生活の質を大きく下げる可能性があります。
自己決定の権利と自由という基本的人権を侵害する行為であるからです。
たとえば、安全は確保しながらも、できるだけ通常の生活活動や社会参加を続けられるよう配慮が必要です。
不必要な制限は彼らのストレスを増加させ、社会的孤立や不安、抑うつを引き起こしがちです。
そこで大切なのは、継続的なコミュニケーションと個々の状況に合わせた適応策をとること。
安全と自立のバランスを見極めながら、できるだけ普段どおりの日々を送れるよう支援しましょう。

やってはいけないこと⑨家に閉じ込める

認知症の方を家に閉じ込めることは、彼らの社会的なつながりを断ち、孤立を深めてしまう行為です。
人間は社会的な存在であり、交流は精神的な健康を保つうえで必須です。
また、社会との接点を持つことで認知機能の維持にもつながります。
そのため、状況に応じた適切なサポートと環境整備を行いながら、彼らが外界と接する機会を奪わないよう配慮しましょう。

認知症患者との接し方を間違えることで生じるリスク

次に、認知症患者との接し方を間違えることで生じるリスクを2つ、紹介します。

  • 家族に対するマイナスの感情が残ってしまう
  • 症状を進行させる可能性がある

それぞれ確認してください。

家族に対するマイナスの感情が残ってしまう

認知症の方に対する接し方が不適切だと、彼らは混乱や不安を感じ、その結果、悲しみや怒りといった否定的な感情を抱くことがあります。
このような感情は、とくに接し方を間違えた家族に対して、強く持続するリスクがあります。
認知症の方々が抱くこれらの感情は、家族との関係悪化の原因となり、介護状況をより難しいものにしてしまうことがあります。
そのため、家族は常に当人の立場に立って思いやりのある対応を心がけることが大切です。

症状を進行させる可能性がある

認知症患者さんに適切でない接し方をすると、ストレスや不安が増大し、これが症状の悪化を招く恐れがあります。
不適切な対応は患者さんの混乱を引き起こし、認知機能や行動問題が進行する可能性が高まるため、常に尊厳を保ち、安心感を提供するケアを心掛ける必要があります。

こちらの記事では、認知症が進行する原因についてくわしく解説しています。あわせてぜひご覧ください。
認知症が一気に進行する原因とは?

認知症の方に認知症と伝えるのはNG?告知のメリット・デメリット

認知症の方に認知症と伝えるのはNGなのか迷う方は非常に多いです。
結論、症状や進行具合、本人の性格なども要因になるため、一概にどちらがいいとは断言できません。
そこで、ここからは「認知症と早期に伝えるメリット」と「認知症と伝えることで生じる可能性があるデメリット」という両面から「本人への告知」について解説していきます。

認知症と早期に伝えるメリット

認知症と早期に診断を受けるメリットは、治療・支援を早く開始でき、症状の進行を遅らせる可能性があることです。
また、患者本人が自己の状況を理解し、将来の計画を立てる機会を持てます。

認知症と伝えることで生じる可能性があるデメリット

認知症と伝えられたことにより、患者さんが自尊心を傷つけられたり、レッテルを貼られる不安を感じたりする可能性があります。
また、ストレスや将来への不安が増すことも考えられます。
先述の事項に十分注意しつつ、うまく家族支援やリハビリへとつなげましょう。

認知症の方にやってはいけないことは意外に多い

認知症の方への接し方には細心の注意が必要です。
頭ごなしに叱ったり、大声で話したり、思い出すことを無理強いしたり、失敗を責めたりするとストレスを与えます。
命令口調や子ども扱いは自尊心を傷つけ、大切な役割を奪い、行動の自由を制限することは彼らの不安を増幅させかねません。
常に尊厳と自立を尊重する心遣いが求められます。

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