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認知症が一気に進行する原因とは?

[2023.12.26]

日本では高齢化の進展とともに、認知症の患者数も増加しています。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」をもとに推計されたデータによると、将来的には65歳以上の高齢者のうち、5.4人に1人が認知症になるといわれています。

本記事では、認知症のメカニズムや、認知症の原因疾患とその進行速度、認知症の進行を緩やかにするための対策などについて、詳しく解説していきます。
高齢者が身近にいる方や、認知症について知っておきたいという方は、ぜひご参考ください。

認知症になるメカニズム

認知症は、さまざまな原因によって記憶や思考などの認知機能が低下して、日常生活や社会生活に支障をきたすことをいいます。
認知症は、脳がダメージを受けた場所によってさまざまな種類があります。主にアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症の3つに大きく分けられており、この3つで全認知症の約8割が該当しています。

認知症のメカニズムは、原因となる病気によって異なり、症状の現れ方もさまざまです。
一般的には、認知症が進行することで記憶や見当識(日時や場所など自分の置かれている状況を正しく認識する能力)に代表される認知機能の低下や、行動・心理症状(BPSD)や日常生活動作(ADL)の低下などが伴います。
また、認知症の段階によっては、摂食・嚥下障害、低栄養、誤嚥性肺炎などへの対応も必要となります。

認知症が一気に進行する原因は何か?

ここからは、認知症が一気に進行する原因について解説していきます。
主な原因としては、以下の4つが挙げられます。

  • 脳への刺激が少ない
  • 過度なストレスを受けている
  • 失敗を責められる
  • 急な環境の変化

それぞれ見ていきましょう。

脳への刺激が少ない

認知症が進行する要因として、脳への刺激が少ない状態が挙げられます。
脳は、学習やコミュニケーションなどの刺激を通じて、それぞれの神経細胞とのつながりを強化していきます。
しかし刺激が不足していると、この神経回路が衰えていき、認知機能の低下につながるおそれがあります。
日常的に新しい活動や趣味に挑戦して、社会との交流を持つことで、脳の健康を維持して、認知症の進行を抑える一助となります。

過度なストレスを受けている

過度なストレスを受けている状態もまた、認知機能に悪影響を及ぼすことがあります。
ストレスが継続していると、体は「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンを過剰に分泌します。
コルチゾールの量が多くなると、認知機能に関連する脳の部分、とくに「海馬」に悪影響を与えて、記憶力や学習能力が低下してしまうおそれがあります。
海馬は神経新生も行っているため、この領域の損傷は認知症の進行を早めることにつながりかねません。
ストレス管理は、認知症の予防にも重要な役割を果たすといえるでしょう。

失敗を責められる

失敗を厳しく責められる経験は、高いストレスを生む要因となります。
このストレスは、脳の認知機能に関わる領域、とくに記憶や学習に重要な海馬に悪影響を及ぼすことが知られています。
過度のストレスは脳の神経伝達物質のバランスを崩し、神経細胞が適切に機能しなくなる可能性があります。
長期間にわたるこのような状況は、認知症の悪化を早めることがあります。
そのため、ポジティブな支援や失敗に対して寛容なアプローチを行うことは、認知症の進行を緩和する可能性にもつながるのです。

急な環境の変化

急な環境変化も、高齢者の神経系に大きなストレスを与えて、混乱や不安感を引き起こすことがあります。
認知症のある人では、これが脳の働きにさらに負担をかけて、認知機能の一時的または永続的な低下を促すことがあります。そのため、慣れ親しんだ環境との急な切り替えは、認知症の進行を加速させてしまうおそれがあります。
安定した環境を維持することが、認知機能の保護に役立ちます。

認知症の主な原因疾患と進行速度

ここからは、認知症の主な原因疾患と進行速度を紹介します。
基本的に、認知症は以下の4つの疾患が原因です。

  • アルツハイマー型認知症
  • 血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症

それぞれの原因、症状、特徴について詳しく解説していきます。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、もっとも報告例の多い変性性認知症です。
老人斑(加齢に伴って脳に発現する蛋白質の沈着)と神経原線維変化(脳の神経細胞における病理所見の一種)が特徴的な病理学的異常初見で、それぞれアミロイドβ、タウ蛋白という成分が構成成分です。
くわえて、神経細胞脱落が生じるのも特徴です。
神経原線維変化と神経細胞脱落は側頭葉内側部から、老人斑は海馬領域には少なく側頭葉下面から起こります。

また、すべての異常所見が、疾患の進行に伴って脳の広い範囲へと広がっていくのも特徴です。
初発症状は記憶障害で、その後、視空間認知障害、言語障害、遂行機能障害など、多彩な症状を呈するようになります。

アルツハイマー型認知症では、とくにアセチルコリン作動性神経系の顕著な障害が生じるため、コリンエステラーゼ阻害薬が治療薬として使用されるのが一般的です。

 

原因

症状

特徴

加齢による脳の神経細胞の変性脱落。

詳細は不明。

  • 記憶障害(初期症状)
  • 視空間認知障害
  • 言語障害
  • 遂行機能障害
  • 老人斑(加齢に伴って脳に発現する蛋白質の沈着)
  • 神経原線維変化(脳の神経細胞における病理所見の一種)
  • 治療薬:コリンエステラーゼ阻害薬

 

血管性認知症

血管性認知症は、脳血管障害による認知症です。
主に脳梗塞由来のものと脳出血由来のものに大別されます。
脳組織は本来、脳血流によって酸素やグルコースを供給して活動しています。
しかし、脳梗塞は、脳血管の狭窄や閉塞あるいは血圧低下などにより代謝需要を満たすだけの血液を脳組織に供給できなくなるために、組織が不可逆的に障害されている状態です。
脳血管の狭窄、閉塞の原因としては、血栓と塞栓があります。

血栓性梗塞は、加齢性の変化である動脈のアテローム硬化により起こります。
塞栓性梗塞の主たる原因は、心房細動、弁膜症などのために血栓が心臓内にでき、それが剥離して脳血管を閉塞することです。

一方、脳出血は高血圧症等のために血管が破れて、必要な血液を組織に送れなくなったり、出血により局所に貯留した血液によって脳組織が圧迫されたりして組織が障害される状態です。

また、脳の神経細胞が変性脱落していくと変性性認知症が発現します。
代表的な疾患としては、先述のアルツハイマー型認知症や、後述のレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症が挙げられます。
これらの疾患で、神経細胞死がどのようにして起こるのかは、いまだ明らかになっていません。

原因

症状

特徴

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害。

  • パーキンソニズム
  • 歩行障害
  • 嚥下障害
  • 排尿障害
  • 抑うつ
  • 感情失禁(突然笑う、突然泣くなど)

急性発症かつ非進行性。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、アルツハイマー病に次いで多い変性性認知症です。
繰り返し出現する幻視、認知機能の変動、パーキンソニズムの3徴が特徴的な症状で、これらが認知症に先行することもあります。
くわえて、視覚認知障害、視空間認知障害を認め、これが幻視出現の一因とも。

また、原因の詳細は不明ですが、大脳皮質という脳部位の神経細胞内に、レビー小体という封入体がびまん性に出現することによって引き起こされると考えられています。
診断には、脳血流SPECT検査(後頭葉の血流低下)、MIBG心筋シンチグラフィ(取り込み低下)が役に立ちます。

原因

症状

特徴

詳細は不明。

大脳皮質の神経細胞内に、レビー小体なる封入体がびまん性に出現することか。

主症状は以下の3つ。

  • 繰り返し出現する幻視
  • 認知機能の変動
  • パーキンソニズム

くわえて、幻視出現の一因と考えられる以下の2つも見られる。

  • 視覚認知障害
  • 視空間認知障害

診断には、以下2つが役立つ。

  • 脳血流SPECT検査(後頭葉の血流低下)
  • MIBG心筋シンチグラフィ(取り込み低下)

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは、前頭葉と側頭葉に萎縮中心を有する変性疾患の総称です。
病理学的には均一の疾患ではなく多様な疾患とされています。
前頭側頭型認知症は、主に「bvFTD」と「PTD」に2分されます。
詳細は次の通りです。

  • behavioural-variant FTD(bvFTD):脱抑制行動、アパシー、共感の欠如などの社会機能低下や人格変化が目立つ。
  • PTD:言語機能障害が目立つ。さらに意味認知症(SD)と非流暢性進行性失語症(PNFA)に2分される。

詳細は不明ですが、前頭葉と側頭葉の萎縮によって引き起こされると考えられています。

原因

症状

特徴

詳細は不明。

前頭葉と側頭葉の萎縮か。

bvFTDの症状は以下の通り。

  • 社会機能低下・人格変化
  • 脱抑制行動
  • アパシー
  • 共感の欠如

PTDの症状は以下の通り。

  • 言語機能障害

病理学的には均一の疾患ではなく、多様な疾患とされる。

認知症になりやすい生活習慣

ここからは、認知症になりやすい2つの生活習慣について見ていきましょう。

  • 生活習慣病
  • 怪我

それぞれ解説していきます。

生活習慣病

生活習慣病は、文字通り生活習慣(ライフスタイル)が深く関わっている疾病です。
悪性新生物(がん)、心臓病、脳血管疾患などが該当します。
生活習慣病と関連の強いライフスタイルとしては、喫煙、過度のアルコール摂取、運動不足、偏った食習慣(栄養バランスの偏り)などが挙げられます。
これらのライフスタイルは、生活習慣病の原因となる行動上のリスク要因として、予防と治療の主要なターゲットです。
生活習慣病は、一度発症すると長期間の治療が必要になる慢性疾患であるため、年々増加する生活習慣病患者に対応するには、多大な医療費やコストが必要となることも問題視されています。

怪我

怪我、とくに頭部を損傷することは、脳細胞に直接影響を及ぼし、神経伝達の問題を引き起こす可能性があります。
脳震盪などによる重篤な脳損傷は、認知機能へのダメージを招き、将来的に認知症へと進行するリスクを増加させます。
そのため、安全な生活習慣を維持し、怪我のリスクを最小限に抑えることは、認知症予防において重要です。
日々の安全対策こそが、認知の健康維持にもつながるといえます。

認知症の進行を緩やかにするための対策

次に、認知症の進行を緩やかにするための対策も紹介します。
主な有効手段は以下の4つです。

  • 有酸素運動を取り入れる
  • 規則正しい生活を送る
  • 認知機能を向上させるトレーニングを行う
  • 聴力の低下に注意する

それぞれ確認してください。

有酸素運動を取り入れる

有酸素運動は、心拍数を上げ血流を改善することで脳への酸素供給を促進し、脳細胞の健康を維持します。
定期的な運動は脳の神経細胞を新しく生成し、認知機能を支える神経ネットワークを強化することで、認知症の進行を緩やかにする効果が期待できるのです。
具体的には、ウォーキングや水泳などが挙げられます。

規則正しい生活を送る

規則正しい生活を送ることは、体内時計を整え、睡眠や覚醒のサイクルを安定させます。
良質な睡眠は脳の清浄作用を促し、一日の終わりに蓄積された毒素を洗い流すため、認知機能の維持に欠かせません。
毎日一定のリズムで生活することは、心身の健康を支え、認知症の進行を抑えるのに役立ちます。

認知機能を向上させるトレーニングを行う

認知トレーニングは、パズルや言葉遊び、塗り絵や習字などの脳を活性化させる活動を通じて、記憶力や思考力を鍛えます。
このような刺激が脳の神経回路を強化し、新しい神経結合を形成することで、認知機能の衰えを抑制し、認知症の進行を遅らせる効果が期待できる。

聴力の低下に注意する

聴力の低下は、社交的な交流が減少し、情報の取得が困難になることで認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります。
定期的な聴力検査と適切な補聴器の使用により、聴力の低下に対処することで、社会とのつながりを保ち、脳の健康を支えることが大切です。

こんな症状が出始めたらすぐに受診

認知症かもしれない初期のサインには、もの忘れの増加、日常の作業に対する困難、言葉の見つけにくさ、行き先が分からなくなることなどがあります。
これらの変化に気づいたら、早めの医療的評価を受けることが重要です。
早期発見により、治療やサポートの選択肢が増えるでしょう。

認知症が一気に進む原因は主に4つ

認知症が急速に進行する原因として、主に次の4つが考えられます。
まず「脳への刺激が少ない」ことで脳の活性化が不足し、衰えが進むこと。
続いて「過度なストレス」は脳に悪影響を与え、認知機能を低下させます。
さらに「失敗を責められる」状況は自信を失わせ、挑戦する気持ちを削ぐため、脳が退化しやすくなります。
最後に「急な環境の変化」は脳と心に負担をかけ、認知症を悪化させるリスクを高めることが知られています。
これらに注意し、予防と対応を心がけましょう。

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