うつ病は治らない?一般的な治療期間と治療が長期化する主な理由
増え続ける現代病のひとつであるうつ病。
日本では、100人に対して約6人の割合でうつ病を経験し、男性よりも女性のほうが1.6倍かかりやすいことがわかっています。
適切な治療を行えば、一般的に症状は1年程度で良くなることが多いため、治らない病気というわけではありません。
しかし、うつ病患者の一部の人は、状態があまり良くならず治療が長期化したり、再発を繰り返したりという症状が出ていることも事実です。
うつ病が治らない原因には、ほかの疾病との併発や薬の服用状態などが関係していることがあります。
今回は、うつ病がなかなか改善されない人に見てほしい、治療期間の目安と治療が長期化する場合に考えられる理由を詳しく紹介します。
目次
1.そもそもうつ病の治療期間の目安はどれくらい?1-1.6ヶ月から1年程度で改善されることが多い
1-2.中にはうつ病の治療が長期化することも
2.うつ病がなかなか治らない場合に考えられる主な理由
2-1.【理由1】治療を開始するのが遅れた
2-2.【理由2】自己判断で薬を途中で減らしたり止めたりした
2-3.【理由3】うつ病と身体疾病を併発している
2-4.【理由4】不安障害を併発している
3.うつ病が治らないときは理由を追求してみよう
そもそもうつ病の治療期間の目安はどれくらい?
ここでは一般的な治療期間の目安について、詳しく見てみましょう。
6ヶ月から1年程度で改善されることが多い
うつ病の治療を始めると、一般的に3カ月ほどで症状が軽減し、その後6カ月から1年程度で回復に向かうケースが多く見られます。
もちろん、個人差はありますが、1年ほど経つと症状が安定し、社会復帰を果たせる人も多いでしょう。
ただし、油断は禁物で、再発を防ぐためにも主治医の指示に従い、治療を継続することが重要です。
中にはうつ病の治療が長期化することも
一般的な治療を行っても、全体の20~30%ほどの人は長期化する傾向があります。
このような長引くうつ病は「うつ病の遷延化」と呼ばれ、さらに抗うつ薬を適切に使用しても効果が出にくい場合は「難治性うつ病」と分類されることもあります。
うつ病がなかなか治らない場合に考えられる主な理由
なぜうつ病が治らず、治療が長期化してしまう人がいるのか…。
この章では主な理由を5つ紹介します。
【理由1】治療を開始するのが遅れた
「何かおかしいな」と自分で思ったとしても、病院を受診せずそのまま放置してしまう人もいるでしょう。
また「高熱が続く」や「身体に発疹ができる」といったわかりやすい症状がうつ病にはないため、発見が遅れることも少なくありません。
うつ病が発症してから治療をスタートするまでの期間が長いと、その分、病気が進行する可能性が高まり、治療にも時間がかかる傾向にあります。
早期発見・早期治療が、うつ病を克服するための近道となるでしょう。
【理由2】患者さんの判断で薬を途中で減らしたり止めたりした
前述の通り、治療で抗うつ薬を処方され、きちんと服用すると約6ヶ月から1年程度で症状が改善されていきます。
この症状の改善を「完治した」と錯覚してしまう患者さんは少なくありません。
主治医から薬の服用指示があったとしても、自己判断で薬の服用を止めてしまったり、気の緩みから飲むのを忘れてしまったりすると、再発する原因になり、治療も長びきます。
主治医に指示された処方や容量を守って薬を飲み続ける必要があることを忘れないようにしましょう。
【理由3】うつ病と身体疾病を併発している
うつ病以外の身体疾病との併発も、治療が長期化する理由のひとつ。
例えば、糖尿病や心臓病、がんなど、慢性身体疾患を患っているとうつ病にかかりやすく、逆にうつ病患者は糖尿病などの慢性身体疾患にかかりやすいともいわれています。
うつ病と身体疾病はお互いに悪化させる関係にあるため、治療期間はうつ病のみの治療に比べると長くなりがちなのです。
【理由4】不安障害を併発している
日常生活に支障をきたすほどの過度な不安になるのが不安障害です。
不安障害にはいくつか種類があり、代表的なものに「パニック障害」「社会不安障害」「全般性不安障害」などがあります。
不安障害とうつ病などの精神疾患を同時に患った場合も、治療は長期化する傾向にあります。
中でも、突然手足が震えたり、呼吸困難になったりするパニック障害は、うつ病と併発しやすいのが特徴です。
こちらの記事では、うつ病の休職期間の過ごし方をくわしく解説しています。あわせてぜひご覧ください。
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関連記事:【チェックリスト付】パニック障害の症状|禁忌や対処法も紹介
関連記事:パニック障害になりやすい人の特徴は?発作時の対処法も紹介 うつ病の治療では、十分な休養が不可欠です。 しかし、真面目で責任感の強い人ほど「休んではいけない」と無理をしてしまいがちです。 休養が足りないと、うつ病の回復が遅れるだけでなく、症状が悪化することもあります。 適切な休息をとり、心身の回復に努めましょう。 参考:うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト いかがでしたでしょうか? この記事を読んでいただくことで、うつ病は治るのかどうか、そしてなぜ治療が長びくのかがご理解いただけたと思います。 なんだかあまり症状が良くなっていないかも…と感じた際は、さまざまな角度から理由を考えてみましょう。 赤羽すずらんメンタルクリニックは、駅から約1分で着く女性医師の心療内科です。 赤羽で心療内科をお探しの方はコチラをご覧ください。
【理由5】休憩が不十分
うつ病が治らないときは理由を追求してみよう