カウンセリングの効果的な受け方|自分が話したいことを話しましょう
「カウンセリングを受けるなら、効果をできるだけ高めたい」
「信頼できるカウンセラーの選び方が知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
具体的な方法がわからず、困っている方もいるでしょう。
効果を高めるためには、考えていることや感じていることをありのまま伝えることが基本となります。
ここでは、カウンセリングの効果的な受け方を解説するとともにカウンセラーの選び方などを紹介しています。
これらの点が気になる方は、参考にしてください。
目次
1.そもそもカウンセリングとは?2.カウンセリングに期待できる効果
3.カウンセリングの効果的な受け方
4.カウンセラーを選ぶ際のポイント
5.辛いときはカウンセリングを受けましょう
そもそもカウンセリングとは?
カウンセリングは、専門的な知識・技能を用いて、対話を通してクライエントの自己理解や意思決定を援助する治療です。厚生労働省は次のように定義しています。
主に心理の専門家がクライエントや患者の話を傾聴したり受容したりしながら、クライエントや患者の心情や状況の理解に努めることによって、主体的に問題の解決を行っていけるようにサポートすることを指します。
引用:厚生労働省「カウンセリング/心理療法」
専門家との対話を通じて、クライエントの悩みの解決や自己受容・自己変容を促す治療といえます。
具体的に、どのような場所で受けることができ、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
受けられる場所
カウンセリングは、さまざまな場所で受けることができます。
主な相談機関は以下のとおりです。
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受けられる場所 |
詳細 |
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医療機関 |
一部の心療内科、精神科などが実施している。他の治療とあわせて受けられる点がポイント |
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公的機関 |
保健所、保健センター、精神保健福祉センター、心の健康相談などが実施している。幅広い問題を無料で相談できる。ただし、適切な機関へつなぐため、継続的な相談は行えない |
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教育機関 |
一部の大学院などが実施している。臨床心理学を専攻している大学院生が、有資格者の指導のもと担当していることが多い |
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民間機関 |
一部の民間事業者も実施している。オンラインサービスを含め選択肢が豊富。カウンセラーの経歴や資格に注意が必要 |
医療機関を受診する場合は、事前にカウンセリングの有無、利用できる条件を確かめておきましょう。
公的機関は、幅広い相談内容を扱っています。
ただし、施設により対応範囲は異なることがあります。
相談先がわからない場合は、支援情報検索サイト「相談窓口等のご紹介(https://shienjoho.go.jp/)」を利用するとよいかもしれません。
民間機関の魅力は、サービスの選択肢が多いことです。
ただし、心の専門家の質は保証できません。
詳細を確かめてから、利用することが大切です。
費用の相場
費用の相場は、50~60分あたり2,000~15,000円程度です。
グループで受けると、1人あたりの費用は安くなる傾向があります。
なお、具体的な金額は施設やカウンセラーによって大きく異なります。
医療機関で受ける場合も、原則として保険は適用できません。
適用できるのは、一定の条件を満たす場合だけです。
基本的には、全額自己負担になるといえるでしょう。
教育機関は、割安な料金で受けられる傾向があります。
金額の目安は、50~60分あたり2,000~5,000円程度です。
ただし、学生の教育を兼ねていることがあります。
ここまでに紹介した費用は、カウンセリング1回あたりの金額です。
実際の利用では、1回あたりの金額に面談の回数を掛けた総額が必要となります。
カウンセリングに期待できる効果
続いて、カウンセリングに期待できる主な効果を紹介します。
話すことで心がすっきりとする
カウンセリングで話をすると、心がすっきりします。
悩んでいることや感じていることを自由に表現できるうえ、カウンセラーがありのままの自分を受け入れてくれるためです。
自分らしく振る舞える、あるがままの自分でよいと感じられることで、気持ちが軽くなることもあります。
もちろん、家族や友人に相談することもできますが、利害関係があると内容によっては話しにくいでしょう。
また、途中で話を遮られたり、否定されたりすると、モヤモヤした感情がさらに強くなってしまいます。
カウンセラーであれば、これらを気にせず今この瞬間の気持ちを打ち明けられます。
自分の気持ちや悩みの原因に気づく
専門家との対話を通して、予想もしていなかった自分の気持ちや悩みの原因に気づくこともあります。
ポロリと漏れた一言を受け止めてくれたり、質問を投げかけて考え方の癖に気づかせてくれたりするためです。
たとえば「毎日、しんどい」の一言から対話が展開して、誰かに頼りたいけど頼れないと考えている自分に気づくこともあります。
気づきだけでクライエントを取り巻く環境は変わりませんが、心の整理につながることや変化のきっかけになることはあります。
そのため、気づきを促すことも、重要な効果のひとつと考えられます。
問題解決のきっかけをつかめる
対話の中で、問題解決のきっかけをつかめることも少なくありません。
主な理由は以下のとおりです。
【理由】
- 話をして心を整理することで考える余裕が生まれる
- 専門家との対話を通して考え方の癖や行動のパターンに気づける
- 専門家との対話を通して問題の背景が明らかになる
また、カウンセラーから助言を受けられることもあります(原則として、強制されることはありません)。
これらの結果として「こうすればよいのでは」などの新たな選択肢を見つけられるのです。
もちろん、誰にも相談せず対処することもできますが、一人で解決しようとすると出口を見つけられずさらに辛くなってしまうことが多いでしょう。
同じ悩みが再発することを防止できる
カウンセリングを受けると、同じ悩みを繰り返しにくくなります。
専門家との対話を通して、考え方の癖や行動パターンに気づけるためです。
悩みは常に異なると思うかもしれませんが、背景に共通する考え方や行動パターンが潜んでいることがあります。
たとえば、嫌われたくないと思うあまり周囲に気を使いすぎて疲れてしまうなどが考えられます。
自分の考え方などに気づくと、同じことで悩みにくくなるでしょう。
ただし、自覚していない考え方や行動パターンに一人で気づくことは難しいといえます。
専門家の助けを借りながら、悩みの再発を予防できることは、カウンセリングの効果と考えられます。
カウンセリングが必要な人とは|期待できる効果と必要性が高まる場面
カウンセリングの効果的な受け方
カウンセリングを受けるのであれば、効果にこだわりたいと考える方は多いでしょう。
ここでは、効果的な受け方を紹介します。
症状や目的に合ったカウンセラーを探す
カウンセラーにも専門分野があります。
たとえば、活動領域は大きく5つの分野に分類されます。
【主な活動領域】
- 教育分野
- 医療・保健分野
- 福祉分野
- 司法・矯正分野
- 労働・産業分野
また、カウンセラーごとに得意とする心理療法が異なる場合があります。
そのため、症状や目的を踏まえて選択することが大切です。
また、カウンセラーとの相性にも注意が必要です。
専門的な教育、訓練を受けているとはいえ、相性が全くないわけではありません。
実績豊富なカウンセラーであっても、初めて会ったときに何となく話しにくいと感じることがあります。
面談を重ねる中で徐々に信頼関係が築かれていきますが、不安がある場合は、最初から話しやすいと感じるカウンセラーを選ぶのも一つの方法です。
カウンセリング中は話したいことを自由に話す
初めてのカウンセリングで、緊張する方は少なくありません。
「うまく話せなかったらどうしよう」「情けないと思われたらどうしよう」などと考えてしまうためです。
知らない環境で自分のことを話すため、ある意味では当然の反応と考えられます。
訓練を受けたカウンセラーが、クライエントの話を途中で遮ったり、否定的な態度をとることは原則としてありません。
うなずいたり、あいづちをうったりしながら、対話を促してくれます。
したがって、「うまく話せなかったらどうしよう」「情けないと思われたらどうしよう」などと考える必要はありません。
難しいかもしれませんが、ありのままの自分、心の中にある気持ちを表現するだけで十分です。
上手く話せなかった場合も、気にする必要はありません。
話せなかったという事実も、カウンセリングにおいては重要な情報と捉えられます。
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自分を客観的に見つめる
カウンセリングでは、自分が感じていることを大切にしましょう。
最初から整理して話す必要はありません。
混乱して自分でもよくわからない場合は「よくわからないけどとにかく辛い」などと伝えればよいのです。
カウンセラーが今の気持ちを受け止めて、話しを要約したり、明確化したりしながら心の整理を手伝ってくれます。
このような対話を重ねることで、自分を客観的に見つめ直すきっかけが生まれます。
モヤモヤした気持ちを言葉にしているうちに、今の感情に気づけたり、カウンセラーがまとめてくれた話を聞いているうちに問題を整理できたりするためです。
客観的な視線は、変化のきっかけになることがあります。
とはいえ、無理に自分を客観視する必要はありません。
対話を重ねているうちに、少しずつ気づくことが増えていくはずです。
無理のないペースで継続する
カウンセリングは、原則として継続を必要とします。
1回の面談では信頼関係を構築できず、自分を素直に表現することが難しいためです。
悩みに関係している自身の価値観、考え方などの把握にも時間がかかります。
また、これらに気づいても、すぐ受け入れて変われるわけではありません。
そのため、効果を実感するまでには時間が必要になる場合があります。
効果を実感できるタイミングには個人差があります。
無理のないペースで継続できるようにしておくことが大切です。
適切なペースがわからない場合や見通しをたてたい場合は、カウンセラーに相談するとよいでしょう。
余裕があればカウンセリングの前後に振り返りを行う
面談前後に、振り返りを行うこともおすすめです。
具体的には、以下の取り組みが考えられます。
振り返りのタイミング 取り組みの例
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振り返りのタイミング |
取り組みの例 |
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面談前 |
・今の気持ちを確かめる ・前回からの変化を感じる |
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面談後 |
・話したことや気づいたことを振り返る ・次回までにやりたいことを確かめる |
振り返りを行うことで、カウンセリングの時間をより有意義なものにできます。
ただし、無理をして行う必要はありません。
心身に余裕のあるときに検討したい取り組みです。
カウンセラーを選ぶ際のポイント
ここからは、カウンセラーを選ぶときに、確認したいポイントを紹介します。
カウンセリング方法を確認する
カウンセリングの方法は、大きく以下の2つに分かれます。
それぞれの特徴は次のとおりです。
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方法 |
特徴 |
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対面 |
直接、会って対話する方法。言葉以外の情報を伝えやすい。 |
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オンライン |
ビデオ通話、メールなどで対話する方法。場所を問わず利用できる。また、直接、会わないため負担感が少ない。ただし、言葉以外の情報を伝えにくい。 |
意識することはほとんどありませんが、私たちは、身振り手振り、声の大きさなど、言葉以外の方法でコミュニケーションを図っています。
語らずとも多くの情報を伝えられる点は、対面カウンセリングの魅力です。
ただし、専門家と会わなければならないため一定の負荷がかかります。
手軽さという点では、オンラインの方が適している場合もあります。
在籍しているカウンセラーの取得資格を調べる
カウンセラーの資格も、事前に確認しておきたい重要な要素の一つです。
現在のところ、カウンセリングに必須の資格はありません。
したがって、専門的な教育、訓練を受けていない方、十分な教育、訓練を受けていない方も、一部ではカウンセラーとして活動しています。
たとえば、数時間の講義を受講するだけで取得できる民間資格を根拠に、活動している方もいます。
残念ながら、カウンセリングは勘や経験で行えるものではありません。
専門的な教育、訓練を受けたカウンセラーは、これまでに得られた知見を活かして、科学的な取り組みとして援助しています。
一般的に信頼性が高いと考えられている資格として、医師、公認心理師、臨床心理士があげられます。
公認心理師は心理領域における日本で唯一の国家資格、臨床心理士は指定大学院または専門職大学院を修了(実習あり)したのち資格試験に合格すると取得できる民間資格です。
まずは、これらの資格を取得しているカウンセラーを探すとよいでしょう。
サポート体制を確認する
運営側のサポート体制も、チェックしておきたいポイントです。
利用しやすさや満足度に関わります。
主なチェックポイントは以下のとおりです。
【チェックポイント】
- 方針や費用などを利用前にわかりやすく説明している
- 予約・変更・キャンセルが行いやすい
- 相性のよいカウンセラーを選択できる
- 医療機関と連携している
サポート体制が整っていないと、カウンセリングで起きたトラブルをカウンセラーに相談しなければならないことも考えられます。
問題なく利用できる体制であるかどうかを、事前に確認しておくことが重要です。
費用や立地で負担が少ないところを選ぶ
カウンセリングは、原則として数カ月以上に及ぶ取り組みです。
したがって、続けやすいところ、通いやすいところを選ぶ必要があります。
これらに大きな影響を与えるのが費用と立地です。
まずは、予算内で続けられるカウンセラーを探しましょう。
立地は、自宅からのアクセスと駅からのアクセスを重視するとよいかもしれません。
体調がすぐれないときでも、無理なく通える場所を選ぶことが大切です。
辛いときはカウンセリングを受けましょう
ここでは、カウンセリングの効果的な受け方などを解説しました。
基本のポイントは、目的を踏まえて信頼性の高いカウンセラーを選ぶことと、カウンセリングでありのままの自分を表現することです。
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