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不登校の子どもがカウンセリングを受ける利点は?受けられる場所も確認

[2025.08.30]

学校に行けなくなる不登校は、決して珍しいことではありません。

しかし、親としては「このままで大丈夫だろうか」「どのように接すればいいかわからない」といった悩みを抱えてしまうことがあります。
そのようなとき、支えの一つとなるのがカウンセリングです。

この記事では、不登校の子どもにとってカウンセリングにはどのような利点があるのか、受けられる場所についても解説します。

カウンセリングを嫌がる場合の対処法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

目次

1.カウンセリングとは
2.不登校の子どもにカウンセリングを受けてもらう利点
3.不登校の子どもがカウンセリングを受けられる場所
4.子どもがカウンセリングを嫌がる際の対処法
5.カウンセリングという選択肢を示してあげよう

カウンセリングとは

カウンセリングとは「心理相談」とも呼ばれるものであり、専門的な知識を持った医師やカウンセラーのサポートを受けて気持ちを整理していくためのものです。

カウンセラーが直接的に悩みを解決するのではなく、対話を通して本人が自ら気持ちや考えを整理していく支援を行います。

誰かに話すことがきっかけとなり、自分の感情や言えなかった本音に気づける場合もあります。
問題の解決に向けた糸口が見つかることもあるでしょう。

カウンセリングが必要な人とは|期待できる効果と必要性が高まる場面

不登校の子どもにカウンセリングを受けてもらう利点

不登校の子どもにカウンセリングを受けてもらうことで、さまざまな利点があります。
特に注目したいのは以下の5つです。

安心できる居場所ができる

カウンセラーは話を聞く専門家であり、心を閉ざしている子どもでもその気持ちに寄り添ってしっかりとサポートします。

子どもにとっては安心できる居場所となり、心の大きな支えになります。

不登校状態にある多くの子どもは、学校に行かなければならないことはわかっているものの、それができない状況に苦しんでいます。

カウンセリングの場は「学校に行かなくても責められない」「何も話せなくても受け入れてもらえる」といった安心感のある場所になってくれるはずです。

自己肯定感が育まれる

カウンセリングは何かを評価する場所ではなく、学校に行くことを強く勧めることもありません。
子どものお話を聞いて受け止め、存在そのものを肯定します。

これにより、自己肯定感が育まれることも大きな利点です。
特に不登校の期間が長くなってしまうと、自分のことを嫌いになったり責めてしまったりすることもあります。

カウンセリングで自己肯定感を取り戻すことは非常に重要です。
自己肯定感は目に見えない心の状態であるため、傷ついていても周囲が気づきにくいことがあります。
親からすると「そんなことで?」と思ってしまうようなことでも、自己肯定感が傷ついてしまう子どももいます。

自己肯定感が大きく損なわれている場合、回復には時間がかかるため、カウンセリングは継続的に取り組む必要があります。

問題解決の糸口が見つけられる

カウンセリングを受けることで問題解決の糸口が見つかることもあります。

不登校の背景には、人間関係、学校の成績や勉強の遅れ、環境、性格など、さまざまな要因が絡んでいます。

本人にとっても「何が問題なのかわからない」「どうすればいいのかわからない」と感じていることが多いのが現状です。

このような場合もカウンセリングでは、少しずつ子どもに話を聞く中で大元となっている問題や、求めているサポートなどが見えてきます。

カウンセラーは話を聞くプロなので、やり取りの中で少しずつ思考や感情を紐解いていくことが可能です。

親が辛抱強く話しかけても反応が得られなかった子どもが、カウンセラーには自ら悩みを打ち明けるケースも多くあります。

親からみても子どもへの正しい対応がわからず、困り果ててしまうこともあるでしょう。
親の善意による行動が、かえって子どもを傷つけたり、追い詰めてしまう場合もあります。

ただ、親としても必死に対応しているので、それに気づけないこともあるでしょう。
悩み事解決のサポートをするカウンセラーに相談することで、親がとるべき対応などがわかるのも大きな利点といえるでしょう。

コミュニケーション能力の向上が見込める

カウンセリングでは、カウンセラーとやり取りを行う中で少しずつコミュニケーション能力を育んでいくことも可能です。

コミュニケーションが苦手で不登校に陥ってしまったような場合も、自分に自信を持てるようになるきっかけにもなります。

しばらく不登校の状態が続いていると、人と関わる場から距離を置いている状態になってしまうのは避けられません。

その結果、会話や表現の機会がさらに減少し、対人関係への苦手意識が強まることもあります。

勇気を出して学校に行ってみたものの周りとうまく交流できず「やっぱり自分はダメなんだ」と感じて自信を失ってしまうと、状況がさらに悪化する可能性もあるでしょう。

カウンセリングでは、安心できる環境で、自分の気持ちを言葉にする練習を少しずつ行えます。

「うまく話せなくてもきちんと話を聞いてくれる」「自分のことを理解してくれようとしている」といった体験が積み重なり、コミュニケーションをとることへの抵抗感も薄れていくでしょう。

家族関係の改善を図れる

不登校は子ども本人はもちろんのこと、家族にとっても大きな問題です。

学校に行けなくなってしまった子どもに対しイライラしたり、感情をぶつけたりすることもあるでしょう。

すると、家庭内の空気が不安定になることも少なくありません。
カウンセリングでは、子どもと家族の関係についても必要に応じて話し合うことがあります。

ケースによっては子どもを支える立場にある親の方が精神的に追い詰められていることもあるため、親自身の気持ちを整理するのにもカウンセリングを活用しましょう。
子どもとの具体的な接し方や、間違っている対応も見えてきます。

「子どもとの接し方がわからない」と感じたときは、カウンセラーに相談してみることをおすすめします。

専門家からアドバイスが受けられるので、とても強力な助けになります。

カウンセリングを通じて家族関係が大きく改善した事例も報告されており、まずは相談から始めることをおすすめします。

カウンセリングの効果的な受け方|自分が話したいことを話しましょう

不登校の子どもがカウンセリングを受けられる場所

不登校の子どもにカウンセリングを受けさせたいと考えた場合、どこで受けられるのでしょうか。

「利用してみたいけれど、どこで受けられるのかわからない」という方のため、ここでは代表的な5つの相談先について紹介します。

各相談先の特徴や利点を踏まえて、適した場所を検討してみましょう。

クリニック

心療内科や精神科のクリニックでは、医師の診察のもと臨床心理士など専門家によるカウンセリングが受けられる場合があります。

臨床心理士は、臨床心理学に基づいて人々の悩みに寄り添う心の専門家です。

不登校状態になってしまった子どもの悩みに寄り添えるのはもちろんのこと、子どもとの接し方に悩んでいる親にとっても頼りになる存在といえるでしょう。

クリニックでは、カウンセリングだけではなく、必要に応じて診断や投薬といった医療的なアプローチもできるのが特徴です。

不登校の背景には、うつ病や不安障害といった精神的な原因が隠れているケースも珍しくありません。

こういったトラブルには専門的なアプローチが必要なので、医師の診察が受けられるクリニックで一度相談してみてはいかがでしょうか。

ただし、心療内科や精神科のクリニックであれば必ずしも不登校相談に対応しているとは限りません。
対応可能な心療内容を確認したうえで相談に行ってみましょう。

民間のカウンセリング機関

民間企業が運営しているカウンセリング機関もあります。

臨床心理士やカウンセラーが在籍しており、個人経営の施設から大手の相談所までさまざまです。

不登校支援に力を入れているところもあるため、専門的な支援が受けられるでしょう。

民間のカウンセリング機関では医療機関と異なり、診断や薬の処方はできません。

ただ「クリニックはなんとなく足を運びにくい」と感じている方にとっては、敷居の低さを感じられる選択肢といえるでしょう。

何らかの理由があって学校に通えない子どもたちが過ごす場所であるフリースクールでも、カウンセリングが受けられる場合もあります。

ただ必ずしも学校復帰を目的としているわけではないので、どのようなサポートが受けられるのかよく確認が必要です。

学校カウンセラー

学校カウンセラーは実質的にはスクールカウンセラーと同じものを指している場合がありますが、一般的に学校でカウンセリングを行う人の総称が「学校カウンセラー」です。

特に私立学校では、学校独自の基準でカウンセラーを採用していることもあります。

学校内という慣れた場所で相談できるため、子どもにとって心理的なハードルが比較的低い選択肢といえるでしょう。

ただしそもそも不登校で学校に行けていない場合には、なかなかカウンセラーと接点が持てません。
登校できるタイミングを見計らって連絡するなどの対応が必要です。

教育相談センター

教育相談センターは各自治体が運営しており、教育に関するさまざまな悩みに対応しています。

不登校の他にもいじめや進路に関する悩みなど、学校には直接相談しづらい内容にも応じてもらえるのが特徴です。

民間のカウンセリング機関は利用料がかかりますが、教育相談センターは公的機関であることから無料で相談できます。

スクールカウンセラー

スクールカウンセラーは、主に小学校や中学校に配置される専門職です。

心理に関する専門家として、子どもや保護者の相談に応じます。

子どもが通っている学校にスクールカウンセラーが配置されている場合は、相談しやすいでしょう。

2024年度の調査によると、スクールカウンセラーを定期配置している割合は以下の通りでした。

 

 

週4時間以上

週4時間未満

小学校

12.6%

5.8%

中学校

27.1%

3.3%

高等学校

9.8%

2.5%

参考:e-Stat 政府統計の総合窓口:学校保健統計調査(相談員・スクールカウンセラーの配置状況)

全体として、スクールカウンセラーの設置率は依然として限定的であるといえます。
そのため、ケースによってはスクールカウンセラーに相談したいけれど、できないといった状況も考えられます。

子どもがカウンセリングを嫌がる際の対処法

不登校になってしまった子どもの中には「何とかしてまた学校に行けるようになりたい」という子もいれば、登校を前向きに考えられない子もいます。

そのため、カウンセリングを強く拒否する可能性もあるでしょう。
これは決して珍しいことではありません。

不登校状態になると、周りと関わることがストレスになることも多く、特に知らない人と話をすることに拒否反応を示すこともあります。

無理に進めると、子どもとの信頼関係が損なわれる可能性があるので注意しましょう。

カウンセリングの効果を得るには、本人が前向きな気持ちで取り組むことが重要です。

そのため、強要するのではなく、あくまで提案という形で話をしてみてはいかがでしょうか。

「無理に知らない場所へ連れて行かれる」と思われてしまうと、さらに強く反対することもあります。

カウンセリングといえば、話さなければいけない場所だと思ってしまい不安を感じる子どももいるので「最初は話さなくても大丈夫」といった言葉を添えることも有効です。

カウンセリングに対する不安な気持ちをサポートしてあげることで前向きに検討しやすくなるでしょう。

カウンセリングという選択肢を示してあげよう

いかがだったでしょうか。

今回は子どもが不登校になってしまった場合に活用したいカウンセリングについて紹介しました。

子どもが学校に通えなくなってしまうと、親子とに大きな悩みを抱えることになります。

カウンセリングでは専門家が子どもや親の話を丁寧に聞き、適切な支援を行っています。必要に応じて、積極的に活用しましょう。

赤羽すずらんメンタルクリニックでは女性医師による診療を行っており、安心してご相談いただけるクリニックを目指しています。

子どもとの向き合い方に悩んでいる方や、不安な日々を過ごしている方はぜひ一度ご連絡ください。

監修者

土屋 恵理子
赤羽すずらんメンタルクリニック 院長

<資格>
精神保健指定医
精神科専門医・指導医
認知症サポート医
日本医師会認定産業医
コンサータ・ビバンセ登録医師

<経歴>
帝京大学医学部付属溝口病院精神科
医療法人社団 ハートフル川崎病院
介護老人保健施設 慈宏の里
東京都や千葉県内のクリニック、東海渡井クリニックにて
精神科訪問診療、光トポグラフィー・TMS治療に従事
赤羽すずらんメンタルクリニック開設

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