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ひきこもりになってしまう人の原因や脱出方法

[2022.07.28]

「家族がひきこもりになってしまった」「家から出たくない、人に会いたくない」そういったきっかけで、ひきこもりの原因や脱出方法は何なのか疑問を抱く人は多く感じます。 

ひきこもりが甘えやサボりととらえられ、理解のされにくさから頭を抱える人もいるのではないでしょうか。                                                 今回は、ひきこもりになる原因や脱出方法について解説します。                                                                         

また、本記事を読めば、ひきこもりの人と接触するには何に気を付ければいいのか、ひきこもり本人の心理を踏まえながら対処方法についても分かります。                              

自宅にひきこもり状態の方がいる家庭や、ひきこもり気味の現状をどうにか解決したいと思う方にはとくにおすすめです。

ひきこもりになってしまう原因

ひきこもりの大きな原因は、挫折体験と言われています。

ここでは、対人関係の苦手意識や生きがいをなくした喪失感、複雑な要因が絡み合って患った精神疾患など、ひきこもりになる原因4つを解説します。

【原因1】対人関係の苦手意識

ひきこもりの大きな原因は、対人関係と言われています。

学生時代のいじめや職場の付き合い、失恋など、人と接することが苦手になり、誰とも会いたくない、関わりたくない思いからひきこもってしまいます。

なかでも学生時代に不登校になった経験のある人は、ひきこもりになる確率が高いと言われています。

入学や就職など、環境が変わる際は大きなストレスとなり、新しい場になじめない孤独感や仕事上のコミュニケーションが上手く行かないなどで、ひきこもりに発展するきっかけです。

【原因2】仕事の失敗や後輩に先を越されたなどの自信の喪失

これまで仕事で積み上げてきた実績や経験に自信を持っていた方ほど、思わぬ挫折を経験した際の心理的ダメージは大きくなりがちです。特に30〜40代の中堅層では、後輩から頼られる場面が多く、一定の責任や期待を背負って働いている方が多いでしょう。

しかし、優秀な後輩が台頭したり、自分の得意分野を上回るスキルを持っていると、相対的に自信を喪失してしまうことがあります。また、大勢の前での叱責や仕事上の失敗などが引き金となり、強いストレスを感じることも少なくありません。

さらに、厚生労働省や専門家の報告によれば、30代〜40代以降の「中年期ひきこもり」が増加しており、キャリア上の停滞や人間関係の挫折がひきこもりの要因として挙げられています

(出典:「ひきこもりの支援に関する基礎資料(厚生労働省社会・援護局)」平成31年3月/8050問題に関する報道・調査資料より)。

【原因3】生きがいを感じない

ひきこもりの原因は、生きがいを感じないことも原因の一つです。

自分の強みや得意分野を他人にくじかれた、最愛の人を失ったなどの消失感から、家にこもって外界を遮断するようになります。

また、女性の場合は結婚や出産を機に職場を離れたときなど、環境が大きく変わった際にひきこもりになりやすいと言われています。

一旦職場を離れると社会復帰しづらく、復帰したくてもできず現実に打ちのめされ、自信をなくしてひきこもる人もいます。

【原因4】精神性疾患を抱えている

うつ病やパニック障害などの精神疾患を抱える方は、心身を守るために外部との接触を避けるようになり、ひきこもりにつながることがあります。

また、精神疾患の診断を受けていなくても、次のような傾向が強い方は、ひきこもりやすい状態にあるかもしれません。

  • 責任感が強く、失敗を恐れやすい

  • 傷つきやすく、自分に自信が持てない

  • 周囲に悩みを打ち明けられる人がいない

  • 頼ることが苦手で、一人で抱え込みやすい

  • 人混みや大きな音など、外部刺激に強いストレスを感じる

こうした傾向は、日本社会に根付く「頑張ることが美徳」といった価値観の影響を受けやすく、真面目で他人思いな人ほど、心が疲れてしまうことがあります。

ひきこもりは、そうした心の疲労から自分を守ろうとする、誰にでも起こりうる防衛的な反応です。

決して特別な人だけがなるものではなく、他人事ではないという意識が大切です。

 

こちらの記事では、うつにかかりやすい人の性格について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
真面目な人が多い?うつにかかりやすい人の性格を解説

ひきこもりから脱出するための方法

ひきこもりから脱出するためには、本人の行動力と周りのサポートが大切です。

ここでは、3つのひきこもりから脱出する方法を解説します。

【方法1】散歩をしながら日光浴をする

ひきこもりから脱出するにはとりあえず家から出ることです。

服を着替えて、家の周りを少しだけでも散歩してみましょう。日光や人目が気になるなら夜から始めてみるのも効果的です。

慣れてきたら日中の散歩にもチャレンジしましょう。

太陽を浴びると体内でビタミンDが生成されます。

また、太陽を浴びると心を安定させるセロトニンというホルモンが分泌され、精神の安定や平常心、直観力を上げるなどの効果もあります。

まずは5~10分程度の外出から、少しずつ始めてみましょう。

【方法2】家族以外の人と会話をする

ひきこもりは、実家暮らしや結婚している方もなります。

家族と話しているから問題ないと思わずに、家族以外の人と顔を合わせて話をしてみましょう。

顔を合わせて会話をすると、失っていた自信を取り戻しやすくなり社会復帰しやすくなります。

最初は電話やアプリでのチャットなどでの会話から始めるなど、気軽な方法から試してみましょう。

お店の人にあいさつやありがとうと伝えてみるのもおすすめです。

声が小さく伝わらなくても、声に出すことに意味があります。徐々に慣れていくことが大切です。

【方法3】小さな目標を立てて成功体験を重ねる

ひきこもりから脱出するためには、一度に大きな変化を求めるのではなく、小さな目標を一つずつ達成していくことが大切です。

散歩で太陽を浴びることや、家族以外の人と会話をすることなどから始めても良いでしょう。

自分で立てた目標を達成できると自信ややる気につながり、精神を安定させてくれます。

最初のうちは、「午前中に起きる」や「通話で友達と話す」など簡単な目標をつくりましょう。

これらを習慣にできれば、ひきこもりから脱出できます。焦らずに少しずつ、毎日1つずつでもいいので継続することから始めてみましょう。

ひきこもり本人に対して出来る周りのサポート

ひきこもりの人に対して、周りの人はどんなふうにサポートしたらいいのでしょうか。

ひきこもり本人の心理を交えながら解説します。

家族や友達にひきこもりの人がいる方は必見です。

【サポート1】こまめに話しかける

ひきこもりの人は、消極的になっていることが多いので、何気ない話を持ちかけてみましょう。

話しかけるのが困難な場合はチャットや手紙でも構いません。

本人の負担にならない程度に、話しかけることが大切です。

ひきこもりは、本人にポジティブな出来事や声かけにより、安心感や共感、理解をすることで、本人がひきこもりから脱したいと意欲が芽生えます。

本人が話しかけやすい雰囲気や環境をつくることが 解決につながります。

【サポート2】気持ちに寄り添って肯定する

ひきこもる理由は人それぞれで、複雑な心理状態の場合があります。

ひきこもっていた本人が話をするときは上手く話せないかもしれませんが、焦らせずに寄り添って本人が伝えたいことは何なのかを引き出すことが大切です。

そのためには、本人を認めて肯定することが大切で、「辛かったね」「よく頑張ったね」と肯定する言葉を掛けましょう。

ひきこもっている人は自信がなく心が傷ついている状態の人が多いので、意見や指摘はあまり効果的ではありません。

相手がホッとするような言葉を掛けましょう。

【サポート3】無理強いはしない

家族としては、一日も早くひきこもりの状態から抜け出し、社会復帰してほしいと願うものです。

心配するあまり、すぐに病院に連れていきたくなる気持ちも理解できます。

しかしながら、支援には本人の意思が何よりも重要です。

今はそっとしておいてほしいのか、それとも助けを求めているのか。

まずは本人の気持ちを尊重し、率直にたずねてみることが大切です。

良かれと思ってとった行動であっても、本人の心に負担を与えたり、逆に信頼関係を損ねたりする可能性があります。

そのため、あくまでも「本人のタイミング」で動き出せるよう、見守る姿勢が求められます。

無理に外に出るよう促したり、病院に連れていこうとしたりすることで、かえって状況が悪化し、ひきこもりが長期化することもあるため注意が必要です。

焦らず、ゆっくりと、本人の心が動くのを待つことも支援のひとつだと考えてみてください。

 

また、支援対象はご本人に限らず、ご家族・ごきょうだいなども含まれます。

もしご家族だけで対応が難しいと感じた場合は、公的な支援機関や心療内科に相談してみるのも一つの方法です。

「どう関わっていいか分からない」「自分自身が限界」と感じるご家族が、安心して話せる場を持つこともまた、非常に重要です。

無理に変化を促そうとするよりも、第三者の力を借りながら本人のタイミングを待つ

それが、ひきこもり状態からの回復に向けた、長期的かつ効果的なサポートといえるでしょう。

ひきこもりから脱出するには、本人の意思と周りの支えが必要

ひきこもり状態から抜け出すためには、本人の「変わりたい」という意思が何より重要です。

ただし、その意思を固めるには、何らかの“きっかけ”が必要になることも少なくありません。

たとえば、同世代の友人の結婚や家族の退職など、身近な変化がきっかけとなって、「自分はこのままでいいのか」と焦りを感じ、外に出る決意をするケースもあります。

とはいえ、本人の力や家族のサポートだけでは、変化への一歩が難しい場合もあります。

そのようなときは、自治体が運営するひきこもり相談窓口や、心療内科・メンタルクリニックに相談してみるのもひとつの方法です。

専門家の支援を受けることで、状況が前向きに動き出すことがあります。

参考:東京都ひきこもりサポートネット

参考:一般社団法人ひきこもりUX会議 | オフィシャルサイト
参考:特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会

ひきこもりには、対人関係のつまずきや、過去の失敗・挫折が背景にあることが多く、非常にデリケートな問題です。

そのため、無理に外に出るよう促すのではなく、本人の気持ちを尊重した対応が求められます。

加えて、支える家族側も精神的な負担を抱えることがあり、適切なサポートが必要です。

赤羽すずらんメンタルクリニックでは、ひきこもり状態にあるご本人はもちろん、家族や関係者の方からのご相談も受け付けております。ご自身だけで抱え込まず、少しでも不安を感じたら、ぜひ気軽にご相談ください。

赤羽で心療内科をお探しの方はコチラをご覧ください。

監修者

土屋恵理子

土屋 恵理子
赤羽すずらんメンタルクリニック 院長

<資格>
精神保健指定医
精神科専門医・指導医
認知症サポート医
日本医師会認定産業医
コンサータ・ビバンセ登録医師

<経歴>
帝京大学医学部付属溝口病院精神科
医療法人社団 ハートフル川崎病院
介護老人保健施設 慈宏の里
東京都や千葉県内のクリニック、東海渡井クリニックにて
精神科訪問診療、光トポグラフィー・TMS治療に従事
赤羽すずらんメンタルクリニック開設

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