認知症で訪問診療を利用するタイミングは?メリットも合わせて解説
「認知症で訪問診療を利用するタイミングは?」「認知症で訪問診療を利用するメリットは?」「訪問診療を利用する注意点は?」
比較的認知度の高い認知症ですが、その実態は過酷なものです。
本記事では、訪問診療を認知症患者が利用するタイミングや、訪問診療利用のメリット、訪問診療の注意点を解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.認知症の訪問診療とは2.往診との違い
3.認知症で訪問診療を利用するタイミング
4.認知症で訪問診療を利用するメリット
5.認知症で訪問診療を利用する際の注意点
6.認知症治療は訪問診療も一手
認知症の訪問診療とは
まずは、訪問診療とは何かから解説していきます。
訪問診療とは、その名のとおり「患者の自宅へ訪問して診療する診療法」です。
訪問診療には、病院診療とはまた違った長所や短所が存在します。
そちらものちほど詳しく説明していきますね。
ここからは、まず認知症の訪問診療について、以下3つの観点からより具体的に解説していきます。
- 対象者
- 訪問診療の流れ
- 診療内容
それぞれ解説していきます。
【特徴1】対象者
まずは対象者から確認していきましょう。
認知症患者のうち訪問診療の対象者は、下記のような方々です。
- 認知症の症状を抱える老人
- 寝たきりや身体障害を持つ方
- 車椅子などでの移動が困難な方
- 自宅に閉じこもりがちな方
外出が困難な方を対象としている場合が一般的です。
【特徴2】訪問診療の流れ
次に、訪問診療の流れを確認しましょう。
訪問診療は、基本的に以下のステップで行われます。
- 医師が患者さんの自宅を訪問する
- 患者さんの健康状態を診察・診断する
- 必要な医療行為を行う
診察以外にも、適宜以下のサービスが提供されることもあります。
- 薬剤師が訪問し薬の調剤・配送を行う
- 看護師が訪問し医療行為を行う
- 訪問診療前や訪問前後に電話で様子を訊く
訪問診療は、事前に予約を取ります。
予約時に患者さんの希望日時を伝えることで、医師が自宅へ訪問するスケジュールを調整してくれます。
【特徴3】診療内容
最後に、診療内容を確認しましょう。
訪問診療で受けられる診療内容は、下記のようなものがあります。
- 身体疾患の診療
- 認知症の診療
- 栄養指導
- 医療ケアや介護ケアの提供
- 治療のストレスを減らすための心理的支援
- リハビリテーションの提供
ほかにも、適宜必要な診療が行われますが、ここでは以上6つの診療内容をより掘り下げていきましょう。
【診療1】身体疾患の診療
1つ目は「身体疾患の診療」です。
認知症患者が抱える身体的な疾患の診療を行い、適切な治療や管理を行います。
たとえば、高血圧や糖尿病などが該当します。
【診療2】認知症の診療
2つ目は「認知症の診療」です。
認知症の進行状況や症状の評価、検査や薬の処方を行い、患者の状態を把握します。
それをもとに、適切なケアや治療を提供します。
【診療3】栄養指導
3つ目は「栄養指導」です。
認知症患者の栄養管理を行い、食事内容や摂取量などをアドバイスします。
また、食欲不振や摂食障害への対応も行います。
【診療4】医療ケアや介護ケアの提供
4つ目は「医療ケアや介護ケアの提供」です。
医療面や介護面でのサポートを提供します。緊急時には訪問看護師や介護士の派遣も行います。
【診療5】治療のストレスを減らすための心理的支援
5つ目は「治療のストレスを減らすための心理的支援」です。
治療中の患者がストレスを抱えている場合には、カウンセリングや心理療法などの支援を行い、心理的な負担を軽減します。
また、家族への心理カウンセリングも合わせて行います。
【診療6】リハビリテーションの提供
6つ目は「リハビリテーションの提供」です。
認知症患者が日常生活を送るために必要な生活支援や訓練を提供します。
たとえば、歩行訓練や認知療法、筋力トレーニングなどが挙げられます。
往診との違い
ここまで、訪問診療の概要を詳しく解説していきましたが、似たような言葉に「往診」があります。
往診とは「医師が患者の家に赴いて診察すること」であり、訪問診療と非常によく混同されます。
そこで、ここからは、以下2つの違いについて解説していきます。
- 訪問診療
- 往診
両者の違いは、治療スケジュールにあります。
それぞれのスケジュールは以下のとおりです。
- 訪問診療:長期的な計画をもとに、定期的な訪問治療を行う
- 往診:容態の急変など突発的な事態の要請に対し、訪問治療を行う
認知症で訪問診療を利用するタイミング
次に、認知症で訪問診療を利用するタイミングについても見ていきましょう。
認知症で訪問診療を利用するタイミングは、以下のような状況が考えられます。
- 自宅での日常生活に支障が出始めたと感じるとき
- 外出が困難になり、医療機関へ通院が難しいとき
- 症状が進行し、介護が必要になってきたとき
- 家族や介護者が疲れを感じ、支援が必要になったとき
認知症は徐々に進行するため、早期に訪問診療を利用することで、症状の進行を遅らせたり、家族や介護者の負担を軽減したりすることができます。
また、訪問診療によって、自宅での生活を維持するための適切な支援やアドバイスを受けることができます。
認知症で訪問診療を利用するメリット
次に、ここからは認知症で訪問診療を利用するメリットについて解説していきます。
代表的なメリットは以下の3つです。
- 普段の生活状況を確認しながら診療してもらえる
- 地域とのつながりをそのままに生活できる
- 家族との時間を大切にできる
それぞれ見ていきましょう。
【メリット1】普段の生活状況を確認しながら診療してもらえる
訪問診療は自宅で行われるため、患者の普段の生活状況や環境を直接確認することができます。
通常、診療所や病院では限られた時間内で診察を行いますが、訪問診療では時間にゆとりがあるため、医師は患者の生活状況や課題を深く理解することができます。
それにより、病気の進行や症状の変化を早期に発見したり、必要なアドバイスを提供したりすることができます。
【メリット2】地域とのつながりをそのままに生活できる
訪問診療は患者が自宅で診療を受けるため、地域とのつながりを維持することができます。
また、病気によっては外出が困難な場合もありますが、訪問診療があれば、患者は外出することなく医療サービスを受けることができ、地域に根ざした生活を維持することができます。
【メリット3】家族との時間を大切にできる
訪問診療は患者が自宅で診療を受けるため、家族と一緒に診療を受けることができます。
家族が同席することで、医師からの説明やアドバイスを共有することができます。
また、患者が病院や診療所に行く場合、それに合わせて家族が仕事を休む必要がある場合もありますが、訪問診療ならば、患者や家族の予定に合わせて診療を受けることができるため、家族との時間を大切にすることもできるでしょう。
認知症で訪問診療を利用する際の注意点
ここまで、認知症で訪問診療を利用するメリットを解説してきましたが、最後に訪問診療の注意点を解説していきます。
主な注意点は以下の3つです。
- 訪問前によく相談する
- 診療時に症状を説明する
- 診療時は積極的に質問をする
それぞれ順に見ていきます。
【注意点1】訪問前によく相談する
注意点1つ目は「訪問前によく相談する」です。
訪問診療の時間帯や予定を確認し、本人や介護者が必要な準備をするようにしましょう。
訪問診療に必要な医療器具や薬剤などがある場合は、準備が必要な場合もあります。
【注意点2】診療時に症状を説明する
2つ目に紹介する注意点は「診療時に症状を説明する」です。
認知症は身体の病気と違い、検査で物理的に測定できるものではありません。
そのため、訪問診療に来る医師や看護師に、本人や介護者が抱えている問題や症状、状況について正確に説明しましょう。
【注意点3】診療時は積極的に質問をする
最後に紹介する注意点は「診療時は積極的に質問をする」です。
訪問診療を受ける際には、本人や介護者が訪問診療についての質問や疑問を持っている場合は、積極的に医師や看護師に相談しましょう。
訪問前後の生活のヒントにもなるはずです。
認知症治療は訪問診療も一手
認知症は、脳卒中などの病気と併発することも少なくありません。
通院が難しい認知症の方は、積極的に訪問診療を利用するのもひとつの手です。
その際は、十分に訪問前診断を行い、症状の伝達や積極的な質問など、医師との連携を絶やさないよう留意しましょう。
赤羽すずらんメンタルクリニックは、駅から約1分で着く女性医師の心療内科です。
赤羽で心療内科をお探しの方はコチラをご覧ください。