うつ病の初期症状は?悪化を防ぐセルフケアと改善しない場合の対策
うつ病は心と体の不調を引き起こす病気であり、誰にでも起こりうるものです。
ですが、初期症状は日常の疲れやストレスと区別がつきにくいこともあり、気づくのが遅れることもあります。
この記事では、うつ病の初期症状を詳しく知りたい方に向けて、代表的な症状や気づいた際に実践できるセルフケアについて解説します。
心の不調にいち早く気づき、適切な対応をとるためにぜひ参考にしてください。
目次
1.うつ病の初期症状2.うつ病の初期症状がみられた場合にこれ以上悪化させないためのセルフケア
3.うつ病の初期症状がセルフケアで改善されない際には?
4.うつ病の初期症状に気づいたら早めに対応を
うつ病の初期症状
うつ病の初期症状として現れやすい変化は「気分・身体・行動」の3つです。
以下のような変化が複数現れたり長期間続いたりする場合は、うつ病の初期段階である可能性があります。
気分の変化
うつ病の最も特徴的な初期症状の一つが気分の落ち込みです。
以下のような兆候がみられます。
【気分の変化の例】
- 理由もなく気分が沈む
- 以前は楽しめていた趣味や活動に興味がなくなる
- 些細なことにイライラしたり不安になったりする
- 自分を責める否定的な思考が浮かびやすくなる
嫌なことやうまくいかないことがあった際に、気分が落ち込むのは自然なことです。
しかし、このような状態が長く続く場合は、うつ病の初期症状である可能性も考えられます。
厚生労働省によると、こうした症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたす場合をうつ病と定義しています。(※)
2週間以上症状が継続している場合は、一度精神科や心療内科を受診しましょう。
身体の変化
うつ病といえば精神面での変化が大きいと思われがちですが、その前に身体面に不調が現れるケースもあります。
初期症状として現れやすいのは、以下のような例です。
【身体の変化の例】
- 睡眠障害
- 食欲の変化
- 肩こりや頭痛など原因不明の症状
- 慢性的な疲労感や倦怠感
身体の不調で病院を受診しても原因が特定できず、紹介先のメンタルクリニックでうつ病と診断されるケースもあります。
明らかな不調があるにもかかわらず原因が特定できない場合は、心の問題も視野に入れる必要があります。
食欲不振は身体からの重要なサインである可能性もあるので、無視するのは危険です。
食欲不振の原因は?病気のもとである可能性もこちらの記事では食欲不振の原因について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
行動の変化
「感情の波が激しくなった」「最近趣味を楽しむ様子がない」といった変化に、本人ではなく周囲が気づく場合もあります。
これは以下のような行動の変化がきっかけです。
【行動の変化の例】
- 出勤や通学が億劫になる
- 人付き合いを避けるようになる
- 身だしなみを気にしなくなる
- 何もする気が起きず、ぼんやりと過ごす時間が増える
周囲から「疲れていないか」「何かあったのか」などと心配されることが増えた場合は、注意が必要です。
うつ病の初期症状がみられた場合にこれ以上悪化させないためのセルフケア
うつ病の初期段階で症状を悪化させないために効果的なセルフケアがあります。
ここでは無理なく実践できるセルフケアを紹介します。日々の生活に取り入れてみてください。
十分な睡眠を確保する
睡眠は体だけではなく、心の回復のためにも欠かせません。
睡眠時間が不足していると実感している方は、意識的に睡眠時間を確保しましょう。
ただうつ病になると疲れているのになかなか眠れなくなったり、一時的に眠れてもすぐに目が覚めてしまったりすることがあります。
起床予定時刻よりも早く目覚めてしまうのも、典型的な症状の一つです。
このような睡眠のトラブルに悩んでいる方は、以下の睡眠のポイントをチェックして実践してみてください。
【睡眠のポイント】
- 寝る1時間前にはスマホやパソコンの使用を控える
- カフェインやアルコールを控える
- 寝る前や布団に入ってから考え事をしない
- 眠れないことに焦りすぎない
睡眠はうつ病の状態を悪化させないためにも非常に重要です。
場合によっては睡眠薬や安定剤の使用が有効なこともあるため、医師と相談しながら活用を検討しましょう。
日本睡眠学会でもうつ病の不眠に対して睡眠薬は効果的としています。(※1)
また厚生労働省では7時間前後の睡眠を確保できるとうつ病の発生リスクが低くなり、7時間より長くても短くても良くないとしています。
ただし、適切な睡眠時間には個人差があるため、6~8時間の睡眠時間を目安にして調整しましょう。(※2)
(※1)参考:(PDF)一般社団法人日本睡眠学会:睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン[PDF]
(※2)参考:(PDF)健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会:健康づくりのための睡眠ガイド 2023[PDF]
規則正しい生活を送る
生活リズムが乱れていると、うつ症状を悪化させてしまうことがあります。
自律神経も乱れやすくなるので、規則正しい生活を送ることは非常に重要です。
【意識したいこと】
- 毎日決まった時間に起きて寝る
- 朝日を浴びて体内時計をリセットする
- 短時間でもいいので散歩や家事で体を動かす
- 予定を詰め込まず毎日の生活に余裕を持つ
起床時間が日によって大きく異なる場合は、睡眠リズムの安定化のためにも一定の起床時間を保つことを意識しましょう。
起きた後は朝日を浴びて目を覚ますようにするだけでも生活のリズムを整えやすくなります。
規則正しい生活を送るといっても、無理をするのはいけません。
「毎日1時間運動する」のように決めてしまうと運動できなかったときに自分を責めてしまうことがあるので、できる範囲で続けることが重要です。
栄養バランスの良い食事を心がける
人間の体は食事によって大きく左右されます。
できれば毎日3食摂りましょう。
無理のない範囲でのバランスを考えた食事をするのが理想的です。
自炊だけで栄養バランスをとるのは大変なので、お惣菜やサプリメントなどもうまく活用してみてはいかがでしょうか。
自分の普段の食事を振り返り、どのような栄養素が不足しがちか知ることも重要です。
肉や魚、揚げ物などに頼るのではなくて、野菜類などもバランスよく摂り入れていきましょう。
無理のない範囲で体を動かす
うつの初期症状では「何もしたくない」「動きたいのに動けない」といった状況に陥ることがあります。
このようなときに無理に体を動かす必要はありません。
ですが、軽い運動が心をほぐすことにつながるケースもあるので、無理のない範囲で実施していきましょう。
例えば、近くのコンビニまで歩いて出かけてみたり、家の中でラジオ体操やストレッチを取り入れるのも効果的です。
適度な運動を実施することで、うつや不安の症状が軽減されるほか、運動量が多い人は少ない人と比較してうつ病の発症・罹患リスクが低いことがわかっています。
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」では、1日60分以上の身体活動と週60分以上の運動が推奨されています。
「身体活動」とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する骨格筋の収縮を伴う全ての活動のことです。
【身体活動】
- 生活活動:日常生活における家事・労働・通勤・通学など
- 運動:スポーツなど計画的・定期的に実施する運動
- 座位行動:起きている最中に行うエネルギー消費が1.5メッツ以下の行動
座りっぱなしの時間が長くなることによるリスクも報告されているので、できれば生活活動と運動で1日60分以上の身体活動を目指してみてはいかがでしょうか。
参考:(PDF)健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会:健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023[PDF]
リラックスタイムを作る
うつ病は心の病気ということもあり、リラックスタイムを作ることで、初期症状の緩和に役立ちます。
特に普段からストレスを溜め込みやすい人は、意識してリラックスタイムを作るようにしましょう。
趣味の時間を思いっきり楽しんだりお風呂に入ったりするだけでもストレス解消につながります。リラックス方法は人それぞれ異なるため、自分に合った方法を見つけて継続することが大切です。
【関連記事】うつ病の予防方法とは?日常から実践できる行動と考え方
うつ病の初期症状がセルフケアで改善されない際には?
セルフケアを実践したもののうつ病が改善されない場合は、心療内科や精神科でのカウンセリングについての検討をおすすめします。
話をすることで自分の考えや感情が整理され、気持ちが軽くなることも珍しくありません。
カウンセラーや臨床心理士との対話の中でうつ病についての理解を深めることもできます。
また、症状が重くなっている場合には、薬物療法の導入が検討されることもあります。
抗うつ薬や抗不安薬などは脳内の神経伝達物質のバランスを整える作用があり、つらさを軽減するのに効果的です。
さらにしっかりとした休養をとることも欠かせません。
うつ病は、頑張りすぎや責任感の強さが背景にあることも多く、無理をしがちな方も少なくありません。
あまり無理をすることなく適度に休養を取り入れていきましょう。
うつ病の初期症状に気づいたら早めに対応を
いかがだったでしょうか。
今回の記事ではうつ病の初期症状と、できるだけ悪化させないために行いたいセルフケアなどについて紹介しました。
セルフケアは手軽に取り組めますが、効果が十分に得られない場合もあります。
現在の不調がうつ病によるものか判断がつかない場合や、専門家の意見を求めたいときは、医療機関への相談を検討しましょう。
赤羽駅から1分の距離にある赤羽すずらんメンタルクリニックでは、うつ病のご相談に対応しています。
薬に頼らない治療法を希望される方には、TMS治療(磁気治療)などの選択肢もご案内可能です。お気軽にご相談ください。
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