強迫性障害の方が訪問診療を受けるタイミングやメリットは?
「強迫性障害患者が訪問診療を受けるタイミングやメリットは?」
「そもそも強迫性障害とは?」
「強迫性障害の診断方法や治療方法が知りたい」
強迫観念と、そこから引き起こされる強迫行為を繰り返してしまう強迫性障害。
本記事では、強迫性障害の方が訪問診療を利用する際に知っておきたいこと、強迫性障害の原因などについて解説していきます。
目次
1.強迫性障害とは?2.強迫性障害の原因
3.強迫性障害の方が訪問診療を依頼するタイミング
4.強迫性障害の方が訪問診療を受けるメリット
5.強迫性障害の診断方法
6.強迫性障害の治療方法
7.強迫性障害の方への接し方
8.強迫性障害は訪問診療によって強迫行為が減りうる
強迫性障害とは?
強迫性障害とは、強迫観念と強迫行為が特徴的な不安障害のひとつで、異常な不安や無意味なことを繰り返す行動が現れます。
繰り返し行為によって意図せず時間を費やしてしまい、日常生活を大きく制約されることがあるため、早期の治療が大切です。
ここからは、強迫性障害の主な症状6つを順に見ていきます。
- 不潔恐怖
- 加害恐怖
- 確認行為
- 儀式行為
- 数字へのこだわり
- 物の配置、対称性へのこだわり
それぞれ詳しく解説していきます。
不潔恐怖
不潔恐怖は、常に自分や周囲にいる人たちが汚染されていて病気になるかもしれないという強い不安がある状態を指します。
お皿を洗う、手を洗うなどのルーティン的な作業を異常に繰り返すなどの行動により普通の生活がままならなくなることがあります。
加害恐怖
加害恐怖とは、他人に対して害を加えてしまうことを恐れる症状です。
この症状は、無意識のうちに他人への危害を考えてしまう可能性によって、自己嫌悪感や罪悪感があることがあります。
確認行為
確認行為とは、たとえば外出時にかけたはずの鍵を何度も確認してしまい、一向に外出できないといったような症状です。
この症状により、自分が気にかけるものに関しては何回もチェックしなければ不安がおさまらなくなり、時間を取られすぎてストレスになる場合があります。
儀式行為
儀式行為とは、同様の行為を何度も繰り返すことで心理的不安を和らげようとする症状です。
この症状によって、患者は特定のルーティンを定期的に実行することに固執します。
儀式行為を実行することによって、維持したい感情または思考自体が安心を得るという錯覚に陥り、この行為が時間とともに増加することで、患者の日常生活に大きな影響を与えることがあります。
数字へのこだわり
数字へのこだわりとは、特定の数字に対して異常な執着を持つ症状です。
たとえば、不吉な数字を異常に嫌ったり、数字の合計が特定の数字になるように計算したりすることが挙げられます。
これらの数字を回避するために、時間や日常生活に取り入れる数字に制約を設けることがあり、極端に抑制が効かない場合は日常生活に支障をきたすことがあります。
物の配置、対称性へのこだわり
物の位置や形、対称性に過度にこだわり、下手をすると数時間もかけてしまうこともあります。
たとえば、机の上に置いた文房具を一定の間隔で揃えたり、鏡に映って見える部屋の対称性にこだわったりすることがあります。
自分が特定の行動を繰り返すことである程度の安心感を得られると感じるため、行為が慢性化してしまうことがあります。
強迫性障害の原因
強迫性障害の原因は、いまだに解明されていません。
しかし現状の研究では、神経学的な要因や環境要因が影響しているのではないかとされています。
脳内のセロトニンやドーパミンなどの物質のバランスが乱れることが関与していると考えられており、それによって脳内の特定の領域に異常を引き起こすのではないかとする説があります。
ほかにも、ストレスやトラウマなどが発症の引き金となることが確認されており、患者自身による強迫的な行為は、このストレスを緩和するための防衛行為ではないかと仮説が立てられています。
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強迫性障害の方が訪問診療を依頼するタイミング
強迫性障害の方が訪問診療を依頼するタイミングは、日常生活に支障をきたすような症状がある場合や、外出が困難な状況などです。
たとえば、自宅での手洗いや物の整理整頓に膨大な時間を費やし、社会生活が制限されている場合や、外出時の持ち物確認や鍵閉め確認を繰り返してしまい外出に膨大な時間を要する場合には、専門家の診断や治療が必要とされます。
強迫性障害の方が訪問診療を受けるメリット
まず、外出が困難な方でも診療を受けられるためストレスを減らすことができます。
また、自宅での診療であるため、自分が落ち着ける環境で受診できる点もメリットのひとつです。
医師や看護師の自宅訪問により治療方針や薬の調整などをより詳しく話し合うことで、最適な治療を受けることができます。
強迫性障害の診断方法
強迫性障害は、主に症状や病歴の聞き取り、心理学的評価などを行い診断されます。
医師は主訴となる症状の詳細を聞いたり、日常生活における支障を評価したりし、強迫性障害の疑いがある場合は心理検査を用いて詳細な診断を行います。
また、統合失調症や全般性不安障害、薬物療法やアルコールの影響など、他の病気や状態との鑑別も必要です。
こちらの記事では、心療内科では初診のときに何を話すのかについて、わかりやすく解説します。あわせてぜひご覧ください。
心療内科では初診のときに何を話すの?具体的な内容とは
強迫性障害の治療方法
次に、強迫性障害の治療方法を解説していきます。
主な方法は以下の3つです。
- 薬物療法
- 精神療法(カウンセリング)
- 認知行動療法
それぞれ見ていきましょう。
方法①薬物療法
薬物治療では、主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬が用いられます。
これらはホルモンの分泌を調整し、症状の改善を目指します。
ただし、副作用がある場合や効果が出にくい場合もあるため、個人差を加味したうえで投与する必要があります。
方法②精神療法(カウンセリング)
精神療法もいくつかありますが、実際に不安の状況に患者を置く「暴露療法」と呼ばれる療法がよく用いられます。
この療法では、患者自身が避けていた行動や物に、あえて触れながら徐々に慣れていくことで、不安感を少しずつ緩和させることを目的としています。
方法③認知行動療法
強迫性障害の治療方法のひとつには、認知行動療法もあります。
この療法では、患者の思考や行動について問題を引き起こしているものを探り、それを改善することに焦点を置いています。
思考の修正や行動実験などを通して、自己破壊的な行動を回避し、正常な生活を取り戻すためのスキルを身につけることが目的とされています。
強迫性障害の方への接し方
強迫性障害の方に接する際には、理解しようとする姿勢や傾聴することが何よりも大切です。
相手の強迫的な行動に対して否定的な言葉をかけたり強要したりすることは避け、ゆっくり話を聞き、安心感を与えましょう。
適切な治療を勧めることも重要ですが、焦ったり、急かしたりすることは禁物です。
強迫性障害は訪問診療によって強迫行為が減りうる
訪問診療は強迫性障害に適した治療のひとつであり、患者の苦痛緩和や家族支援に効果的です。
訪問診療により、患者の状態や生活環境に直接的に触れられることで、より積極的かつ個別化された治療ができることが特徴です。
また、訪問診療は患者が外出することが難しい状況や外出によって強迫観念・強迫行為が頻発してしまう際にも受診が可能であるため、患者のアクセス向上にも貢献しています。
強迫性障害でお悩みの方は赤羽すずらんメンタルクリニックへぜひ一度ご相談ください。