心療内科の受診・通院でも住宅ローンに加入する方法
「心療内科への通院でローンが組めなくなるのか」という疑問についてお答えします。
ローンといえば、住宅ローンを思い浮かべる人は多いでしょう。
心療内科や精神科に通院歴があると、多くの保険で新たに申し込みができないケースがありますが、それに関連して、住宅ローンを組むときにも影響する可能性があります。
理想の住宅を見つけたにも関わらず、ローンが組めずに諦めることになってはとても残念ですね。
この記事は、ローンを考えている人で、心療内科への通院歴がある、あるいは通院を考えている場合に参考になる内容となっています。
マイホームの夢を叶えるためにも、心療内科への通院とローンの関係について正しく知りましょう。
目次
1.心療内科への通院歴がローン審査に影響する1-1.団体信用生命保険への加入ができない
1-2.申告の期限を過ぎていればローンが組める可能性がある
2.心療内科への通院歴ありでローンを組む方法
2-1.ワイド団信へ加入する
2-2.フラット35を利用する
2-3.金融機関を変えて住宅ローンを申し込む
2-4.配偶者名義で申し込む
2-5.治療を終えるまで待つ
3.心療内科への通院歴があってもローンが組める場合がある
心療内科への通院歴がローン審査に影響する
住宅を購入するときに、ローンを組むという人は多いです。
一方で、心療内科への通院歴があるとローンが組めないという話を聞き、受診をしたいと考えているけれどローンへの影響を考えて躊躇する人もいるようです。
しかし、ローンの利用は、家族の未来や家計など人生設計に関わるもの。
ローンを使ってマイホームの夢を叶えたいと思っている場合、この問題は非常に悩ましいことでしょう。
団体信用生命保険への加入ができない
なぜ通院歴がローンに関係するのかというと、ローンを組む際に加入する「団体信用生命保険」が理由です。
この保険は、返済中に万一の事態になった場合、保険金によって弁済するシステム。
借主に何かあったときに、残された家族がローンを返済しなくて済むというものです。
この保険に加入するときは、医療保険や生命保険と同じように、病気について告知が必要。
告知事項に精神病や神経症といったものが含まれているため、心療内科への通院歴があると保険に加入できない可能性があるのです。
申告の期限を過ぎていればローンが組める可能性がある
過去にうつ病を患い受診をしていたとしても、申告の期限を過ぎているのであれば告知の必要はありません。
たとえば、告知事項に3年以内の手術や治療歴とある場合、受診が4年前であれば影響ないでしょう。
こちらの記事では、うつ病の治療で重要なことや治療方法について解説しています。あわせてご覧ください。
うつ病が治るきっかけは?回復方法について
心療内科への通院歴ありでローンを組む方法
団体信用生命保険が無理である以上、マイホームを諦めるしかないと考えるのはまだ早いです。
団信に加入ができないケースでも、ローンを組める可能性があります。
加入が難しい人に向けて、5つの手段を紹介しましょう。
ワイド団信へ加入する
団体信用生命保険に加入できない場合、「ワイド団信(引受条件緩和型団体信用生命保険)」への加入を検討できます。
ワイド団信は一般の団体信用生命保険よりも条件が緩く、うつ病など健康上の問題があっても加入がしやすくなっています。
補償内容は一般の団体信用生命保険と同等ですが、金利が+0.1%~0.5%高くなるため加入コストをよく考える必要があるでしょう。
住宅ローンの利用を検討中の方はワイド団信の利用を検討してみてください。
フラット35を利用する
フラット35は住宅金融支援機構が提供する、最長35年まで利用可能な全期間固定金利の住宅ローン商品です。
健康上の理由で住宅ローンが利用できない人向けのローンとして提供されているため、団体信用生命保険の利用は任意制となっています。
団体信用生命保険の代わりに万が一の事態への備えが必要になりますが、健康的な問題を抱えている方にも開かれた住宅ローンとして利用されています。
金融機関を変えて住宅ローンを申し込む
金融機関によって審査の基準は異なります。1つ目の金融機関で審査に通らない場合、2つ、3つと複数の金融機関を当たりながら住宅ローンを申し込むことができます。
ただし、基準に満たない可能性も考慮したうえで申し込むようにしましょう。
フラット35の利用や、配偶者名義での申し込み方法も検討してみてください。
配偶者名義で申し込む
団体信用生命保険の審査では、契約者の過去の病歴や投薬歴を知らせる義務があります。
当事者がうつ病にかかっていると審査が下りない可能性があるため、健康に問題のない配偶者名義で申し込むことができます。
この場合、世帯主名義ではない理由を尋ねられるほか、世帯主を連帯保証人にするよう求められるケースもあるため、資金計画や信用情報に問題がないかどうか事前にチェックをしたうえで申し込みを行いましょう。
治療を終えるまで待つ
うつ病は治療によって回復が見込める病気です。適切に治療を続けていき、症状の回復を待って住宅ローンを申し込むことも可能です。
団体信用生命保険の告知では、過去のある時点までの通院歴や治療歴が問われるのみで、それより前の病歴を告知する必要はありません。
一定期間うつ病の治療に取り組んだのち、回復が見込まれた段階で団体信用生命保険に申し込めば、症状が重い状態よりも加入しやすくなる可能性があります。
こちらの記事では、うつ病が治らない原因について解説しています。あわせてご覧ください。
うつ病は治らない?一般的な治療期間と治療が長期化する主な理由
心療内科に通院中の方が住宅ローン審査で注意すべきポイント
心療内科への通院歴があると、「住宅ローンの審査に通らないのでは」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
実際、審査において精神疾患の通院歴が影響することはありますが、事前に正しい情報を把握し、適切に対処することで、リスクを軽減し、審査に通る可能性を高めることができます。
ここでは、心療内科に通院中の方が住宅ローン審査を受ける際に、特に注意しておくべき3つのポイントをご紹介します。
通院歴を正直に申告すべきかどうか
住宅ローンの審査では、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」への加入が必要です。団信に加入する際には、過去の病歴や通院歴についての告知が求められます。
告知項目には、主に以下のような内容が含まれています。
-
過去3か月以内に医師の診察や投薬を受けたか
-
過去3年以内に2週間以上の治療や手術を受けたか
これらに該当する場合は、心療内科の通院歴も正直に申告しなければなりません。
一方、最終の受診や治療から3年以上経っている場合は、告知対象外となり、申告は不要です。
申告すべきか迷ったときは、自分で判断せず、医師や金融機関に相談しましょう。
虚偽の申告は後述するように大きなリスクを伴います。
審査前にやってはいけない行動(例:名義変更、転職など)
審査直前や審査中に、以下のような行動を取ると、審査に不利になることがあります。
避けたい行動 | 審査への影響・リスク |
---|---|
転職・雇用形態の変更 | 収入の安定性に疑問を持たれ、評価が下がる可能性がある |
車のローンや高額なクレジット利用 | 返済負担率(年収に対する借入額の割合)が上がり、借入可能額が減ることがある |
名義変更や贈与などの資産移動 | 資金の出所や借入の目的が不明確になり、審査でマイナスに働くことがある |
住宅ローンの審査中は、生活環境や経済状況をなるべく変えず、現状維持を心がけることが大切です。
大きな金銭の動きや転職などは、ローン審査が完了するまでは控えるようにしましょう。
告知義務違反のリスク
審査通過のために通院歴を隠して申告した場合、後になってその事実が発覚すると、「告知義務違反」として重大な問題につながる可能性があります。
具体的には、
-
団信が無効となり、万が一の際に保険金が支払われない
-
住宅ローン契約が解除され、一括返済を求められることがある
-
支払った団信保険料が戻ってこない
といったリスクがあります。
団信では、保険金請求時に「死亡診断書」や「診療情報提供書」の提出が求められるため、通院歴があることは最終的に必ず明らかになります。
安心してマイホームの夢を実現するためにも、正直に申告し、審査に備える姿勢が何よりも重要です。
心療内科への通院歴があってもローンが組める場合がある
いかがでしたでしょうか?
フラット35のように、心療内科への通院歴があっても利用できる住宅ローンは、既往症を抱える方の心強い味方です。
この記事を読んでいただくことで、心療内科に通っていてもローンが利用できることがご理解いただけたと思います。
ローンに申し込めないからと受診をためらわず、気になる症状は適切な治療で回復を目指しましょう。
赤羽すずらんメンタルクリニックでは駅から約1分で着く女性医師の心療内科です。
うつ病でお悩みの方は赤羽すずらんメンタルクリニックへぜひ一度ご相談ください。
監修者