統合失調症の症状には種類がある!違いやタイプ別の特徴
この記事では、統合失調症について理解を深めたい人に向けて、主な症状の種類や症状の経過などを解説していきます。統合失調症は、何らかの原因で気持ちや考えを脳でまとめることが難しくなる病気です。 日本の統合失調症患者数は約80万人といわれており、世界各国でも全体人口の0.7%が発症すると推計されています。 統合失調症の発症原因は今のところはっきりと分かっておらず、人間関係や仕事のストレス、進学や結婚といった転機による緊張などがきっかけではないかと考えられています。
このように、統合失調症は決して特別な病気ではなく誰にでも起こる可能性があるため、理解を深めることで早めに症状への対応ができるようにしておきましょう。
目次
統合失調症の主な症状の種類
統合失調症は、人によって症状のあらわれ方が異なります。 主な症状の種類を確認しておきましょう。
陽性症状
統合失調症の陽性症状は、幻覚や妄想といった健康なときにはみられないものがあらわれるといった症状です。
中でも幻聴はあらわれやすい現象で、発症すると現実にはいない人の声で自分の悪口や噂をされる、誰かに命令されているといった錯覚を起こします。 このほか、誰かに支配されていると感じる自我意識の障害や、周囲が理解に苦しむ支離滅裂な会話や行動、興奮して大声で叫ぶなど、行動の異常が症状としてみられる人もいます。
陰性症状
統合失調症の陰性症状は、感情表現や意欲が乏しくなるなど、健康なときにできたことができなくなってしまう症状です。
人と関わることへの興味を失うことで社会性が低下する、健康なときであれば笑ったり泣いたりするような状況で感情をあらわさないなどの状態が続きます。 陰性症状は、陽性症状を発症した後に遅れてでることが多いといわれています。
認知障害
思考や計算、言語などの知的な能力が脅かされるのが、統合失調症の認知障害です。
これらの認知機能に障害が生じることで、注意力が散漫になり1つのことに集中できなくなったり、物事を概念化する能力が低下して、整理整頓や料理ができなくなったりする症状があらわれます。 社会活動全般に支障がでるため、日常生活を送ることが困難となる人もいるでしょう。
統合失調症の発症時期で分類される3つのタイプ
統合失調症は、発症する時期やあらわれ方などから、主に3つのタイプに分類されます。
破瓜型
15歳~25歳で発病しやすいのが「破瓜(はか)型」です。
初めのうちは感情表現や意欲が乏しくなる陰性症状があらわれ、徐々に幻覚や妄想などの陽性症状に変化していきます。 なかには、家に引きこもって自閉的になる人もいるでしょう。 これらの症状は慢性化しやすく、悪化していくと人柄が変わってしまうこともあるなど、予後への影響が大きいといわれています。
緊張型
20歳前後に発病しやすいのが「緊張型」です。
大声で叫ぶなどの激しい興奮状態と、周囲への反応が鈍くなる昏迷状態などの行動異常がみられ、数ヶ月で消失するのが特徴です。 一定期間で消失するタイプですが、治療を止めると再発するリスクが高く、症状が進行していくと破瓜型に似た状態に変化することもあります。
妄想型
20歳~30歳前後で発病しやすいのが「妄想型」です。
幻覚や妄想などの陽性症状が主にあらわれやすく、陰性症状はあまりみられません。 人とのコミュニケーションも良好に保たれている場合が多く、人柄もあまり変化しないでしょう。 また、薬が効きやすい症状が多いため、治療が進めやすいタイプといえます。
統合失調症の経過
統合失調症を発症した場合の経過は人それぞれですが、一般的には4段階のステージがあるといわれています。 ただし、順を追って各段階を経過するだけでなく、症状が落ち着いてきた段階でストレスなどがかかることにより前段階へ戻るというケースもあります。
このように、経過段階の逆戻りや再発を繰り返すことで、回復までの道のりが長くなる可能性もある病気なのです。 それでは、統合失調症の経過の目安である4段階のステージをご紹介します。
前兆期
本格的な症状があらわれる前触れ段階です。
光や物音に過敏になる、あせりや不安といった感情が強まる、眠れなくなるなどのサインがあらわれます。 しかし、こういったことは誰にでも起こりうることのため、周囲の人はもちろん自分自身さえも気付かずに見逃してしまうケースが多いでしょう。
急性期
続いてあらわれるのが、統合失調症特有の陽性症状をメインとする急性期です。
不安感や緊張感が極度に高まり、敏感さがさらに強まるでしょう。 また、幻聴や幻覚、妄想におそわれることで混乱をきたし興奮するなどの異常行動を起こす恐れがあります。 この段階になると、周囲とコミュニケ―ションをとることが難しくなる可能性が高いでしょう。
こちらの記事では、幻聴の主な原因について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
幻聴を生じる4つの原因とは?一人で悩まず早めに受診しよう
回復期
経過が逆戻りすることがなければ、徐々に症状がおさまり回復期に突入します。
陽性症状から脱して、少しずつ周囲と関わりを持とうとする時期です。 しかし、回復の度合いは人それぞれで、急性期からの幻覚症状が残っていたり、意欲低下のような陰性症状を引きずっていたりすることもあります。 また、この時期に認知機能障害があらわれることがあり、予後の生活や社会性に支障をきたすケースもあるでしょう。 回復へのペースはゆっくりですが、努力や無理をするのではなく、安心感やゆとりを持ってやれることを増やしていくことが重要です。
安定期
安定期、もしくは維持期や慢性期などと呼ばれる段階です。
この頃には、生活技能訓練などを経て、安定した社会生活を送れるようになる方が多いでしょう。 陰性症状が残るケースもありますが、服用する薬は再発予防のための薬へと移行していきます。 ただし、症状が落ちついているからといって服用をやめてしまうと、高い確率で再発すると考えられています。 通院や薬の服用を続けながら、焦らずに長い目で病気と付き合っていきましょう。
統合失調症の症状が見られたら早めに受診を
いかがでしたでしょうか? この記事を読んでいただくことで統合失調症の症状の種類やタイプがご理解いただけたと思います。 回復には早期治療が大切なため、思い当たる症状がある人は早めに専門機関に相談しましょう。
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