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幻聴を生じる4つの原因とは?一人で悩まず早めに受診しよう

[2021.04.30]

 

聞こえるはずのない声や音に悩んでいませんか? 聞こえるはずのない幻聴を感じている本人は、想像以上に辛いもの。

周囲から理解してもらえず孤立したり、日常生活に支障が出たりしてしまう人もいるようです。

この記事では、幻聴に悩んでいる人に知ってほしい、幻聴の主な原因について4つご紹介します。

心の病気によって幻聴が生じている場合は、適切な治療をすることで症状を改善できます。

早めに病院を受診してみてくださいね。

 

 

幻聴の種類

幻聴の仲間には、幻視や妄想があります。 それらの違いは文字のとおりであることからも、一般的に知られています。

しかし、一口に幻聴といっても、そのなかでさらに3つの種類に細分化されることはそれほど知られていないでしょう。

そこでまずは、幻聴の種類について解説していきます。

その分類が、以下の3つです。

【幻聴の種類3つ】

  • 要素性幻聴
  • 複雑性幻聴
  • 言語性幻聴

それぞれ解説していきます。 

要素性幻聴

幻聴の種類、1つ目は「要素性幻聴」です。 要素性幻聴は、幻聴としてよく知られている話し声や人の声ではなく、いわゆる単なる音が聞こえる幻聴です。

ベルのような音がもっとも一般的で、それ以外にも以下のような音が挙げられます。

【要素性幻聴】

  • 硬いものをノックするような音
  • 虫の音のような音
  • 紙が擦れるような音
  • 何かが弾けるような音
  • そのほか物音

要素性幻聴はその単調さから、怪奇現象として有名なラップ音と勘違いする人もいます。

また、逆に幻聴で聞こえた音を生活音と勘違いしてしまうことから、幻聴と気づかないケースがもっとも多いタイプです。

しかし、幻聴と気づかない場合にも、幻聴の煩わしさやそれによる疲労は変わらずのしかかります。

そのため、違和感を覚えた際には早期のカウンセリングが必要です。

仮に幻聴でない場合でも、自分にだけ音が聞こえる、耳鳴りがするという場合にはストレスが溜まっていることが予想されます。 

複雑性幻聴

幻聴の種類、2つ目は「複雑性幻聴」です。 複雑性幻聴は、要素性幻聴に比べてより複雑な音が聞こえる幻聴です。

物音のような単調な音ではなく、リズムやときにはメロディさえ存在する音が聞こえます。

そのため、しばしば「音楽のよう」と形容されます。

余談ですが、音楽は「音を楽しむ」ではなく「音を楽(かな)でる」という意味の熟語です。

「音楽が聞こえるなら、楽しくて心地いい」というのは、それこそ幻想。

複雑性幻聴は要素性幻聴よりも幻聴であることに気づきやすいですが、音の複雑さによってさらに強く煩わしさを感じる人も少なくありません。 

言語性幻聴

幻聴の種類、3つ目は「言語性幻聴」です。

言語性幻聴は、話し声や人の声が聞こえる幻聴です。

幻聴と聞いて、まず真っ先に思い浮かぶのがこの言語性幻聴ではないでしょうか。

ただ、言語性幻聴にも細かな種類の違いがあります。

【言語性幻聴の種類】

  • 誰かと誰かが話している声が聞こえる
  • 誰かの話しかけてくる声が聞こえる
  • 自分と対話する誰かの声が聞こえる

言語性幻聴は、そのほぼすべてが以上の3つのいずれか、あるいは複数個の症状を持ちます。

また、誰かと誰かが話している声も誰かの話しかけてくる声も、多くの場合が本人を苦しめる内容であることがほとんどです。

自分を貶める噂話や、自分に対する嫌味や暴言、過度な叱責などがその例です。

内容としては、たとえば「お前なんか死んでしまえ」「出来損ないだから何やってもダメね」「君はどうしてこんなことも出来ないんだ」などが挙げられます。

また、自分と対話する誰かの声は、1人が相手の場合も2人以上が相手の場合も存在し、これらは「対話性幻聴」とも呼ばれます。

当然、誰かの話しかけてくる声に対して本人が反応して対話となるケースもあり、それも対話性幻聴のひとつです。

対話性幻聴は、周囲から見た場合に異常な長さや声量の独り言に見えることも珍しくなく、もっとも周囲が異変に気づきやすい幻聴ともいえるでしょう。

幻聴の考えられる原因4つ

幻聴が聞こえるのはなぜでしょうか? ここでは4つの原因について解説していきます。

 

1.統合失調症

統合失調症は10代から20代の若い世代で多く発症し、長い経過をたどる心の病気です。

さまざまな精神機能に障害が起こり、他人とのコミュニケーションが取りづらくなったり、幻覚や妄想に悩まされたりすることもあります。

統合失調症による幻聴では、話しかけられる声や、命令される声を感じる人が多いようです。

統合失調症の症状には種類がある!違いやタイプ別の特徴では、統合失調症について理解を深めたい人に向けて、主な症状の種類や症状の経過などを解説しています。あわせてぜひご覧ください。
 

 

2.PTSD(心的外傷後ストレス障害)

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、過去に災害や事故、暴力などの衝撃的な体験をした人がなりやすい、精神的な障害です。

PTSDの特徴的な症状が、「フラッシュバック」と呼ばれる、過去のできごとを今現在体験してるかのような感覚に陥る症状です。 フラッシュバックは、原因となる経験を連想させるようなできごとが引き金となりやすいことが知られています。

フラッシュバックが起こるときには、当時の声や音が幻聴としてよみがえることも多いようです。

 

3.薬物によるもの

大麻や覚せい剤、シンナーといった薬物は、脳に直接作用し、多幸感をもたらします。

このような薬物は依存性が強いので、自分の力ではなかなかやめることができません。

薬物を繰り返し使用していると、使用中や使用後などに幻聴や妄想を生じ、異常な行動を起こすようになってしまいます。

 

4.認知症

高齢者が幻聴を感じる原因として認知症によるものがあります

そのなかでもアルツハイマー型認知症は、幻聴を引き起こしやすいと考えられています。

認知症による幻聴は、その場にいない子どもの声がしたり、自分の悪口が聞こえたりといった訴えが多いようです。

認知症になる原因にはどんなものがあるの?では、認知症の予防やより深く理解をしたいと思っている方に向けて、認知症を発症してしまう原因について紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

 

幻聴の主な影響

ここまで、幻聴の原因として考えられる代表例を4つ解説してきました。

幻聴はそれだけでも大変な苦悩を伴う精神病態ですが、幻聴はさらなる弊害をもたらしかねません。

ここからは、幻聴によって起こりうる影響を以下2つの観点から解説していきます。

【幻想によって起こりうる影響の2つ】

  • 仕事や勉強に集中できなくなる
  • 妄想に繋がる

それぞれ丁寧に解説していきます。 

仕事や勉強に集中できなくなる

幻聴の影響、1つ目は「仕事や勉強に集中できなくなる」というものです。

幻聴が苦しい代表的な理由は2つあり、それが「幻聴自体の恐怖やそれによる自己肯定感の喪失」と「日常生活における不具合」です。

仕事や勉強に集中できなくなることは、この後者にあたるといえるでしょう。

幻聴を持っていない人が幻聴の困難さを実感することはなかなか難しいですが、幻聴による日常生活への不具合を想像することは可能です。

常に誰かから話しかけられつづける環境で仕事や勉強をする状況。

集中できないのも当然でしょう。

また、仕事や勉強に集中できないことが、さらなるストレスを生むことも多くあります。

まずは休養を取り、幻聴の治療にあたるのがよいでしょう。 

妄想に繋がる

2つ目に解説する幻聴の影響は「妄想に繋がる」というものです。

冒頭にも話しましたが、幻聴はたびたび幻視や妄想とともに語られます。

これら3つは、ときには対比、ときには近いものとして語られますが、具体的にはどう違うのでしょうか。

幻視と幻聴は字のとおり、視覚的な幻か聴覚的な幻かという違いです。

では、妄想と幻聴はどう違うのか。

妄想という言葉自体はそれほど聞き馴染みの薄いものではないかと思います。

臨床心理の世界では、妄想も幻聴もともに「思考や認知機能の過剰と歪み」と説明されます。

なかでも妄想は「思考が過剰に機能しており歪みが起こっている状態」といえるでしょう。

幻聴という「認知機能の過剰と歪み」が、妄想という「思考機能の過剰と歪み」を生むことは、想像に難くありません。

実際、幻聴とともに妄想を持っている人は多く存在しています。 

幻聴の一般的な治療方法は?

つぎに、幻聴が聞こえる原因ごとに治療方法を見ていきましょう。

 

1.統合失調症の治療法

統合失調症は、「薬物療法」と、「心理社会的な治療」を組み合わせて治療します。

「薬物療法」では、抗精神病薬をはじめ、症状によっては抗不安薬や睡眠薬、抗うつ薬、気分安定薬などもサポート的に使用されます。

統合失調症は、再発する可能性の高い疾患であり、再発により重症化するリスクがあります。

そのため、薬の調整や中止などは専門医による判断が必要です。

「心理社会的な治療」には、リハビリテーションや精神療法が含まれています。

社会生活機能のレベルが下がらないよう、また就労支援など社会的なサポートも行ってくれます。

統合失調症は、生活の状態や病状にあわた治療方法が大切です。

 

2.PTSDの治療法

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療は、「こころの傷の回復」と、「苦しい症状を軽減する」ことが基本です。

トラウマというデリケートな問題となるため、特殊な技法よりも、自分の話をきちんと聴いてくれる、信頼できる医師や公認心理師を見つけることが重要となります。

認知処理療法(CPT)、眼球運動脱感作療法(EMDR)、持続エクスポージャー療法(PE)などトラウマを扱う認知行動療法による効果が期待されています。

そのほかにも、SSRIなどの抗うつ薬も有効的です。

 

3.薬物によるものの治療法

治療法のひとつに、薬物依存症に特化した治療プログラムによる治療があります。

集団認知行動療法を用いた治療が中心となり、サポート的に個人精神療法や薬物療法を行う治療法です。

 

4.認知症の治療法

認知症には、治療がむずかしいものと、治療が可能なものがあります。

治療がむずかしいものは、変性性認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症など)です。

治療法が確立されていないことから、変性性認知症の場合は、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて治療を行います。

治療が可能なものは、内分泌疾患、欠乏性疾患・代謝性疾患、自己免疫性疾患、内科的疾患による認知症です。

症状によって、薬物療法、非薬物療法、家族の適切な対応が求められます。

こちらの記事では、認知症で訪問診療を利用するタイミングやメリットについて解説しています。あわせてご覧ください。

 

周りの人ができるサポートは?

統合失調症は100人に1人弱、認知症の発生率は65歳以上の場合なら5人に1人など、幻聴の原因となるものは身近なものばかりです。

そのため、ある日、家族や幻聴を訴えるケースも少なくないでしょう。

周りの人ができるサポートとして、専門家の指導のもと、本人の反応をよく観察しながら治療を進めることが大切です。 また、精神障碍者をもつ人たちによってつくられた家族会や患者会などもあります。

専門家による病気や薬物治療、福祉制度などの勉強会も行われているため、参加してみるのもひとつの選択肢としておすすめです。

 

幻聴の詳しい症状は?

今回の記事では幻聴の原因についてご説明いたしました。

では症状はどんなものがあるのでしょうか。幻聴の症状にはどんなものがある?聞こえる声や音で種類が異なる コチラの記事では幻聴の症状についてご説明しておりますので、合わせてご覧ください。

 

幻聴を感じたら一人で悩まず早めの受診を!

いかがでしたでしょうか? この記事を読んでいただくことで幻聴の原因がご理解いただけたと思います。

幻聴は周りに理解を得にくいことから、一人で悩んでしまう人が多い症状です。 不安を感じたら早めに受診することをおすすめします。

 

赤羽すずらんメンタルクリニックでは駅から約1分で着く女性医師の心療内科です。

幻聴でお悩みの方は赤羽すずらんメンタルクリニックへぜひ一度ご相談ください。

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