過食してしまううつ症状「過食性障害」とは
食べることをやめたくてもやめられず、『食べたくないのに手が止まらない』『満腹なのに、なぜか食べ続けてしまう』と感じることはありませんか?
過食性障害になると、ストレスや心の不調によって食欲を抑えられなくなり、満腹でも食べ続けてしまうことがあります。
過食性障害は、自分では気づきにくく、単なる大食いや食習慣の乱れと誤解されがちです。
本記事では、過食性障害の特徴や、食べすぎとの違い、改善方法について詳しく解説します。
『もしかして?』と感じたら、早めに対策をとることが重要です。
無理に我慢せず、専門家と一緒に向き合うことで、心と体のバランスを整えることができます。
食事に関する悩みがある方は、ぜひご一読ください。
過食性障害とは?
「過食性障害」は、食事のコントロールが難しくなる摂食障害の一つです。自分でも食べ過ぎだとわかっていても、やめられない状態が続くことが特徴です。
一般的に「過食症」とは異なり、食べた後に吐いたり下剤を使ったりする行為(代償行為)は伴いません。
多くの場合、強いストレスや精神的な不調が影響し、うつ病と一緒に症状が現れることもあります。
【症状1】明らかな食べ過ぎを繰り返してしまう
過食性障害は自分でも食べ過ぎだと理解ができていてもそれをやめることができません。
咀嚼することもほとんどしないので早食いになってしまう傾向にあり、全くお腹が空いていないのに過剰に食事を摂取したりします。
結果、食後に満足感は得られず、不快感だけが残るのです。
自分の食欲の異常さを理解しているため、他人との会食を避けますので、肥満などの変化がおきるまで周囲に気付かれにくいのです。
【症状2】神経性過食症との違い
一般的に過食症と呼ばれる神経性過食症との大きな違いとして、代償行為の有無が挙げられます。
過食症の場合も過食性障害と同様に食事を摂取する際に食欲のコントロールができなくなってしまいます。
しかし、過食症は食後に過剰に食事を摂取したことへの罪悪感で自ら嘔吐したり、下剤を使用して下痢を引き起こしたりなどの代償行為が伴うのです。
過食症の場合、食べたものを直ぐに体の外に出してしまうので、肥満など体の変化がおきにくく、周囲も気が付きにくいといった特徴をもっています。
【症状3】うつ病と合併していることもある
うつ病と合併する場合、過食が原因でうつ病になってしまう場合と、うつ病が原因で過食になってしまう場合があります。
過食性障害の場合、自分で食べ過ぎであることを自覚しているので、そうした過食がストレスになってしまってうつ病が引き起こされてしまうのです。
また、うつ病もいくつか種類が存在しており、なかには過食を引き起こす特殊なうつ病も存在しています。
過食性障害はうつ病に密接に関係しているので、適切な治療で改善する可能性が高いのです。
ただの食べ過ぎで大袈裟と思わずに専門家に相談することが大切です。
過食性障害の特徴
過食性障害は、単なる「食べすぎ」とは異なり、満腹感を感じても食べることをやめられず、食後に強い罪悪感や後悔を抱くことが特徴です。
無意識のうちに食べ続けてしまい、「もうやめたい」と思っても自分の意思ではコントロールできなくなることがあります。
こうした状態が続くと、心身の負担が大きくなり、ストレスや自己否定感がさらに強まる悪循環に陥ることもあります。
もし、以下の特徴に心当たりがある場合は、早めに専門家に相談することが大切です。
【特徴1】食事の際に見られる特徴
過食性障害の方は、空腹かどうかに関係なく食べることをやめられないという特徴があります。
「お腹が空いているわけではないのに、食べる手が止まらない」「満腹感を感じているのに、さらに食べ続けてしまう」といった状態が続くことが多いです。
また、食べるスピードが速くなりがちで、あまり噛まずに大量の食べ物を摂取してしまうこともあります。
目の前の食べ物をすべて食べつくしてしまい、「食べ終われば落ち着く」と思っていても、再び食べ物を買いに行くなどして、さらに食べ続けてしまうこともあります。
こうした食行動が続くと、食事をすること自体が苦痛に感じられたり、食べた後に後悔や罪悪感を強く感じたりするようになり、精神的な負担が増してしまうことがあります。
【特徴2】精神面に見られる特徴
過食性障害は、食べる行為そのものがストレス発散の手段になっている場合が多く、食べ終わった後に強い罪悪感や自己嫌悪を感じることがよくあります。
「また食べすぎてしまった」「こんなに食べた自分が嫌だ」と思いながらも、やめられないことへの無力感が積み重なり、精神的に追い詰められることもあります。
さらに、こうしたストレスから逃れるために、再び食べることで一時的に気持ちを紛らわせようとし、結果的に過食を繰り返してしまうことがあります。
こうした悪循環が続くと、気分の落ち込みや抑うつ状態につながることも少なくありません。
【特徴3】下痢や嘔吐などの代償行為はない
過食性障害とよく混同される「神経性過食症」(一般に「過食症」と呼ばれる)との大きな違いは、食後に体重を調整しようとする行動(代償行為)があるかどうかです。
神経性過食症では、体重増加への強い不安から、食後に意図的に嘔吐をしたり、多量の下剤を使用することがあります。
一方、過食性障害ではこうした代償行為がなく、食べたものがそのまま体に吸収されるため、体重が増えやすくなる傾向があります。
そのため、「食べすぎた後、どうしても吐かずにいられない」「下剤を飲まないと安心できない」といった症状がある場合は、過食性障害ではなく神経性過食症の可能性が高いため、適切な診断を受けることが重要です。
どちらの症状も、単なる意志の問題ではなく、適切な治療を受けることで改善が期待できます。
「食べることをコントロールできない」と感じることが増えてきたら、一人で抱え込まず、医療機関に相談することをおすすめします。
過食してしまう原因
日常生活などで過度にストレスがかかると、どうしても何かを食べるという行動を抑えられない、空腹ではないはずなのに何かを食べたくて仕方がない、という状態になってしまうことが多いようです。
過食の状態でさらにストレスが増え、うつ病になってしまう場合もありますが、特殊なうつ病が原因で引き起こされる場合もあります。
【原因1】ストレスによる過食
過食性障害の場合、自分のストレスを食事によって発散させるため、空腹状態ではなくともストレスがかかることによって食べものを口に運んでしまいます。
過食性障害のような摂食障害の多くは、ダイエットの失敗によるものが多いとされています。
しかし、実のところは職場や学校での人間関係によるストレスや、家庭環境の変化やトラブルによる強いストレスが原因であることも多いようです。
【原因2】うつ病や精神的な不調
過食による罪悪感や自己嫌悪によって引き起こされるうつ症状のほか、うつ病の人がそのストレスを食事によって発散させるために過食に走ってしまうこともあります。
自分でも我慢ができない食欲があったら、うつ病との合併症である可能性が高いので、専門家に相談することが大切です。
【原因3】ホルモンバランスの乱れ
過食には、ホルモンバランスも大きく関わっています。
特に、ストレスホルモンである「コルチゾール」が過剰に分泌されると、体がエネルギーを欲しがり、食欲が増してしまうことがあります。
また、「セロトニン」や「ドーパミン」といった幸福感を感じるホルモンが不足すると、気分を安定させるために食べることで補おうとする傾向が見られます。
女性の場合、生理前に食欲が増すことがありますが、これはホルモンの影響によるものです。
こうしたホルモンの変化が影響し、普段よりも食べる量が増えてしまうことがあります。
過食性障害の治療方法
過食性障害は、単なる食べすぎとは異なり、自分の意思だけでコントロールするのが難しい状態です。
そのため、適切な治療を受けることが重要です。
まず、症状を自覚することが治療の第一歩です。
自分では「ただ食べすぎているだけ」と思っていても、家族や周囲の人が気づいて受診を勧めるケースも少なくありません。
治療では、専門家と信頼関係を築きながら、食生活の見直しや心のケアを進めていきます。
食事をコントロールする方法を学ぶだけでなく、自分の体のイメージや考え方を見直すことも大切です。
また、家族の協力も治療を続けるうえで重要なポイントになります。
どのような治療法があるのか?
過食性障害の治療には、考え方や行動のクセを変えていく方法や、対人関係を見直す方法など、さまざまなアプローチがあります。
① 考え方を変える方法(認知行動療法)
「つい食べすぎてしまう」「食べることがやめられない」といった思考のクセを見直し、ストレスや不安との向き合い方を学ぶ治療法です。
この方法は、気持ちの浮き沈みが影響して食べ過ぎてしまう人にも有効とされています。
② 人間関係を見直す方法(対人関係療法)
家族や職場、友人との関係がストレスとなり、過食につながることもあります。
この治療では、コミュニケーションの取り方や、人との付き合い方を改善し、ストレスを減らすことを目指します。
③ 生活習慣の見直し
食事の時間やバランス、食べる環境を整えることも治療の一環です。
無理な食事制限や極端なダイエットをやめ、規則正しい生活を心がけることで、食欲の波を落ち着かせることができます。
④ 薬によるサポート
症状が重い場合には、気持ちの安定をサポートする薬が処方されることもあります。
ただし、薬だけで治すのは難しいため、食生活の改善や心のケアと組み合わせることが大切です。
⑤ 同じ悩みを持つ人との交流
一人で悩まず、同じような経験を持つ人たちと話すことも助けになります。自助グループに参加することで、「自分だけではない」と感じ、気持ちが軽くなることもあります。
治療を始めるタイミング
「たくさん食べすぎてしまった」「食べた後に強い後悔を感じる」といったことが続いている場合は、無理に我慢するのではなく、早めに専門家に相談することをおすすめします。
赤羽すずらんメンタルクリニックでは、過食の悩みを抱える方に寄り添い、一緒に改善を目指していきます。
食事に関する不安を一人で抱え込まず、まずは一度、お気軽にご相談ください。
過食性障害の治療は継続的なケアが重要であり、専門家の指導のもとで進めることが必要です。
赤羽すずらんメンタルクリニックでは、過食に関する悩みを持つ方に寄り添い、一緒に改善を目指していきます。
「食べすぎをやめたいのにやめられない」「食べた後に強い後悔を感じてしまう」といった悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、ご相談ください。
参考文献:ソーシャルメディアダイエット:若者のソーシャルメディア、ボディイメージ、摂食障害との関連性を調査するスコープレビュー
過食性障害と大食いの違い
美味しいものをつい食べ過ぎてしまう、嫌なことがあって食べることで発散してしまう、こうした行為だけでは過食性障害とはいえません。
異常な過食と大食いでは、理性が働かない、食べたあとに気持ちが重くなるなど決定的な違いがあるのです。
【違い1】過食性障害の場合
過食性障害の場合はストレスで食べるという行為を繰り返してしまい、苦しくなってこれ以上食べられない状態になっても食べ続けてしまいます。
いつでも食べ物が近くにないと落ち着かないというのも特徴です。味わって食べるということもなく、ほぼ噛まずにまる飲みしてしまい、胃や食道に大きな負担をかけてしまいます。
さらに食欲に対して理性が働かないので、目の前にある食材なら調味料や生米といったものまで手を伸ばして食べることもあるのです。
こうした行動が3ヶ月以上の期間で最低週1回でもあれば、過食性障害である可能性が疑えます。
【違い2】大食いの場合
大食いの場合、食欲が満たされれば多少食べ過ぎることがあったとしても、身体の調子が悪くなってまで食べ続けるという行為はしません。
また、食事の時間まで食べなくても過度なストレスがかかることもなく、食後に大きな罪悪感もなく、多少食べ過ぎても気に病むほどではありません。
合併症の可能性も
過食性障害はうつ病やアルコール依存症に伴い引き起こされる場合や、過食が原因でそれらを引き起こしてしまう場合があります。
過食の状態が続けば内臓も働き続けることになるので、疲労が溜まって肝障害などが起こってしまいます。
【可能性1】うつ病との合併症の可能性は非常に高い
合併症のなかでも比較的多く、注意が必要になってくるのがうつ病です。
うつ病が原因で過食する場合もあれば、過食が原因でうつ病になってしまう場合もあります。
そのため、1週間に1回以上の頻度で過食をする状態が3ヶ月以上続いているようなら、早めに専門家へ相談が必要です。
どちらにも共通しているのはストレスで過剰に食べてしまい、その後に強い罪悪感と自己嫌悪に陥ってしまうことが挙げられます。
その上代償行為がないため、体重が増加してしまい、それが原因で体を動かすのがさらに億劫になってしまいます。
そうしたストレスからさらに過食を繰り返し、うつ状態も悪化する事態にも発展してしまうのです。
うつ病は脳の病気ともいわれていますので、素人判断せずなるべく早めに相談しましょう。
こちらの記事では、うつ病を放置したらどうなるのか詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
うつ病を放置したら一体どうなる?病気をいち早く見つけるサインとは
【可能性2】飲みすぎが同時に引き起こすアルコール依存症
続いて過食性障害に伴って多い合併症がアルコール依存症です。
食べるのと同時にお酒も一緒に飲んでしまい、過剰にアルコールを摂取することで依存症になってしまいます。
この場合、アルコール依存症の対処を先にしないと、どんどんアルコール依存症の症状が悪化してしまい、ついには飲んでいないときに病的な症状が出る離脱症状が出てしまうのです。
アルコール依存症を伴っている場合は、早めにアルコール依存症の対処が必要です。
【可能性3】内蔵に負担がかかり引き起こされる胃腸障害や肝機能、腎機能障害
延々と食べ続けるということは、胃や腸、肝機能や腎機能に負担をかけ続けることにも繋がります。
異常な食欲のせいでほとんど噛まずに飲みこまれているため、胃も負担が大きく、上手く消化できません。
肝臓や腎臓も休まずに働き続けますので、体内にも大きなストレスがかかります。
過食が続いてしまうことによって胃腸炎、食道炎、肝障害、腎障害といった症状が引き起こされてしまうため、放置しないようにすることが大切です。
まとめ
ここまで過食性障害についてご紹介してきましたが、うつ病と密接に関係がある症状であることはご理解いただけましたでしょうか。
もしも自分自身に我慢ができない食欲が湧いてきて、食後に罪悪感や自己嫌悪に陥ってしまう場合は、うつ病が起因している可能性もあり得ます。
うつ病は心の病気といわれがちですが、疲労しすぎた脳の病気でもありますので、適切な治療が必要不可欠です。
赤羽すずらんメンタルクリニックでは通いやすく、話しやすい環境を目指していますので、考えすぎと思わずに気軽に相談してみてください。
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